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ベストディスク2019

気がつけば今年も残りあと10日程度。1年過ぎるのが早すぎて年々ついていくことが大変になってきている感じです。

2019年は大物邦楽アーティストのストリーミングサービス解禁が相次いだこともあり、個人的には今年こそが日本の音楽サブスクサービス元年なのではと思うような年でした。

そして、今年も素晴らしい作品のリリースが続いてくれたおかげで個人的にも楽しく過ごすことができた1年でもありました。

ということで、毎年この時期恒例のマイベストディスクをまとめました。洋楽邦楽問わずに順位はつけずに10枚選び、各作品には簡単なコメントとアルバムジャケット写真にspotifyリンクをつけてあります。

1. Billie Eilish「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」

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ビリーがこの1年でぶち立てた実績は言わずもがな。この作品を通して感じるのは。腹の奥底を撃ち抜かれるようなサブベースをはじめとする低音域のビートを繰り返し、そこに今の彼女にしか歌えない10代特有のメランコリックさを表現した歌詞をのせるだけで素晴らしい楽曲は作れてしまうというシンプルな答え。実兄・フィニアスのソングライティング能力の幅広さに感服させられる。にわかに噂されている20年の来日公演をとても楽しみにしております。

2. THA BLUE HERB「THA BLUE HERB」

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※Spotify配信無
2枚組30曲、客演無しでILL-BOSSTINO、O.N.O、DJ DYE3人寄るガチンコ一本勝負。序盤で日本の現在のHIP HOPシーンについて、中盤では過去から今に繋がる日本についてTBHの目線を語り、終盤はそれらを踏まえたうえで自分たちの今までとこれからを綴る。1曲目から30曲目まで通して聞いてこそ完成する本当の意味でのアルバム。

3. Brittany Howard「Jaime」

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Alabama Shakesのリードシンガーでありギター・Brittany Howardのソロデビュー作。彼女に音楽を教え、幼くしてこの世を去った実姉の名前を冠したアルバムを通して今の彼女を語るという作品。圧倒的なボーカルと芳醇なスモーキーさを感じさせる楽曲のかっこよさは相変わらず。

4. COMEBACK MY DAUGHTERS「WORN PATH」

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長らく目立った活動をしていなかったCOMEBACK MY DAUGHTERS突然の新作。全体的にUSインディーとカントリー色を強めることで、前作よりも自由に彼らのルーツから今ハマっている音楽を鳴らしている感じ。「I was young」の90年代EMOテイストの胸が熱くなり、「same old same old」のスライドギターが心に沁み入る。

5. FIVE NEW OLD「Emulsification」

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僕の周りではあまり話題になってないのが不思議なくらいの傑作。元々ジャズやブラックミュージックをベースにしつつ海外のバンドシーンとシームレスな音を鳴らしていた彼ら。今作ではTHE 1975を感じさせる「Fast Car」、Panic! At The Discoの今のモードとシンクロしたような「Keep On Marching」等、今のシーンとの共有性がますます加速している印象。

6. KANYE WEST「JESUS IS KING」

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一挙手一投足がとにかく話題になったカニエの待望作。『ラップは悪魔の音楽だから自作ではラップはしない』との事前宣言が話題になる中、延期を経てリリースされたアルバムはまさかのラップアルバム。但し、これまでの作品と異なりトラックはほぼゴスペルベース。悪魔の音楽であるラップをゴスペルというキリスト教を代表する宗教音楽で包み込むことで浄化を目指したのか。お気に入りは「selah」です。

7. 女王蜂「+」

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結成10年目の節目にリリースされた今作は音自体のポップさは更新されているものの、今までのどの作品よりも”彼女たち自身”について語られている作品という印象。特に「Introduction」は主題歌となった東京喰種のストーリーに絡めているようで実はハーフであり性別も飛び越えた存在であるアヴちゃんの自己紹介(=Introduction)であるという点が素晴らしい。節目だからこそ自分たちを曝け出し、次の10年に向かうという決意に溢れた作品。

8. SUNRISE IN MY ATTACHE CASE「FIREWORKS」

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回数で考えると今年トップクラスで聞いたアルバム。奈良という海なし県で結成されながらサーフロックがベースなバンドというプロフィールも面白い。彼らのスタンスはジャンルにとらわれず”今やりたい音楽をやる”とのことで、1枚を通して今彼らが影響を受けている様々な音楽を垣間見ることできる。「Like The Wave」はメロ部分で徐々に盛り上げていき、サビで一気に音を抜くというEDMっぽい手法をバンドサウンドでチャレンジしていたりするのも面白い。

9. ナードマグネット「透明になったあなたへ」

9.ナードマグネット

”パワーポップ大阪代表”らしくこれまでは"好きな女の子に近づけない気弱でナードな男子"を表現してきたナードマグネット。今作ではサウンド面ではグランジやエモを吸収しつつロックの歴史に輝く名曲たちのオマージュフレーズを取り込んだり、社会や差別のへの怒りを示しながら面倒な世の中で生きていくことを歌う力強さが表現されている。本当の弱さを知る音楽マニアこそが弱い人を助けられる強さを持った曲を作れることの証明のような作品。

10. 舐達麻「GODBREATH BUDDHACESS」

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2019年一番リアルなラッパーに彼らの名前を挙げるヘッズは少なくないのではないかと思う。過去の悪さを踏まえて今を語るラッパーが多い中、現在進行形でストリートでしのぎを削る彼らの書くリリックは時折背筋に寒気を感じるほどリアルなものに他ならない。一方でトラックはNujabesを彷彿とさせるようにジャジーでオシャレ。このギャップが見事にブレンドされて耳馴染みのよい身に馴染みのない曲たちが出来上がっている。来年こそはライブを見たいです。

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