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「The Very Best of Pluto Selection 2020」を公開しました!

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プレイリストレーベル・Plutoのセレクターを担当しているAiです。

Plutoは“人々の生活に寄り添うプレイリストの制作を通じて、音楽リスナーに「新しい音楽を発見する楽しみ」を、アーティストに自身の楽曲を広める機会を提供すること”をミッションに2018年に活動を開始。
音楽エージェント、音楽ライター、企業勤めの会社員、学生等、音楽を愛するセレクターたちが作成するプレイリストをSpotifyをプラットフォームとして公開しています。
※Plutoの詳細はコチラ!

世の中の状況や価値観が大きく変わった2020年。音楽が持つ役割は例年以上に大きなものだったと感じた人も少なくなかったのではないでしょうか。

今回、Plutoでは各セレクターたちが考える”2020年を象徴するベストトラック”をまとめたプレイリスト「The Very Best of Pluto Selection 2020」を公開しました。

各セレクターのコメントも記載しますのでPlutoが選ぶ2020年のベストトラック、ぜひ楽しんで聞いてもらえれば嬉しいです!

<参加セレクター> ※50音順
・Ai(@Ai_Tkgk
・がちゃーん(@orange_plus_me
・くさのこー(@kkkkssssnnnn
・コイズミリナ(@suicideofpops_
・金野和磨(@konno108
・Jolyne
・ひさおか(@hwendyyy
・峯大貴(@mine_cism

1.crystal-z「Sai no Kawara」(セレクター:Ai)
MCバトル人気は若干の落ち着きを見せているもののHIP HOP自体は前年にもまして強い存在感を放っていた2020年。個人的にはHIP HOPカルチャーで次々に飛び交う"リアル"という言葉の意味について考えさせられた年でもありました。
そんな中で突如Youtubeにアップロードされたこの楽曲は、リリックの内容、トラックの引用元、MV内に散りばめられた仕掛け(イースターエッグ)、最後の最後に用意された種明かし・・・それら全てが紛うことなき"リアル"でした。ここで内容について触れるつもりはありません。まずはMVを見てコメントを読み曲に込められたメッセージを紐解いて下さい。

2.Tomotsugu Nakamura「Copenhagen」(セレクター:がちゃーん)
意識的に一番多く再生した曲。透明だけど温度のある空気の気配が感じられて、リズムがあるけど浮遊感がある。宅録もやっている身として、ちょうど求めていた音像が完璧に形として現れて、参考にしまくりました。

3.舐達麻「BUDS MONTAGE」(セレクター:くさのこー)
埼玉県熊谷市レペゼン、少年院服役、大麻取締法での逮捕、全身に施されたイレズミ、金メッキのアクセサリー、柄もののアロハシャツやオーバーサイズな服装。明らかにその辺のシャバいヤツではない、危険な香りのするアウトローの鏡のような3人組ヒップホップクルー。
彼らの言葉は過去に侵した罪から得られた教訓のように心に刺さり、トラックを提供したGREEN ASSASSIN DOLLARの硬いビートとスロウド&リヴァーブぎみなサウンドが響く。2020年の停滞したムードのなかにあって、チルなムードのなかから力強い言葉を届けていく彼らの音楽は、やはり異色かつ非常に大きな存在であった。

4.(sic)boy, KM「Ghost of You」(セレクター:Ai)
胸のあたりまで伸ばした金髪、目の周りや唇に施すメイク、両手や首元には沢山のシルバーアクセサリー・・・一見するとエモやスクリーモ、V系を彷彿とさせるスタイルの彼が歌うのはHIP HOP。
HIP HOPの人気が高まる中である程度カテゴライズがなされていく中でJ-ROCKの雰囲気とHIP HOPを融合させた独自の世界観を打ち出す(sic)boyの存在感に圧倒されっぱなしの一年でした。
特に「Ghost of You」ではASIAN KUNG-FU GENERATION「君という花」をサンプリングしつつ東京の姿を映し出すリリックがクセになります。

5.SuiseiNoboAz「3020」(セレクター:ひさおか)
千年前から現在、そして千年後へ思いを馳せる圧倒的なスケールで描かれた一曲。千年後、わたしもあなたもいない夜にも、この曲がどこかの誰かのヘッドフォンで鳴っていて欲しい。2020年、マイベストソングです。

6.AI「Not So Different」(セレクター:Jolyne)
とにかくかっこいい…!メッセージ性が非常に高く歌詞の背景を知るとよりかっこよさが際立つ1曲。

