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#124 「題名のないリーダー論」

TV番組『題名のない音楽界』を今朝何気なく見ていたら、オーケストラの指揮者3人が、指揮者の仕事についてわかりやすく解説していて面白かったです。

「中間管理職」

 作曲家が楽譜に書いた「指示書」を、50人ほどの楽団員がそれぞれ解釈して”バラバラ”な方向に進みそうなのを、自分の解釈を説明して、”より良い演奏”になるようみんなを説得してガイドする”独断者”ではなく”中間管理職”とのこと。

全ての譜面を理解

 演奏者は、自分のパートの楽譜を基本的には練習するだけで良いのに対して、指揮者は全ての楽器パートの楽譜を完璧に理解していないといけない。指揮者の頭の中、スゴイですね。よく練習風景で「何小節のどこどこのパート、もう一度、もっと柔らかく」などと指示を出していますが、全パート譜がどうやって記憶されているのでしょうか?将棋の名人が、対局後に感想戦で棋譜を見ずにポンポン再現して指せるのに似ています。全体をリードするには、スゴイ努力が必要なのが改めてわかります。

言葉ではなく、視線と身振り

 演奏が始まれば、指示を言葉で伝えることはできません。指先を振るだけでなく、体全体の動きと顔の表情、特に目線で演奏者にコンタクトを取っていると言ってました。演奏会中に背中しか聴衆に見せていないので、テレビカメラ取材がないとその表情は見ることができないのが残念です。

目をつぶる、見ない

 パートごとに順に支持を送るときには、そちらに視線を送るのですが、全体に指示を送りたいときには、「両眼を閉じる」ことをするそうです。「みんなそろえて」の合図とのこと。また、演奏ソロのような”見せ場”が来た時に、指揮者がそちらを「わざと見ない」ことがあるそうです。「あなたのことは信じてるから、耳で追いかけて聞いているから、しっかり演奏してください」と事で、(へぇー)と思いました。

あえて指揮棒を持たない

 時には、指揮棒を持たない場合もあるようです。TV放送された演奏の一部は、バロックの古楽器と合唱との小編成だったからかもしれませんが、指揮棒を持たず、両手を広げて指揮されていました。通常は、指揮棒で手を長く見せて、釣りのウキのように細かな動きを明確に伝えることはできますが、指先を広げたり、ぐっと握ったりという動きはできなくなります。決まった”型”があるわけではなく、臨機応変のようです。

導く人(Leader)

 番組全体を通して思ったのは、指揮者の主な仕事は、作曲家の譜面をもとに演奏全体を導くことのようです。これは、職場・学校・家庭など、社会のどこでも当てはまることですね。”命令者”ではなく、”先導者”である人は、メンバーの意見を聞きつつ、時には相手の意見ばかりを”聞きすぎる”のではなく、時には、目標のために”あえて聞こえないふりをして高みを目指す”のも必要ですね。ただし、”目標の設定と共有”が重要でしょうけれど、、、、。

そう言えば、 TEDで有名なスピーカーの一人の指揮者のベンジャンミン・ザンダーは、企業の経営者向けのリーダー論の講演会もしているという記事を以前読んだことがありました。共通することがやはりあるんですね。

 以上、『題名のない音楽界』を観ての「題名のないリーダー論」でした。