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【おとなの読書感想文:36】そろそろ「ちはやふるplusきみがため」について書こうと思う

どうもコウノです。
久しぶりに「ちはやふる」です。

続編始まりました!

本編最終巻の番外編「はなのいろは」にて、千早のいっこ下の後輩・菫ちゃんが3年生としてチームを引っ張ろうとしている中、菫ちゃんに恋をしたイケメンで経験者の1年生がいたんですが↓

番外編「はなのいろは」の一幕

この長良くんが主人公です。
この時は「やな感じだなー」と思ってたんですが、「きみがため」ではなかなかの苦労人だと分かる事から始まります。

高校1年生にして、若い頃かるたをやっていたらしい母は既に鬼籍の人。父は仕事で忙しいので、家事と幼い妹の面倒を1人でやってます。

野球もテニスもバスケも、妹の面倒見る為に辞めちゃったけど、母の遺品整理で競技かるたを知り、母が歩んだ道を同じように頑張ろうとします。

全国大会優勝常連校の静岡・富士崎高校
のかるた部だったみたいお母さん

一方、同じクラスの秋野くんは、どうやら母親がなかなかの毒親。
スマホが欲しいけど買ってくれないので、お昼ご飯代を浮かせて貯金して、ようやくスマホを買った秋野くん。
(ちなみに毎日何を食べたか、写真撮って報告必須というシステムなので、長良くんの買ったパンをいつも撮影させて貰ってた。こわ)

今でこそ「毒親」という表現があるけど

が、見つかって即🔨でパリーン。の上味噌汁にダイブ。俺📱屋さんだぞ。やめろよえぐいやんか。悲しい。

こういう親って昔からいたよなあ

そんな秋野くんも、競技かるたに興味を持ち、どうにか親を説得させて、主人公の長良凜月くんより少し遅れて入部してきます。
そんな秋野くんのファーストネームは

まさかの「ちはや」。漢字違い。

ちなみにタイトルが「きみがため」なのは、今のところ長良くんのお母さんが好きだった札に由来するから、な様子。「きみがためを」と「きみがためは」と2枚あるので、だから長良くんと秋野くん2人が主役って事でしょうかね(推測)。

 ※

さて「ちはや」が登場です。
かつて瑞沢高校にかるた部を作って、全国優勝もして、クイーンになった本編の主人公・綾瀬千早と名前かぶり。
これには上級生達がざわめきます。そらそうだ。

上級生達のこの表情よ

特に2代目キャプテンの菫ちゃん↓が1番戸惑います。

長良くんは菫ちゃん→秋野くんかと勘違いして慌ててますが、そうじゃないんだよ。

特に菫ちゃんにとって、かつての「ちはや」は色んな感情が入り交じる先輩。

かるたも恋も敵わなかったのよね

そもそも菫ちゃんは太一の事が好きってだけでかるた部入ってるので、太一→千早だったのをずーーーっと見てきて、更に最終的に2人がくっ付いたのも知ってるからね。

OGとして番外編に登場

でも2代目キャプテンとして、部のピンチを自分が何とかしなきゃと走る菫ちゃんが、「助けて」と千早を頼ったのは、もう号泣必須案件。
「助けて」の1コマで泣かせてくるの、菫ちゃんかONE PIECEのナミぐらいやでホンマ。

そんな菫ちゃん、「きみがため」2巻にて遂に千早本人に本音を明かします。

初代キャプテンの存在がデカすぎる悩み
プレッシャーとかあっただろうな菫ちゃん

これね、若き日の自分自身を思い出します。
以前も書きましたが↓私は「ちはやふる」というマンガがこの世に生まれる前にかるた部として高校生活を送った人間です。

同好会時代の2代目部長。というのが当時の私の肩書きでした。
初代の部長がね、これがまあもんのすげえ美人で強くて、正に千早と菫ちゃんの構図でした。

頑張ったところで初代にはなぁーんにも勝てない。っていうのを初代が引退した時にまざまざと思い知りました。

 ※

巨匠・浦沢直樹先生が「YAWARA!」の連載にて散々「ワー!(歓喜の声)」を描いて来たので、次に発表した「Happy」では「ブー!(ブーイング)」を描こうと思った。とHappyの巻末か何かで仰っていて。
マジかよもっかい「ワー!」を描こうとはならないのか。と若き日の自分は驚いたもんです。
同じマンガ家の同じスポーツマンガでも明暗を分けた作品として、でもそれぞれ人気あって、という偉業。

今回の「きみがため」は、世代交代こそあれど同じ「ちはや」という選手がいて、同じ高校が舞台で。
でも主人公の置かれている環境において明暗がクッキリと分かれているし、その明暗というのも無理のない設定というか、確かにこういう立場に置かれてる高校生っているよな、というリアルがあります。

「ちはやふる」では後半になるにつれて、様々な登場人物一人一人にフォーカスを当てた描写がありました。
同じ高校生プレイヤーのライバルは勿論、顧問の先生、指導する立場の人、保護者、家族などなど。だからこそ台詞いっこいっこが心にズシンと響いてくるんですよね。
この「ズシン」が今回は更に重い。
で、「ワー!」よりも「ブー!」ってのは、読むの正直辛い時もあります。だからこそ1巻リリース時では、まだ私には感想を述べる度量がなかった。

ですが「ちはやふる」は決してあの近江神宮の浦安の間にて戦う者だけの物語ではない。登場人物の数だけ物語がある。
そしてそれはリアルの世界でも競技かるたに関わった人みんなに当てはまるんだ。と今回気付かされました。

初代の美人部長が「ワー!」を根刮ぎ持ってって引退してって、「ブー!」に程近い中でのポンコツな2代目部長だった身として、ああそうか、私もあれはあれで私の物語としてはよかったんだと、ようやく思えるようになりました。

競技かるたという世界をあんなにも幅広く描いて下さって、ありがとうございます先生……!


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