DTM制作裏話「阿呆ノ祭」
こんにちは。
ボカロPの本田あいるです。
今回は先日公開した「阿呆ノ祭」の制作について書いていきたいと思います。
ボカロ曲を作りたいけど、何から始めればいいか分からないという人にも役立つ情報が盛りだくさんです。
制作のきっかけ
この曲は以前僕が作った『百鬼夜行』という曲の世界観を引き継ぐような曲をイメージして作り始めました。和風のメロディを重音テトに歌わせてみたかったら格好良いんじゃないかっていうのが制作のきっかけです。
この曲はまだDTMを始めたばかりで曲の構成もミックスもいま聴くと「もっとこうすれば良かった」ていうジレンマを感じていました。
コード進行
Key=Am
A,Bメロ=Am G F E7
サビ=Bm A G F#7
ラスサビ=G A F#7 Bm G A Bm
コード進行は下降していく循環コードである6543で構成されています。
ただずっと同じコードの繰り返しになってしまうのでAメロとBメロはメロディの符割りを変えて、符割りが同じAメロとサビは全音上に転調してコードを変えることでパートごとに変化をつけています。
ずっと同じリズムで同じコード進行ではどうしても退屈になってしまうので循環コードを使用する時の簡単なアレンジとして覚えていると便利だと思います。
ラスサビは祭りで踊り狂っている姿を想像して盛り上がるようなイメージで作りました。ずっと下降していたコードがこのパートから上昇することでメロディに高揚感つけています。
祭りに参加するまでの過程は下降して淡々と聴かせることで、よりラストの部分が際立つような作りになっています。
DAWを変えた影響
これまでの曲との大きな違いはDAWを変えてたことです。メインPCがMac Miniになり最新のLogic Pro11を使えるようになりました。Logicがメジャーアップデートによりヤバ過ぎる進化をしたことで、この曲のクオリティが上がったのは間違いありません。
今回のアップデートの目玉機能がAIによる自動演奏機能の強化です。僕が一番苦手としている鍵盤のフレーズをAIが作成してくれるので簡単にバッキングを作ることができました。細かいリズムのキメなども他のパートと合わせることが出来るのが便利です。もっとフレーズの幅が増えればEZ KEYS2がいらなくなりますね。
今回はベースもSession playerを使ったのですが内蔵音源とは思えないほど良い音が出ていることに驚きました。ラスサビからのスラップもAIが作ってくれたフレーズです。選べるベースの種類が増えたらもう他社の音源はいらなくなりそうです。
Logicになって不便に感じたのはマスタリング時のメーターなどがStudio Oneに比べて弱いことです。この部分だけは圧倒的にStudio Oneの方が使いやすいです。あと同じように作業していても微妙に完成した曲の音が違うように感じました。Studio Oneはカッチリした音、Logicは柔らかい音に聴こえるんですよね。これはDAW自体の音の変化というより、作業時の操作性の変化が影響しているのだと思います。個人的にはLogicの方が音楽的で優しい音で好きなんですが、Studio Oneの方が簡単にマスタリング出来るという悩ましい状況です。
歌詞の世界観
この歌詞は百鬼夜行という妖怪たちの祭りに参加しようとしている人間のお話です。現実世界で上手く周りりの人と馴染むことが出来ない主人公が人であることを諦めて妖怪に生まれ変わる。歌詞にある「汚い手叩き笑い合おう」というのは赤ちゃんがやる動きのことで、生きてきたことで汚れてしまったけどまた赤ちゃんに戻ってやり直したいという希望を表現しています。
無心で踊り狂うことでしか苦痛を忘れることのできない世界の無常さをテーマにしています。
使用したプラグイン
ドラム編
ドラムはSSD5を久しぶりに使ってみました。最近はEZ Drummer3をメインにしていたのですが、パンチがあって音も完成されているので使いやすいドラム音源だと再確認しました。軽くバスコンプでまとめてあげるだけで音作りは完成しました。
アコギ編
アコギはNative IntsrumentsのPICKED ACOUSTICをプリセットのまま使ってます。とにかく音がリアルで打ち込みぽさがゼロなのとレイテンシーを気にせずに使える手軽さが良いです。細かいフレーズは作れませんが様々なフレーズを繋げていけるので複雑な構成の曲出なければかなり優秀な音源だと思います。
エレキギター編
エレキギターはアコギと同じくKomplete音源のElectric Mintというストラトの音源にML SOUND LABのML800をかけて作っています。このアンプシミュレーターはMarshall JCM800をモデリングしているのですがメッチャ音が良いです。
Marshall系によくあるようなキンキンした感じがなく、気持ち良いクランチが鳴ってくれるのが最高です。値段も安いのでMarshall好きにはおすすめのプラグインです。
ボーカル編
ボーカルの音作りで変わっているのはディエッサーですね。T-De-Esser2というフリープラグインを使ってみたのですが、これは凄く使いやすくて音も良いので持っていない人はゲットしてください。無料でこのクオリティはエグ過ぎます。
コンプとEQで整えた後でVoxDというダブラーで音を広げています。こうすることでボーカルに独特の浮遊感を加えることができます。かけ過ぎると嘘くさい音に鳴ってしますので、オケとのバランスには注意してください。
EZ MIX3は最近発売されたプラグインで10個程のプラメーターだけで簡単に音を作ることが出来るお手軽ツールです。期待していたギターの音はCPUが高過ぎてイマイチでしたが、ボーカルとベースは良い音のプリセットがあったのでコーラスパートに使ってみました。
個人的にはコーラスパートの調整は難しく感じていたので簡単にメインボーカルとの距離感を演出できるのが良かったです。
マスタートラック編
UADのFairchild 670をバスコンプとして使ってます。このコンプは超有名な真空管コンプのモデリングで、自然にまとまり感を出してくれる上に倍音も足してくれるので音がリッチになります。実機は100万くらいするそうなので一生試すことはできないのが悲しいですね。
最後はOzone10で音圧を上げています。このプラグインは初心者でも簡単に音圧を稼ぐことが出来るのですが、最近この音が耳につくようになってきたので新しいプラグインを試そうと模索している感じです。おすすめのプラグインがあれば教えてくださいね。
かなり長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。
これからもDTMの記事を書いていきますのでまた遊びにきてください。
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