7.KID FRESINO「No Sun」(セレクター:金野和磨)
KID FRESINOのテクニカルなフロウと小林うてなさんのスティールパンの音色が心地よく、何度も聴いてしまう楽曲でした。

8.ALI, AKLO「LOST IN PARADISE」(セレクター:Jolyne)
これぞ、グルーブ。肌で感じ取れるグルーブがそこにある1曲です。

9.4s4ki, Gokou Kuyt, maeshima sosi「風俗嬢のiPhone拾った」(セレクター:金野和磨)
2020年上半期で最も再生した邦楽曲で、極めて強い中毒性があるチルラップ。ずっと無限ループで聴けますね。

10.鳳凰火凛, PSYQUI「Shining Lights」(セレクター:くさのこー)
日本のキャラクターコンテンツ界隈のなかでも、今年ナンバーワンのハイテンションブチあげ超最強激ヤバマジ卍MAXクラブサウンド。つまり、最強。

11.Sawa Angstorm「BOOKS」(セレクター:がちゃーん)
今年おそらく快進撃を進めている京都のエレクトロニカバンド。音の尖り具合にも勢いがあるこの曲を聴いて、久しぶりにエレクトロニカ的なジャンルの中に若い新星的な新鮮さを感じたりしました。2021年以降も活動が楽しみだし、機会があればイベントにお誘いしたい方々。

12.Takara Araki「Punishment」(セレクター:コイズミリナ)
今年出会えてよかったアーティストは間違いなく、Takara Arakiさん。仄暗いエレクトロサウンドと彼女の耽美な歌声が醸し出す楽曲の世界観に惹かれ、のめり込むように聴いていました。

13.FEM「Light」(セレクター:がちゃーん)
エレクトロニカ界のハラスメント告発から少し時間が経ち、被害側だったCuusheさんがその空白の時間を抜けてリリースしたバンド楽曲。インタビュー等でも、すごく明るくなった訳ではないということは語っていたが、彼女の心の芯が前を向いて、強く、光が記憶さえも変えてくれると歌っている曲には本当に勇気をもらい、心折れそうな瞬間に聴いていました。

14.イヤホンズ「記録」(セレクター:くさのこー)
音楽サイトナタリーで行われた取材で発言されたセリフをカットアップし、セリフから類似されるサウンドを徐々に徐々に重ね、最終的には取材音声×エレクトロニカへと変化していく1曲。三浦康嗣(□□□)による日常風景からのフィールドレコーディングとエディットは「日常の中に音楽を」という標語を地で行くものだ。
もしも良ければ、『Theory of evolution』の2曲目となっている「記憶」を続けざまに聞いてほしい。3人組声優ユニットイヤホンズとスタッフ陣によるチャレンジングな姿勢に、心動かされるはずだ。

15.Minamo & Moskitoo「Atypical Dialogue」(セレクター:がちゃーん)
実は自分が企画したイベント"タビノエ"が初めてのMinamoとMoskitooのコラボレーションライブで、偶然にも楽曲が生まれるきっかけに関わらせて頂いたようで、レコードをわざわざお送り頂きました。Minamoの有機的な静とMoskitooさんの透き通る声が水面に広がる波のように混じり合う、最高の作品だなと思います!

16.Asami Tono, Shushi Matsuura「Can You Hear」(セレクター:Ai)
Plutoをやっていてよかったなと思えることのひとつがサブミットによって未知の素晴らしいアーティストに出会えること。SSWでありトラックメーカーのAsami Tonoさんもその一人です。
「Can You Hear」は不規則なビートにピアノと彼女の透き通った声がだんだんと重なり合って迎えるカタルシスがとても素晴らしい楽曲。Tonoさんは自分の声を楽器のように使ってサウンドと溶け込ますことができる素晴らしい才能の持ち主だと勝手に思っているので来年以降も活動を追いかけていきます!

17.BUMP OF CHIKEN「アカシア」(セレクター:がちゃーん)
なんといっても自分はポケモン世代なので、スペシャルムービー「GOTCHA」の完成度が非常に非常に高く感動し、そういった長く積み重なれたゲームのストーリーを受けつつも主人公にもポケモンにも共感できるような歌詞で、冒険の気持ちを思い出すメロディでバンプの曲が仕上がっていることにタイアップ企画としてもとても感動した楽曲で、聴きまくりました。(去年のばらの花×ネイティブダンサーに続く、広告キャンペーンに高い解像度で楽曲がコラボされた事例と思ってます)

