#141 駆動輪、脱輪時、脱出法。

ロードサービス、今までに一度、お世話になりました。ある日、自宅近くの慣れた細い路地で対向車が来ました。道路横の側溝にフタがない事は知っていましたが、(これくらいまで大丈夫だろう。)と思いハンドルをきったら、(あラァーっ!)前輪が浅い側溝に落ちてしまいました。浅いといえども”溝”はやはり車の車道への復帰を拒み、自分で脱出を試みてもダメです。

 いた仕方なく、生まれて初めて自動車ロードサービスに電話し、レッカー車の到着を小一時間待ちます。路地を通ろうとするドライバーさん達に頭を下げて謝りながら、違う道へ行ってもらいます。繰り返しその作業をしているとくたびれてきたので、進入する車に遠くから気づいてもらうために、ボンネットを開けてしばらく待つことに。

 やっと、レッカー車に乗ったロードサービスのお二人が到着しました。フックをかけて釣り上げるのかなとみていたら、「前輪ですか?」「はい」 「駆動輪ですね。」「前輪駆動車です。」 「試してみましょう。」  (えっ、何を試すの?)

 運転席に乗り込んだスタッフの方、ハンドルを私が切ったのとは逆に切りました。(それでは、カーブを曲がる時と逆で、脱出できないでしょう、、、。)と思った途端、エンジン音と共に、一瞬で側溝から”速攻”で車が脱出しました。手品を見ているようでした。それまで何度か自分なりにトライしたのに、ハンドルを逆に切って一発で脱出するとは、、。結局、レッカー車の出番はなく、お二人は書類にサインを受け取りその場を、疾風(はやて)のように立ち去りました。

 理由を聞けば、前輪駆動の場合は、駆動輪の前輪がハンドルで角度が変えれるので、落ちた側溝に”逆ハンドル”を切って側溝の端にタイヤの溝がちょうど引っかかってくれれば、エンジンの回転力が側溝に伝えることができて車体が脱出できとのことでした。後で考えてみれば、あれだけ待っている時間があったのだから、スマホの電波が入る場所なので、自動車・脱輪・脱出などのキーワードで検索すると、もしかするとこの方法がヒットしたかも知れません。

 人間は、それまで経験したことが無い事が突然やってくると、慌てて対応してしまい、普段なら考えながら解決策を探すことをするのに、一つ二つの可能性を試してうまくいかないと”お手上げ状態”と思い込み、それ以上何もできなくなることをこの時に体験しました。

 新型コロナ感染症で、世の中が「今までの道路からの脱輪」とも言える”困った状態”の今、それぞれの”駆動輪”を自分で”ハンドルを切り”、苦境からの”脱出”を図(はか)りたい今日この頃です。自分の”駆動輪”と”ハンドル”を、ロードサービスの知恵に助けてもらいながら、自分で考えて使う事で、一時的な”脱輪”を乗り越えましょう。”ロードサービス スタッフ”、きっと世の中にたくさんいます。隣の人が、あなたのロードサービスかも。そして、自分が、誰かのロードサービスかも。