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#172 ”リバース”@ネクタイ

 ネクタイのストライプ(斜め縞)、イギリス式とアメリカ式で違うというのを知りませんでした。多分、知っている人、少ないのでは? (知っている人に、あぁ、あの話という話題 + α のお話です。) この記事の写真、二つのネクタイを締めた私の写真(切り抜き)です。

連隊のタイ

regimental tie 

 ”レジメンタル(regimental)とは「軍服、連隊の」という意味を表す単語です。
 17世紀頃イギリス陸軍では、連隊ごとに異なる色の斜めストライプネクタイを着用するようになりました。(今でいうとチームカラーのようなイメージでしょうか、、?)それをregimental-tie(連隊のネクタイ)と呼ぶようになったのが始まりです。
 そして19世紀頃イギリスの名門大学でもそれに倣い、大学ごとに異なるレジメンタルタイを制定するようになりました。
 その風習は今でも続いており、イギリスではレジメンタルタイの色によって出身大学を示すことにもなるため、レジメンタルタイをイギリスのフォーマルな場で着用するには注意が必要です。”
(引用元:https://fabric-tokyo.com/answer/accessory/regimental-tie)

イギリス式は右上から左下へ、アメリカは逆(リバース)

 写真のネクタイ、右がイギリス式のレジメンタルタイです。斜めストライプ(縞模様)が右上から左下へ向かっています。これは、ハリーポッターグリフィンドールの寮生のネクタイを模したものを、Universal Studioでお土産に買ってきていただいたものです。映画の舞台は、架空のイギリスにある魔法学校なので、イギリス式です。(買った場所はアメリカだったのですが、、笑。)

 左のネクタイは、アメリカオハイオ州立大学(OSU)のネクタイです。随分前に訪問した時に売店(BookStore)で買いました。こちらは、イギリスとは反対に、斜めストライプが左上から右下に向かっています。この色の組み合わせは、OSUのスクールカラーです。大学スポーツの対抗戦などでは、皆このスクールカラーの色使いをした服や小物を持って応援していました。

輸入とアレンジ

 イギリスから運び込まれた色々なものは、アメリカで少しずつ変更されています。英国言語(英語)は、アメリカ訛りの英語(今ではこちらを”英語”と普通読んでいますが、、。)

 スポーツでは、ラグビー(フットボール)はアメリカン フットボールに、クリケットは、野球(?)にとアレンジされました。TVでのスポーツ中継に適しているように、試合時間を短く、休憩時間をうまく入れたりと、アメリカ式はイギリス式とは随所に、彼らなりの工夫も見られます(笑)。

一部では保守的

 進歩的なように見えるアメリカ(米国)も、意外に保守的なところが時々あります。長さや重さの単位では、インチ・マイル・ポンドなどの慣習的な古い単位を使い続けています。メートル・キログラムなど世界で共通的に用いられている統一単位系(SI単位系)でないものを未だに使っています。車のスピードメータや大リーグのピッチャーの速度など、1時間に何マイル(約1.6k m)進むかを表すmph(mile per hour)を使っています。「100mph」が遅いと思っていると、実は「160km/h」なので西海岸の高速道路を車で移動している時に驚きました。道幅が広いのとメータの単位が違うので、全体的に遅く感じてしまいます。(実はとても早い速度なのでご注意を、、。)

 他の例としては,アメリカの機械加工の図面を現地で見ていたら、手作業で加工する古いタイプの工作機械は「インチ」表示なので、全てmmやcm, mなどで書かれていなくてinchでした。図面を見ても大きさの感覚が掴めずに驚いたのを覚えています。(今はコンピュータで自動加工する機械などが増え、m単位系(metric  system)に移行したかもしれません。 

 日本でも一部ではまだ残っていますが、多くの単位はm表記に統一されています。約2.5cmの1インチを未だに使い続けているアメリカは”インチキ”とも言えるかもしれません(笑)。 

 例えば、日本でも部屋の広さには今でも「畳」(じょう)が使われています。「人間一人が布団で寝るくらいの広さ」が約一畳なので、「6畳間」と言われると「6人が寝れる部屋」とすぐに広さが分かりとても便利です。多分、フローリング(板間 いたま)が増えても、これからもしばらく部屋の広さには、「畳」が使われると思います。(たとえ、畳が日本の建物で使われる量が減って行っても、、、)

新しい学期を迎えて

 私が勤める学校でも今年は4月から、対面での入学式や授業開始が行えて、当たり前の事が当たり前にできる幸せを感じています。

 近頃の日本の夏は、ほぼ亜熱帯と言えるほど蒸し暑いので、冷房エネルギーを抑えるための「クールビズ」あるいは「夏季略装」で、ネクタイを締める機会が減りました。

 年度始めの、この春の清々しい季節くらいは、久しぶりにネクタイを締めて学生さんの前で授業をしようと思います。さて、どちらのネクタイを選びましょう。言葉の魔法をかけるならば、やはり、グリフィンドール(写真右)のネクタイですね。  お後がよろしいようで。