18.田中ヤコブ「BIKE」(セレクター:峯大貴)
※峯大貴のコメントは最下部

19.[Alexandros]「Starrrrrrr -Bedroom ver.」(セレクター:ひさおか)
新型コロナウイルス感染拡大の状況下、最前線で働く人や自宅で過ごす人が眠る前にベッドルームでリラックスして聴き、楽しんでもらえるようにという思いのもと、各メンバーの自宅からリモートで制作された楽曲。本作の収益の一部は、新型コロナウイルス感染症の治療と感染拡大防止のための活動に取り組む日本赤十字社に寄付された。時代の空気、求められている音楽をいち早く察知し、一音楽家として行動に移す行動力、姿に、”脱サラバンド”からここまで上り詰めた彼らの真髄を見た気がする。

20.折坂悠太「トーチ」(セレクター:峯大貴)
※峯大貴のコメントは最下部

21.ベルマインツ「ハイライトシーン」(セレクター:金野和磨)
時代が移り変わっても聴かれていくであろう楽曲。情景が浮かぶ楽曲です。神戸・旧グッゲンハイム邸で撮影したミュージックビデオも最高です。

22.羊文学「砂漠のきみへ」(セレクター:金野和磨)
羊文学のことは2019年以前から大好きでしたが、この曲を聴いてネクストステージに進んだなと思いました。これまでの羊文学の良さはそのままに、かっこよさを失うことなくポップに、ポジティブな気持ちにさせる楽曲。

23.時速36km「ハロー」(セレクター:ひさおか)
2分36秒に疾走感、焦燥感、劣等感がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。今までやってきたことを一度見直し変化していこうという、彼らなりの方向転換が抜群に当たった。バンドがまた一つ大きなステージへ向かうための大きな分岐点となったはず。Ba.オギノが自身で監督・編集したMVは現在36万再生を突破。こちらも必見。

24.ATATA「2020」(セレクター:Ai)
メンバーそれぞれが仕事をしながら主に土日を中心にライブ活動を続けてきたATATA。活動10周年当日に恵比寿リキッドルームでのワンマンを予定していましたが新型コロナの影響でやむなく断念。代わりにサプライズリリースされたのがこの「2020」でした。
タイトルのとおり2020年の状況を踏まえつつ彼ら自身の10年間を振り返りながらこれまで関わってきた人たちと2021年に思いを馳せる楽曲です。途中で入るQUEENパート(?)のようなお楽しみ要素にクスッとさせられるところも彼ららしくてとても好きですね。

25.BBHF「僕らの生活」(セレクター:金野和磨)
2020年通年で最も聴いた楽曲。楽曲を初めて聴いた曲に涙が出ました。『よくぞこの曲を…』と思いました。羊文学とも通じますが、彼らはインディーでありながらポップで、一般的に対立しうるその2つを両立させる尾崎雄貴のソングライティング力の高さを改めて思い知らされました。

26.Peridots「"shoulder"」(セレクター:コイズミリナ)
2006年リリースの楽曲ですが、今年よく聴いたので。ヴォーカル・タカハシコウキさんの優しいハイトーンヴォイスは、日々の葛藤で消耗する心をゆっくりと解きほぐしてくれたように思います。とりわけ「“Shoulder”」の穏やかな日常と幸せの中で誓った、力強い決意の言葉たちに救われていました

27.ゲスの極み乙女。「綺麗になってシティーポップを歌おう」(セレクター:くさのこー)
ここ数年に急激にフックアップされ始めたシティーポップ。彼らが描く情景はロマンティックで、リスナーに与えてくれる勇気は大きなものだろう。
ゲスの極み乙女はリスナーの弱みや痛みに触れるバンドだ。その感情がいかに下衆なものであれ、躊躇わずに彼らはその心を歌ってきた。
この曲では、シティポップが生み出すロマンティズムに心洗われ、理想の自分を夢に見る人々を描いている。彼らにしてはとてもロマンティックに奏でながら、彼らの演奏は最後にはズレはじめる。その願いや理想は、身の丈違えたものだと言わんばかりに。

28.Age Factory「Merry go round」(セレクター:ひさおか)
人によっては物足りなさを感じるかもしれない新譜。しかしわたしは今のモードの方が俄然好み。カオスな時代の空気の中で、全員が共有している寂しさや儚さをAge Factoryはこんなにもノスタルジックに美しく表現することができるバンドなのだと気づくことができた。

29.Gezan「東京」(セレクター:Ai)
これまでにも「東京」の名を冠する素晴らしい楽曲がありましたがGezanの「東京」もまた今後ずっと語られる名曲になるでしょう。
分断に喘ぐ東京の情景を切り取りながら、それでもひとりひとりが想像力を巡らせることで何かを変えていくことができるというメッセージを伝えるためにはBPM100縛りにトライバルなビートとケチャを彷彿とさせる咆哮を合わせたこのトラックが必要だったのだと信じさせてくれる楽曲です。

