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移住5年半でやっと見つけた居心地のいい人との繋がり

知人のカフェに行ったら、知り合いしかいなかった。

しかもオーナーはあぐらかいて座ってるし、もう1人は座敷席で寝転がっている。カフェスタッフはちょっと手持ちぶさた。え、そんなことある?今日連休最終日だけど?

その光景をキョトンと見回していると、誰からともなく「クククク…」と笑い出した。私も思わず「営業中の店で、なにしてるんですか(笑)」と、寝転んでいる知人に声をかけた。

その後すぐにまた全員共通の知人がやってきて「え〜〜〜!」と全員びっくり。誰1人約束していないのに、カフェの中に知り合いしかいない。しかも全員が全員と知り合い。

とりとめもない会話が始まって、全員が会話に入っているような、そうでもないような自然な雰囲気で様々な話題が飛び交って。そうしているうちに、地域の課題や知事選など真面目な話も飛び交い始める。

なんてことない週末の午後なのに、こうしてみんなが集まると特別な場所、特別な時間に変わるような気がした。居心地がいい。無理がない。

よく考えたら、そんなふうに思えるなんて、この街に暮らし始めてから一度もなかった。

5年半ずっと、しっくりこない感覚

ずっとぴたっとハマっていないような、座りが悪いような。そんな気がしていた。東京から家族で飛騨へ来てから、もう5年も経つのに、ずっと。

その理由は、はっきりわからなかった。ご近所は素敵な方ばかりで良くしてもらっているし、保育園や学校の先生方にも本当に感謝しきれないほど助けられている。数は少ないけどママ友もいる。

けれどずっと、ずっと自分がこの街にも属していないような、いつまで経っても慣れないような、そんな気持ちがしていた。

私は地方の生活に憧れていたわけでも、地元東京が嫌だったわけでもなんでもないのに、人生の不思議な縁で地方に来ることになった。自分で選んだことだし後悔はない。でもなんだろうこの、サイズが合わない服をずっと着ている感じ。

何年か前は、その理由のひとつが「友達がいないこと」だと考えて、友達を作ろうと必死にイベントに顔を出したり、そこで連絡先交換した人と「遊びましょう」って話をしたりしていた。でも、結局、相手との大きな共通点や「遊ぶ」に至る自然な繋がりがないので、どこか無理して連絡をとった結果、「遊ぶ約束」も全消滅していった。その人のことは本当に興味があるし、色々話してみたいのに、なぜかそこに行動が伴わない息苦しさがあった。

そして頑張るのも疲れてしまい、私はこの、もはや普通のこととして捉えるようになってきた。もはや割り切って諦めている自分がいた。

「仕事も遠隔でリモートしているから、近所に知り合い増えるわけないよね。もうそれでいいじゃん。無理するのはやめる。」と。

そう決めてしまったら、逆に気が楽になり、以降あまり気にせずに暮らしてきた。ハマってないの上等!ってくらいに。

自然に受け入れて、受け入れてもらえる。そんな場所が欲しかったんだ

そうやって、諦めて暮らしていたのだけど、冒頭のカフェでの出来事があってから、私は気づいた。

「あれ、これって、自分が居心地のいい場所ができているってことじゃないか!」

市内に知人が始めたカフェができて、そこを軸に、知り合いが知り合いだったり、以前私が少しだけアルバイトした施設の方がお店のオーナーと友達だったり。そうやって少しづづ輪が広がっていった。

そのカフェふらっと遊びに行って、コーヒーを飲みながらおしゃべりして、ダラダラと午後を過ごしたり。そのお店のスタッフのお家に家族でおじゃましてご飯を食べたり。

そうやって時間を過ごしていると、何気ない会話の切れ端から、熱い思いが湧いてきたり、こんな面白いことをしている人がいるよ、と盛り上がったりもする。

暮らす街で「○○くんのママ」「〇〇の孫の嫁」ってポジションでいることが多かったから、「私」として対等に関われることができる場所があることが心の栄養になる。

カフェで出会う仲間も、そこに固定のメンバーがいるわけではなくて、ゆるくつながっている人が自然と集まってくる。私だって、いつもいるわけじゃない。だからこそ、居心地がいいし、いろんな人が集まって新しい風が吹く。

これが私の求めていた居心地のいい人との繋がりだ。無理に求めて無理に入り込むんじゃなく、自然と受け入れて、自然と受け入れてもらえる場所。無理のない場所。

この居心地は特定の友達から得られるものではなく、人との縁やつながりの中で自然発生してくるもの。そりゃいくら徳を積んだからって「はい、どうぞ」とプレゼントされるものではない。

私がいくら「面白い出会いが欲しい!友達が欲しい!」といくら叫んでも、本当に自分が求めるコミュニティや人と、自分が本当に落ち着く関係性が築けなかったのは、自然体じゃなかったのかもしれない。むしろそう叫ぶことが逆効果だったかもしれない。

もしそんなふうに悩んでいる人がいるとしたら伝えたい。

大丈夫。時は来るよ。
だから、それまで人とのちょっとした出会いやちょっとした会話を大切にして、でも無理せず、人との関わりを断たないで。

私なんてこう思うまで、移住して5年半かかってしまった。でもおそらくこの5年半にたくさんの人と出会ったり、すれ違ったり、出会えそうで出会えなかったり…いろんな人との縁があってこそ、ここまで来れたのかな。

そう思うと私に必要な時間だったかもしれない。長いけどな。

楽しくなるのはこれから!地元を離れた暮らしも悪くない。


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