Top10%(1%)論文

研究をしていると、研究力を示す指標としてTop10%とかTop1%論文数などを見ることが時々ある。実際に、第5期科学技術基本計画(平成28~平成32年度)の目標値の一つとして、

我が国の総論文数を増やしつつ、我が国の総論文数に占める被引用回数トップ10%論文数の割合が10%となることを目指す。
(「第5期科学技術基本計画における指標の活用について」より)

とある。特に、大学などの機関や国の研究力を示す指標になるのだと考えられますが、研究者個人の評価にも用いられてくるのだと思います。ただ、そもそもTop10%論文と言われてもよくわからなかったので、せっかくなので備忘録として調べてみました。以下の記事・サイトを参考にしています。


ざっくり言うと、被引用数が高い順に上から順にランキングした時の上位10%と1%に位置するものを「Top10%論文」や「Top1%論文」と位置付けている。ただし、出版年から時間がたつごとに引用数が増加し、また研究分野ごとで論文の引用率も変わるので、これらの指標は、出版年や分野ごとに集計される。また、算出方法も、用いる文献のデータベースや分野の分類分けで変わってくるので、注意が必要だと思います。

論文の被引用数は、Web of Science(Clarivate Analytics社)、Scopus(Elsevier社)、Google Scholarなどで調べられます。ただし、同じ論文でも上記のデータベースの種類によって被引用数に違いが出るので注意が必要かと思います。(Google Scholarでの被引用数が高く出る傾向があるような気がします。)

次に、どのくらいの引用数があればTop10%(1%)の論文になるのかですが、これは、Essential Science Indicators (ESI) (Clarivate Analytics社)やSciVal (Elsevier社)などを用いて調べられます。

ここでは、ESIを使った調べ方について紹介したいと思います。引用のされやすさは分野ごとにことなるので、ESIでは、以下の22分野ごとに引用数が集計されています。(Elsevier社の場合は、27分野)

Essential Science Indicators (22分野)
1. Agricultural Science:農業科学、2. Biology & Biochemistry:生物学・生化学、3. Chemistry:化学、4. Clinical Medicine:臨床医学、5. Computer Science:計算機科学、6. Economics & Business:経済学・経営学、7. Engineering:工学、8. Environment/ Ecology:環境/生態学、9. Geosciences:地球科学、10. Immunology:免疫学、11. Materials Science:材料科学、12. Mathematics:数学、13. Microbiology:微生物学、14. Molecular Biology & Genetics:分子生物学・遺伝学、15. Neuroscience & Behavior:神経科学・行動学、16. Pharmacology:薬理学・毒性学、17. Physics:物理学、18. Plant & Animal Science:植物・動物学、19. Psychiatry/Psychology:精神医学/心理学、20. Social Sciences—general:社会科学・一般、21. Space Science:宇宙科学、22. Multidisciplinary :複合領域

手続き
1.ESIにアクセス
2.Field Baselinesのタブを選択
3.Percentilesの欄をクリック
4.過去10年間における各分野のTop○○%に相当する引用数がリストが表示される
5.自分の論文の分野と出版年に相当する1.00%と10.00%欄の引用数を確認して、比較すれば、自分の論文が1%や10%論文に含まれるか確認できる

このようにして、Top10(1)%論文に相当する引用数をチェックすることが可能です。


ちなみに、冒頭で示した通り、第5期科学技術基本計画の目標値の一つとして、国内論文のトップ10%論文数の割合が10%にすることが挙げられていましたが、2015年-2017年にかけてのTop10%論文数の割合は、8.4%という結果でした。(「第5期科学技術基本計画レビューとりまとめ」より)

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