30.米津玄師「優しい人」(セレクター:コイズミリナ)
今年8月にリリースされたアルバム『STRAY SHEEP』の収録曲。剥き出しの感情や羨望を包み隠さず、ありのまま歌ったこの曲。シンプルなギターのアルペジオやストリングス、ピアノの音色の美しさとあいまって、今年聴いた中でも忘れられない曲になりました。

31.ヨルシカ「風を食む」(セレクター:くさのこー、ひさおか)
(くさのこー)アコギの音色、ブリブリに鳴らすベースライン、ヒップホップばりに硬いキックドラム、女性の優しい声色やハミング。それらが混ざり合えばとても心地が良い、2010年代後半のシティポップ系サウンドがはっきりと示した等式に乗っかっている。だがこの曲が優れているのは、ベースの不意な遊びフレーズ以外はどのパートも拍子やBPMに対してクオンタイズされていて、ビートに対してかなりキレイにアプローチしていること、「計算された心地よさ」を作り上げている。
和歌に通ずる美しい日本語と情景は、消費社会と日常のなかにある心に静かに憂いをもたらしてくれる。家にいても、外にいても、歩いていても、電車のなかでも、とても計算された形で。

(ひさおか)「タップひとつで物が買える現代社会で、消費することに疲れてしまった心を、最後に優しく包むような曲を書きたい」という想いから生まれた一曲。印象的なアコギのリフのループが心地良く、心が落ち着かない日々のなかでほっとする時間を作ってくれた。

32.Nao Yoshioka「Loyalty」(セレクター:Jolyne)
このリズム感を持っている日本人はそうそういないだろうなという衝撃。自然とリズムを刻んでしまう、そんな正統派R&Bの1曲

33.Omoinotake「モラトリアム」(セレクター:コイズミリナ)
今年2月に公開された映画『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather 』の主題歌。映画本編のエンディングで流れたこの曲に衝撃を受けて以来、よく聴いていました。作品の世界観とも共鳴する、想い人への抑えきれない思いや葛藤が表れていますよね。

34.藤井風「何なんw」(セレクター:Jolyne)
打撃型ピアノパフォーマンスと広島弁の歌詞が魅力的な新進気鋭のアーティスト。遊び心とセンスの詰まった1曲。

35.米津玄師「海の幽霊」(セレクター:Jolyne)
水・海をテーマにしたタイアップ曲。その世界観と没入感は今年一。是非PVをみてそれを肌で感じて欲しいです。

36.ベルマインツ「2023」(セレクター:峯大貴)
※峯大貴のコメントは最下部

37.ROTH BART BARON「ひかりの螺旋」(セレクター:コイズミリナ)
緊急事態宣言があけた、7月のワンマンライブで聴いた新曲。のちにアルバム『極彩色の祝祭』に収録されたこの曲は、光が閉ざされ、暗闇の中でもがいていたときに心を照らしてくれた楽曲でした。2020年はROTH BART BARONの楽曲や、彼らの音楽家としての在り方に刺激を受けた一年でした。

38.寺尾紗穂「北へ向かう」(セレクター:峯大貴)
※峯大貴のコメントは最下部

39.斉藤和義「2020Diary」(セレクター:Ai)
2020年を締め括るにはこの曲しかないと思いました。およそ8分半の楽曲の中に斉藤和義が見つめる2020年と未来の姿が映し出されています。時折見せる、シニカルでラディカルな斉藤和義が僕は大好きです。

□峯大貴コメント
※Spotify未配信のgnkosaiBAND「Journey」も加えて選出
ライブハウスで音楽を体感するという私にとっての日常を奪われた中で、それでも音楽をどう楽しむか、どう向き合って書いていくかを試行錯誤する一年でした。こんな音楽に「生」を求めていたことを改めて悟り、一つ一つの楽曲に対してどこかコミュニケーションを求めるかのように、ストーリーテリングに耳が向かった年だとも言えるでしょう(それに反比例して聴く曲の総量は減ってしまったのもまた事実)。多くのメディアでの年間ベスト記事にてフォークやSSWにフォーカスが当たっていたのも納得で、この5曲の選出基準も例外なく、その歌心と物語に惹かれました。一見して不変で普遍な音楽様式。しかしそれがこんな変な時代のリアリティを包み込んでいることにまたグッときてしまうのです。

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Plutoは2021年も素晴らしい音楽たちをどんどん紹介していきたいと思います。引き続きチェック頂ければ嬉しいです!

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