見出し画像

15歳で相撲部屋のちゃんこ鍋をもりもり食べた私が、37歳で相撲にハマるとは。

先日、「相撲がすきなんです」って記事を書いて多くの方に読んでもらえた。とっても嬉しくて、1人パソコンの前でニヤニヤして、喜びを密かに味わった。

ふと、「そろそろ春場所も始まるなぁ」と思い、書いてみたのだが、好きなものに関して自分が書いたものをたくさんの方に読んでいただける幸せを噛み締めている。

でも、「そもそもなぜ相撲にここまではまったのか」と、私と相撲の関わりを考えていたら、たくさんの相撲に関する自分の記憶が蘇ってきた。そのひとつが、相撲部屋に行った記憶。

あ、わたし、15歳のとき、相撲部屋でお相撲さんに囲まれてちゃんこ鍋食べたことあるわ…。

15歳のとき、友達のお母さんが、とある相撲部屋の女将と友人だったことがきっかけで、なぜか友達親子と私と母と弟がその相撲部屋にお邪魔した。

何を言ってるかわからないかもしれないが、私もいまだによくわからない。でも一応母に確認したけど、私の夢じゃなく事実だった。15歳の私は相撲などまったく詳しくもなく、「連れて行かれた」というほうが正しい。

私はそこで、お相撲さんに囲まれてちゃんこを食べた。文字通り、「囲まれて」。

「ちゃんこどうすか?」

親方とお相撲さん数人、女将さん、そして私たちで大きな円卓を囲む。たくさんの手作りのおかずと、特製のちゃんこが並ぶ。

そして円卓を囲む私たちの後ろで待機するお弟子さんたち。どれも美味しかった記憶はあるが、それ以上に忘れられないことがある。

私の器に入っているちゃんこが減ってくると、後ろに立ってるお弟子さんが「ちゃんこどうすか?」と声かけてくるのだ。

いまだにあのお弟子さんの声と表情、そして後ろから迫ってくる感じは忘れられない。

最初は「じゃぁ」と、お願いしていたが、何度も何度も若いお相撲さんが声をかけてくる。

そんなことが続くとわんこ蕎麦状態になり、流石にお腹いっぱいになる。

中学生の私はその状況にもはやプチパニックで、小声で

「あ、いや、いいです、大丈夫です……」

と何度も伝えたことを覚えている。

その横で弟(当時小6)が鬼のようにおかわりしてガツガツ食べていた。余談だが、食後、弟は親方に「うちの相撲部屋に来ないか?」とスカウトされていた。なんだそれ。

お相撲さんの優しさが、嬉しかった

でも、今ならこんなふうに思う。お弟子さんたちもきっと練習して上を目指して頑張っている食べ盛りの男子たち。お腹が空いていただろうに、中学生の子供たちに「ちゃんこどうすか」と声をかける。今の私なら、

「先に食べて!!むしろ食べてる姿が見たいから!!」

さらに、今なら「ひぇぇぇ」って思うのだが、そのとき場所中だったのだ。15日もある場所中。心身ともにコンディションをキープするのが大変だろう。

一緒に食事をした力士さんたちの名前も、今はひとりも覚えていないが、女将さんが「今日、負けちゃったのよ。」と言っていた。

そのときは「ふーん。そうなんだ」としか思わなかったが、今振り返ると、

「日々努力して頑張っているなか、大事な場所中で、結果が出せなくてくやしかったんじゃないのかな。」

「そのお相撲さんはどんな気持ちでそこにいたのかな」と胸がグッと押しつぶされそうになる。

そんなタイミングだったにも関わらず、私たちのような”お子ちゃま”を相手にしてくれて、優しくしてくれて、嬉しかったなぁ。

ついに相撲がまた私の近くにやってきた

この記憶を掘り返した今、実は相撲は、私の人生ですでにとてつもなく近くにやってきていたことを知った。

しかもこんなレアな経験をしたのに、これまで一度も相撲にハマることがなかったなんて。

あれから20年以上経って、私が子供達とテレビに張り付き、家事の手を止め、手に汗を握りながら尊富士の優勝を見つめていたこの3月場所。

ついに相撲がまた私の近くにやってきたのだ。まさか私の人生に相撲ブームが来るとは。

好きになるきっかけがいくら周りに落ちていたとしても、琴線に触れなければそのまま通り過ぎてしまう。でも何かのきっかけで目に留まることがあるとすれば、そのときはその気持ちを大切にしなきゃ。

いま私の人生に「相撲がすき」がある。子供たちと一緒に楽しめる「すき」は最高に楽しい。

15歳のあの日のわたしに会えるなら言いたい。将来、ハマる日が来るから今日のことは大切に大切に記憶に残しておきなさい、と。

「は⁉︎何言ってんの?」って15歳のわたしに言われそうだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?