リスクと警戒に消耗してませんか?


今現在、台風7号が接近しています。
つい先日、日向灘でM7.1の地震が発生して南海トラフ地震の臨時情報が発表されました。
今年の夏は、猛暑とゲリラ雷雨が毎日どこかで発生しています。
また株価が史上最大の下げ幅を記録しその後急回復するなど乱高下が起こっています。

リスク、警戒が日常的に呼びかけられています。
消耗してませんか?
今日はリスクと対応について考えてみます。

私は三十年以上空を飛ぶことについて生業としています。
リスクマネジメントは必須です。
自分だけではなくスクールのリスクマネジメントも行う立場にあります。

危ないならそんなことしなければいいじゃん。
と思う人もいるでしょう。
しかし、豊かな人生を送るために一定のリスクを負うのも人間の特徴です。
この性質によって、人類は地球のあらゆるところに居住場所を広げ文明を発展させて来ました。

熱力学第二法則エントロピー増大の法則というのがあります。
「乱雑さは増大する」
「秩序あるものは必ず無秩序に向かう」
コーヒーは冷めるように、部屋は使っているうちに散らかって行くのが常なのです。
最大のリスクは死だと捉えると、リスクを避けて家に閉じこもっていても個体の寿命は時間と共に減りつつありゼロにはならないものです。

地震や火山の噴火は周期が数十年から100年単位、1000年単位、大陸の移動などは億単位にもなります。
複雑系であり、因果関係が複雑で発生時期の予想は困難です。
気象においても精度は高まったとはいえ、ゲリラ雷雨や台風など正確な予想がむずかしい現象もあります。
市場という様々な考えや思惑で取引される株価も同様です。

有事となるような現象が発生、予想された場合に私たちはどうのような反応をするのでしょうか?

人類は厳しい自然環境の中を生き抜いて来ました。
私たちは防衛本能というアプリがインストールされているようなものです。
これは生命の脅威から身を守るということが優先されるため、身体的にすぐに発動するよう自律神経につながっています。

イメージとしては、「ある日森の中くまさんに出合ったら?」です。
これが3F行動と言われるものです。
fligt 飛ぶように逃げる
fight 戦う
freeze 固まる (死んだふりをして天敵が避けるのに期待する。体力を温存する。)

科学技術が発達しある程度環境を変えることに成功した現代社会では、この防衛本能との絡みで、「過敏、過剰、停滞」などの不適切な行動が起こっているように見えます。
また本来はいざというときのためのものですから、日常的に発動しているとストレスになり負荷もかかりますので故障してしまいます。

東日本大震災時茨城県にいました。ガソリン不足が深刻でした。スタンドには長蛇の列ができ、いつガソリンが来るのかもわからないまま待っています。
これは供給不足のためですが、普段満タンにしていない車にも皆が給油しようとしたため需要が急増えたためだと言われています。

つい最近ではコロナ禍のトイレットペーパー不足も然りです。
不足になるかもしれないという誤情報が訂正されたにもかかわらず、一度不足を目撃した人は買わざるを得なくなるのです。
店頭にトイレットペーパーが山積みされるのを見るまでこれは続きます。

本能の発する不適切な行動の連鎖を止め、適切な行動に統合していくためにはどうすればよいのでしょうか?

リテラシーと言われる基礎的な知識をつけることです。
これによって初めて自分とリスクの危険度が測れます。
リスクは相対的なのです。

時間を味方につけることです。
備えは平時にしか行えません。
発生が予想された時点で、すでにできることは限られてしまいます。

パイロットやアウトドアの世界では有名な言い伝えられている言葉があります。
「悲観的に準備をして、楽観的に対処する」
得てして、反対になっていないでしょうか?

7つの習慣という本に、緊急と重要について書かれていることがあります。
「緊急度が高いもの、重要度が高いもの」が優先されるのですが、これだけではいつまで経っても将来のリスクに備えることができません。
どこかで「緊急度は低いが、重要度が高いもの」に自分の時間や資金などの資源をを振り分け行動しなければ改善されません。

私は、何か事故や災害の報告や報道があれば、シミュレーションをするようにしています。
私がその場にいたらどうするか?
物事には事故になる閾値となるターニングポイントがあります。
被害を最小限に抑えるためにはどのタイミングでどのような行動をとれば良いか?
現実には未知の対応になりますが、この積み重ねがアイデアの引き出しを増やして生存率を高めてくれます。

環境が激変している世界では警戒のアナウンスが多く、自分の限られた時間や資金などのリソースを優先順位を決めて配分するリスクマネジメントをする必要があります。

リスクに対しての「見積もり、管理、整合性」を常に図り修正し粛々と行動していくことです。

リスクに対しての対応力や回復力をレジリエンスと言います。
個体の生命の時間は限られています。
豊かな人生を送るためにもレジリエンスを高めていきましょう。

参考資料
・youtube 執行草舟チャンネル
【南海トラフ地震について~緊急で動画を回しています】~人生にとって一番大切なことは何か
https://youtu.be/ES0YRg6HmaA?si=twti7FvQqQp6Z4X6
・クライシスマネジメントの本質: 本質行動学による3.11 大川小学校事故の研究 西條 剛央
・新版 動的平衡 1・ 2 福岡 伸一
・ポリヴェーガル理論への誘い 津田 真人
・地球の歴史 上・中・下 鎌田 浩毅
・複雑系 M.ミッチェル・ワ−ルドロップ
・ 物理学とは何だろうか 上・下 朝永振一郎
・レジリエンスの諸相: 人類史的視点からの挑戦




静岡県富士宮市朝霧高原朝霧アリーナという広い芝のやさしい斜面で、一人で飛ぶパラグライダー体験を開校しています。

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