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北海道に貢献するために。共創推進により「ALL 道総研」を目指したい

北海道立総合研究機構様:産総研デザインスクール5期生・宮島さん、6期生・大久保さん

産総研デザインスクールの修了生・現役生の活躍を紹介するnoteマガジン「​​AISTDSアンバサダー」。前回の記事では、北海道立総合研究機構様(以下、道総研)にて産総研デザインスクール校長・小島が担当したデザイン思考のワークショップをご紹介しました。本ワークショップは所内研修の一環として、道総研所属で産総研デザインスクール5期生の宮島沙織さんの企画で開催されました。産総研デザインスクール校長の小島一浩が講師を務め、宮島さん、大久保さんとの共同企画・ファシリテーションを実現。今回の協働に至るまでのストーリーをうかがうインタビューです。

▼ 前回の記事

左:産業技術環境研究本部 ものづくり支援センター 開発推進部 ものづくりデザイングループ 大久保京子さん
右:産業技術環境研究本部 工業試験場 産業システム部 機械システムグループ 宮島沙織さん

産総研デザインスクールの学びを、道総研で広めたい

━ 今回、北海道立総合研究機構(以下、道総研)にて、研究所内研修の一環で、産総研デザインスクールの経験をもとに「デザイン思考」をテーマとした研修が企画されました。実施までの経緯を教えていただけますか。

宮島沙織さん(以下、宮島さん): 私は2022年に産総研デザインスクールに参加しました。ここで得た学びを私だけが持ち帰るのではなく、道総研全体に広めていきたいと思っていたんです。上司と相談するなかで、産総研デザインスクールで学んだことを活かしてMOT研修* でデザイン思考の研修をやってみませんか? とお声がけをいただきました。

※ Management of Technology研修。道総研の研究員を対象に、研究員の能力開発・向上を目的に年3回実施されている。内容は毎回カスタマイズされ、さまざまな研修が展開されている。

最初は産総研デザインスクールの活動報告を行う案もありましたが、せっかくなら産総研デザインスクールの学び方を体験してもらいたいと思い、産総研デザインスクールの小島校長を招いて研修を行うことに決めました。今回の研修は講義形式でなく、実際に手を動かしながら学んでいくワークショップ形式を採用したんです。産総研デザインスクール流のこだわりですね。

宮島沙織さん

━ 今回の研修ではデザイン思考をテーマにしたそうですが、「ニーズを引き出す傾聴と問い」に重点を置いた内容でした。どのような意図があったのでしょうか?

宮島さん: この研修を企画するにあたって、道総研の現状と望ましい未来の状況を描きだしてみたんです。「道総研が北海道民のニーズを引き出せる組織になってほしい」という願いがあり、今回は傾聴と問いに焦点をあて、それを体験できるワークを作ることにしました。小島さんに講師を務めていただき、同じく産総研デザインスクール受講経験のある大久保さんと共にファシリテーションを行いました。

大久保京子さん(以下、大久保さん): 宮島さんは昨年修了していますが、私は現在産総研デザインスクールを受講しています。まだ受講中ですが、私も道総研の研究員のみなさんにデザイン思考の考え方を共有したいなと思っています。

自分と組織のミッションをつなげる「My will」

━ お二人は産総研デザインスクールを受講いただいていますが、特に印象的だった学びはどのようなものがありますか。

大久保さん:産総研デザインスクールでは、ありたい社会像を描き、そこに対する自分の志「My will」を考える機会があります。私自身、産総研デザインスクールに入るまでは自分のMy willがわからなかったのですが、スクールの活動を通して自分の興味関心や心にひっかかるポイントを見ていくと、徐々に自分の軸を感じられるようになりました。

大久保京子さん

自分と他者のMy willを知っておくことは、共創においても大切だと考えます。異なる価値観でも根底の想いに近いところがあれば、一緒にものごとを進めることができる。産総研デザインスクールで学んだように、自分は何に心を動かされるのか内省をして、価値観が異なる人と対話をしながら、共通するビジョンを見つけていけると思うのです。

道総研も専門分野を超えて、望ましい社会のために共創できる組織にしていきたいし、そのためにも産総研デザインスクールで得た学びを広めていきたいですね。

宮島さん:私はMy willを考える際に、インナーニーズとアウターニーズに分解してみるプロセスが興味深かったです。

インナーニーズは自身の内側にある動機や感情からうまれるニーズ、アウターニーズは組織や社会から期待されるニーズを指す

普段の研究で目的や成果の報告会はありますが、個人のインナーニーズを共有する機会はほとんどありません。チームのインナーニーズを知っていたら、もう少しうまく進められたのに…と思うときもあって。だからこそ、今回の研修では研究員どうしのニーズを知るきっかけになったらいいなとも思っています。

北海道のさらなる発展のために、ALL道総研を目指す

━ お二人の想いが重なって始動した研修だったのですね。今回実際に企画を進行してみて、次はどのようなアクションを期待されていますか?

宮島さん: LEGOのワークを経て、3人対話では顔をあげて話す方が増えたように見えました。今後の業務でも、自分の手元から相手の顔に目線をあげて対話できるといいなと思います。今回の研修で得た知識を100%使いきれないと感じることもあるかもしれません。でも、「あまり相手の顔をみて話せていないな」と自分で気がつけるだけでも大きな前進になると思います。

大久保さん:一見、デザイン思考は難しいワードだと思いますが、まずは相手を知るための傾聴や問いかけを意識できるといいと思います。研究員だけでなく、仕事をする人なら誰でも必要な考え方だと思うので。今回のワークを通して、身近な業務や日常生活でも使えるスキルと感じてもらって、日々の実践で思い出してもらえたら嬉しいです。

━ 今回の研修を経て、あらためてお二人が道総研で成し遂げたい「will」、想いや期待を教えてください。

宮島さん: 「ALL 道総研」で取り組める研究を行いたいです。分野横断的な研究テーマはすでに存在していますが、他分野からアドバイスをもらうことに留まってしまうケースもあります。一つの分野では解決できない課題が溢れている今こそ、本当の意味での共創が必要です。道総研全体を巻き込める研究テーマを進めていきたいです。

大久保さん: 研究員一人ひとりがイキイキと研究に取り組み得る組織にしていきたいです。企業のニーズや組織のミッションに基づいた研究に、さらに自分のMy willが紐づけば、より熱量を持って研究を進められます。自分のインナーニーズを明らかにしたうえで、企業や北海道が求めているアウターニーズとの重なりを見つけていける。そんな人がもっと増えてほしいですね。

編集後記

今回の道総研内のデザイン思考研修は、産総研デザインスクール修了生の宮島さん、現受講生である大久保さん二人の「will(志)」がまさに反映された活動でした。「ALL 道総研」を実現するために、今後宮島さんと大久保さんが中心となり、おおきな共創の渦が生まれていく未来が浮かびました。

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