一日一句【菜根譚】#68 『文道皆要拙』:真の道に通じる素朴さ
文道皆要拙
文道:文(ぶん)の道(どう)
皆:すべて
要:必要
拙:つたない、素朴
つまり、「文道においては、すべてが素朴であることが必要である」という意味です。これは、飾り立てることなく、真摯に文に向き合うことが重要であるという教えです。
**「文道皆要拙」**という言葉
を聞いたことがありますか?
これは、中国の書家・蘇軾が残した言葉で、「文芸の道においては、すべてが素朴であることが必要」という意味です。一見すると、「素朴」と聞いて、技巧や華麗さを欠いたつまらないものとイメージしてしまうかもしれません。しかし、この言葉が真に伝えようとしているのは、飾り立てることなく真摯に道に向き合うことの重要性です。
技巧を超えた真の表現
書道や絵画などの芸術において、技巧や華麗さは確かに人を魅了します。しかし、それだけに固執してしまうと、形式的な作品になりやすく、真の表現を見失ってしまうことがあります。一方、素朴な表現は、飾り気がない分、見る人の心に直接訴えかける力を持っています。それは、技巧を超えた真の表現と言えるでしょう。
真摯な姿勢が生み出す美しさ
文芸の道において、「拙」であることは、何もできないという意味ではありません。むしろ、真摯に道に向き合い、自分の内面と深く向き合うことによって生まれる美しさなのです。それは、飾り立てることなく、自身の言葉で真実を表現しようとする姿勢から生まれます。
日常に潜む「拙」を見つける
「文道皆要拙」という教えは、文芸の道だけに限らず、私たちの日常生活にも当てはめることができます。例えば、仕事や勉強において、効率や成果ばかりを追い求めるのではなく、真摯に物事に向き合うことで、新たな発見や感動を得られることがあります。また、人付き合いにおいても、飾らない自分自身で相手と接することで、より深い信頼関係を築くことができるでしょう。
真の価値を見出す
現代社会は、情報過多で目まぐるしく変化しており、私たちは常に効率や成果を求められています。しかし、その中で大切なのは、本当に価値のあるものを見極めることです。「文道皆要拙」という教えは、私たちに真の価値を見出すためのヒントを与えてくれます。
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