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#174 262 から 424

「普通」がなくなりつつあるというお話。

「平均」と「最頻値」は同じとは限らない

 上の図のように一定の刻み幅で横軸に値を取り、縦軸にその階級毎の人数を集計して棒グラフを作成したとします。

 左側の図は,分布が一つのピークを持ち、左右が対象な形をしています。全体の平均と、一番人数が多い集団は一致します。「普通の人」と言うのは、「全員の合計を人数で割った値(平均値)のグループにいる人」であり同時に「一番人数の多い(最頻値)グループにいる人」と同じです。

 さて右の図は、二つのピークがありそれぞれが左右対称な形をしています。二つの最頻値(ピークの値)と平均値は違います。このような例は、女性と男性の靴のサイズの分布のような”異なる集まり”の場合です。もし男女の靴サイズの平均が25cmだとした場合、平均の人に合わせて大量の靴を製造したら大変なことになります。必要な24cmや26cmの靴が足りず購入できない人が続出して、一方でお店には在庫の靴が山積みになります。2つの集団がいる場合,「平均に合わせること」が必ずしも”正解”とは限りません.

”Loosing Middle Class”

 10年ほど前,アメリカのニュースで繰り返し話題になっていた見出しです。日本語に訳すと「中流クラスの消失」となる気がします。最近の日本を見ていると、だんだんあの頃のアメリカの社会問題が現実になりつつある気がしています。所得、健康、教育などなど、「普通の人」「平均の人」が「一番多い集団の人」でなくなりつつある気がします。社会が二つのピーク?(二つのグループ)に分かれつつある気がします。

 集団に一体感を持たせる(一つにまとめる)のは「真ん中の集団」だと思います。真ん中の人が多数派だと、少数派の両端のグループの人たちは、真ん中が言うなら仕方がないと言う感じで自分の意見をそれほど主張せず、全体がまとまることが予想されます。

「合奏」

 吹奏楽団(ブラスバンド)で言えば、音域が最も他の楽器と重なるもの(例えばユーフォニウム、ホルン?)がしっかりしていると全体の演奏がまとまりよく聴こえるようです。(私の耳で聴いても分かりませんが、演奏経験者の方がおっしゃっていました。)ユーフォニウムは、他の楽器に比べて何となく個性が少なく”地味な印象”があったのですが、この話を聞いてからチューバやコントラバスやファゴット、オーボエやピッコロと同じように大切な楽器なんだと思いながら合奏を聴いています。

 大勢で合奏する時に大切なのは、他の演奏者の音を聞く事と、演奏の聞き手に伝わる音の音量のバランスだとプロの演奏家の方がおっしゃっていました。音の高さ(ピッチ)やリズムを揃えるのが、できているのは当然なんでしょうが、、、。(なるほど、楽団というのも当然楽器を使ってコミュニーション、つまり、”音のキャッチボール”をしながら演奏を進めていくんだなと思いました。)

身の回りは262 or 424 ?

 さて、タイトルの数字は、三つのグループに集団を分けたときのそれぞれの比率です。例えば全体で10人の人がいて、三つのグループに分かれていて、あるサービスを提供する場合について考えます。

 一つ目は、2:6:2の比率で一つのピークで分布している時には、平均は6人の集団で、この集団が最も人数が多く、「真ん中が普通」ということになります。真ん中のグループに向けてサービスを提供すれば過半数の人が満足してくれ、残りの4割の人は”それなりに納得”してくれそうです。(自分達は、2割の少数派ですから)

 一方、4:2:4の比率で二つのグループがある時には、平均が人数の多い集団ではありません。この時、二つの同じ程度の人数がいるし集団のどちらに向けていろいろなサービスを提供すれば良いでしょうか?サービスを受けれる人は4人。受けれない人は、二つ合わせて6人。そのうちの一つは、サービスを受ける人と同じ人数の4人のグループで、どちらも過半数ではないので多分自分がサービスを受けることができずに不満を持つ可能性が高い。

 最近、身の回りに、262タイプから424タイプに変わりつつあることが、いくつも頭に浮かびます。皆さんはいかがでしょうか?気にかけていないと、見えないかもしれません。変化はゆっくりと進みます。

これから は コレかな?

 この問題の特効薬の解決策は、私にはまだ分かりません。ゆっくりじっくりと、逃げずに向かい合い解を探すしかないかと思っています。

 探し続けていると、誰かが見つける、あるいは何かがキッかけで解決策が見つかるかもしれません。 言葉のキャッチボールを、周りの誰かとし続けながら考えること、、、、。 まだ、他には思い浮かびません。 これから は コレかな?

(※この記事の図は,iPadにインストールしたソフトGoodNotesで久しぶりに手書きした図です.やはりApplePencil初代は,本物の鉛筆に比べて書きにくい気がします.まだまだ使い手である自分の修行が必要です.)