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楽譜を探すお仕事をネットでやってみようと思った。(その1)

過去のブログレポートをnoteに移行させる作業はちょっと休憩して、私が何故noteを使ってみようかと思ったのか、それをつらつらと書いてみようと思う。もしこの記事を同業者様がご覧になっていたら、何も言わずにそっとこのウィンドウを閉じるか、読み流しだけしていただけると幸い。

<そもそも、楽譜に興味はなかった>

元々習い事で始めたピアノ好きが高じて、高校の後は某専門学校の作曲部門なんかに行っちゃったりしたが、楽譜に関しての興味は専門学校時代から始まった。今まで楽譜を書いたりということをして来なかった。そう、演奏者にとって楽譜とは「読むもの」で、楽譜を書くのは「作曲者」。もっと言えば、大して楽譜に興味はなかった訳だ。ところが、作曲部門なんていう聞こえの良い場所に入ったために、楽譜を書かなきゃいけなくなった。字や絵を書いたりするのが好きだった自分にとって、楽譜を書く作業というものは苦ではなかった。しかし最初は、楽譜に書き方や決まりがあるなんていう専門的な部分は全く知らなかったので、ちっとも楽しいものではなかったのである。むしろ面倒くさい!こんなん書いてる時間あったら、Vision(当時、楽譜ソフト単体よりもシーケンスソフトに導入されていたものが便利だった)のソフトで楽譜変換した方がいいじゃん!(←典型的な怠け者w)という考えは頭にあった。ところが、専門学校も3年に入れば、様々な授業や課題に(面倒だと言いながらも熟していく)耐久性がついてくるもので、新たに「写譜ペン」なるもので楽譜を書いてみろという時間がやって来た。管弦楽法の時間だったと思う。私の「楽譜書くの面倒くさい根性」が一転した。

なにこれ、写譜ペンおもしろい!(興味スイッチが入った瞬間)

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初めて使ったのはぺんてるの写譜ペン(プラスチック製で太さ1.3mm)なのだが、売ってる楽譜のような音符や線や旗が書ける!これに感動した私は、作曲した楽譜提出に写譜ペンを使って課題の提出をするようになった。他、当時の専攻担当の先生の楽譜書きの手伝いをしたり、最終的にはウィンドオーケストラの楽譜全般の総譜やパート譜書き(いわゆる写譜バイト)をやるようになった。楽譜の仕組みを知っていくと、こんなに面白いものはない。専門学校卒業まで、時間を見てはちまちまと学内アルバイトなんぞをしたものだ。

<楽譜を書く仕事とか、ないのかねー?>

学生時代なので、身についてものを活かす職業に就きたいと思うのが当然だと思う。情報を探した結果、そういう仕事はあった。しかし、まだまだ力が足りんので『写譜まで行かなくても楽譜関連の仕事とかなんかないかなー』と、学生の就活時期には必ず訪れるであろう「怠けグセ」「好きなもん以外やりたくない」「仕事したくねー」の三拍子(こんなトリオ要らんのに/笑)。ロクすっぽに就活もせずに卒業して(一応某大手に行って、入れそうな雰囲気までは行けたけど、当時の住居から遠すぎてやめてしまった…)、当時は自宅の引っ越しもあったせいで一度就活を停止。その間はバイトでもせんとなー…と思った時に見つけたのが、楽譜の卸問屋さん。社名は伏せますが、当時はビックリした。なんだこれ?ってくらいの楽譜の量。山積み。「えっ、こんなに??」と驚くほどの楽譜の量が倉庫にあって、こんな仕事もあるのだなぁと。卸問屋なので、受注をもらって、それを相手先に送る。やっていく作業は簡単。数こなせばどんどん覚えていく。
休憩時間に楽譜の中を見たりしたが、結構興味深かった。メーカー毎にフォントが違う…「へー、フォント統一しないんだ??」と思ったのが、楽譜に興味を持つきっかけに。後に、それは楽譜のフォント統一云々ではなく、ただ単に「印刷が古いか新しいか」「楽譜の作製法の違い」それだけの差だったのだが。とは言え、主にジャズのジャンルに多い部分だが、リードシートや教本などはまだ手書きのものが多いし、現代音楽作曲家においては「手書きのままであることを味とする」という部分もある。楽譜の種類は多種多様で、こりゃ面白いと思ったり、メーカー毎の使用ソフトのクセなんぞを見つけたり出来たので、『個人的』に楽しいバイトでもあった。
楽譜の根本的な部分の面白さは、そういったところから入って行ったのだが、私がタイトルのような「楽譜を探すお仕事」を思うようになったのは、このバイトの内部異動(出荷業務が主だったが、後にアルバイトで顧客課に異動になった)があったから。顧客とは「対・小売店」なので、当時担当していたお店の要望に応えるという、カスタマーサービスみたいなことをやっていた。
誰それの〜こんな〜(説明)こんな感じの〜(説明)…楽譜、ありませんか? お客様からの問い合わせだったんですけど…
(誰のどんな楽譜?)こんなざっくばらんな問い合わせから始まった。まだネット検索も導入するかしないかの時期に入ったバイトだったので、当時は探すのも一苦労。今はWebで検索すれば大抵のものは見つかるし、しかもお店に行かずともダウンロード販売している店もある。ネット通販で営業しているところもあるし、要望があれば楽譜におこしてくれるサービスをやってるとこだって出てきちゃう。

<楽譜って、版権が厳しいものなのだ>

まだ自分がピアノを習っていた時の話。個人のピアノ教室だったので、発表会の時に演奏する楽譜は必ず先生が用意していた。そこで聴いた曲があって「あっ、これって箱根 彫刻の森美術館の曲じゃん!!私も弾きたい!!」……何の曲かわかったあなたは鋭い。或いは私と年齢が近いか、余程の音楽通だとみた(笑)。そうです、ジョージ・ウィンストン(George Winston)の『あこがれ、愛 〜Longing / love 〜」詳しくはWikiにて。
この曲の楽譜が某出版社から発売された後、割と早い時期に絶版になった。版権問題があったからだ。(無許可で楽譜作ってしまったのだろうか?)先生が持っていた楽譜も絶版の貴重本。楽譜のコピーは基本的にNGなので、発表会のことは今思えば、当時としてはかなりレアなお話であった。後に版権問題は解除、海外のHal Leonard社より楽譜は正式に出版され、日本国内流通が可能となった。私も持っている。
音楽の権利の話は、ここで書くとめっぽう長くなるのでやめておくことにするが、しかし、楽譜の権利(版権)となるとまたこれが面倒臭い。アーティスト(バンド)の名前は使っちゃいけないだの、写真もWeb上での公開はNGだの…、その他も色々あった(ありすぎて忘れ申した…)。『そんなの楽譜の卸問屋が介入する場所じゃない…(溜息)』と思いながら仕事してた時期もあったのは事実。
欲しい曲があって演奏がしたいけど、耳コピとか無理だし、あるなら楽譜ほしいー!…となって、Webで検索して楽譜が出てこなかった場合、大体の理由は「新しいからまだ楽譜になってない」「販売的に売り上げが見込めない」「版権問題がクリアにならないアーティスト(或いは作曲者・事務所)」の3つが殆どである。

長い、本題が顔を覗かせているようで、いない。何だこりゃ。
その2に続く。

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