海にまつわる話 はじめに

 私は大分県出身で、高校3年生まで大分市で生まれ育った。父の生家は大分市、母の生家は臼杵市。どちらも特徴は異なるが、海と山に恵まれた土地だ。

 父と祖父は釣りが趣味で、私も弟もよくついていって釣りを教わった。毎年夏は海水浴に行った。夏以外の季節も、色々な海岸へ出かけたり、貝殻や石を拾ったり、潮の引いた磯を探検したり、釣具屋に買い物に行ったり、スーパーの魚売り場を偵察していた。家では、魚図鑑や釣り雑誌、釣り場ガイド(カラーの写真地図に釣りポイントや魚種のメモがされた本)を日常的に読んでいた。

 静岡県浜松市で大学時代を過ごし、それから東京に移り住んだ今、海のことをよく考える。大分の海も、浜松の海も、東京の海も、出かけた国内国外の海も、すべて同じ海で違う海だった。そして、いろんな場所で生まれ育った人と話していく中で気づいた。他の人の知らない「海」が、私の思い出の中にある。
 
 私はふと思い出したことをTwitterに書くことがほとんどだが、あることをツイートしようとした時、こういった思い出がツイートの波に呑まれていくことが勿体なく感じられた。

 以上をきっかけに、これからは海にまつわるちょっとした話をnoteにまとめることにする。
ほとんどが短編集あるいは詩集のようなもので、ときどき長い話もあるかもしれない。ないかもしれない。そのうち「山の話」シリーズも「畑の話」シリーズも出てくるかもしれない。出ないかもしれない。

 これは私の海にまつわる思い出の記録であり、あなたの中の「海」に対する問いかけや好奇心でもある。

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