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#97 国語の入試問題、著者が答えると?

 先日、京大のゴリラ研究者の山極さんが新聞の投稿記事で、大学入試問題に自分の著書の一部が抜粋された問題に、著者自身が答えるという記事がありました。さすがです。答えが二通りありました。まず一つ目は、「受験生としての自分」なら、こう答える。次が、「著者として」は、こう答えるというものでした。

受験生に求められている設問の意図

 どうして答えに二通りあるかというと、入試問題として抜粋された箇所”だけ”を読んで答えるなら、このように書くのが「設問者の意図」に最も近いからだという解説でした。与えられた抜粋箇所から、「多くの人が読んで感じること」を出題者は解答として期待しています。いわゆる”ユニーク”な、特別な感性を持った人だけが答えれるような解答は、「意図」から外れています。一言で言えば、「コミュニケーション能力」を調べています。

著者としての考え方

 もう一つの答えは、問題文として抜粋された箇所以外を理解している著者本人自身の考え方から、設問の文章に答えるという解答でした。あたりまえですが、多分これを入試で解答したら減点されることでしょう。(設問の中にない著者の考えが回答にある訳ですから、、。)

インタビューの意図を捉える

 さすが、山極さんだなぁーと思ったのは、記事を書くために対談している記者の”意図”を理解していることです。「むずかしいなぁ〜。」「これで満点になるかなぁ〜。」など、一般的に予想される内容を頭に浮かべていると、見事に予想外の二つ答えると言う”頭のフェイント”をこちらに仕掛けてくれます。このインタビューでも、山極さんのゴリラとアフリカのジャングルで実際にフィールド調査した経験から、”相手との立場”を意識しながら二つの立場からの解答を例示しています。サスガです。「アア、ナルホド」と思わせる説得力ある言葉でこちらに語りかける答え方。(普段からそんな答え方ができるとイイナァーと思っていても、なかなかできません。)

国語の目指すもの?

 普段の生活で、色々な人と何気ない会話をします。質問の答えと関係ない返事が返ってきても、日常生活なら「聞き流して」くれます。しかし、筆記試験や就職の面接などでは、問いかけ側の「意図」を理解して、質問の「答え」を答える、言葉のキャッチボール(コミュニケーション)が必要になります。

 ただし、詩や俳句など”芸術性”が高いものは、”感性”が要求されるので、ある程度は”訓練”?あるいは”素養”?が必要かもしれません。「古池にカエルが飛び込んで、水の音がするのは当たり前じゃない?」と言われて、「景色が目に浮かぶよね」って伝えても、相手に伝わらないと焦りますよね。(以前、これを英語で海外の方に伝えようとして、私の語彙力では伝え切れませんでした。)”素養”がたくさん?集まると”教養”になるのかもしれません。国語は、きっと教養の”肝心要”(かんじん・かなめ)だと思います。

 例えば、教養についての一つの考察が、次のnote記事かと思います。(お読みになる事、決して強要しません。笑) 、、、お後がよろしいようで。