夜胃袋

24:50、意識がはっきりする。
25:00、本調子。
スニーカーのソールに夜景が浮かぶ。
点は点としてバラバラであればいい。
天の前ではみんな点なのだ。
てんでまだらな星たち。
誰の胸で一番素直になれたかと聞かれれば
迷わず「夜」だと答える。
人に見せられるのはいつだって一抹。
割り増しの同情はもううんざり。
私たらしめるものが壊れたとき
夜の胃袋のなかへ潜っていく。
きっと明日は消化不良
今溜飲が下がればいいのだ。

26:00、信号が点滅する。
26:25、SNS誰もいない。
静まりかえる部屋。
心臓と時計がひとつずつ。
くだらないことを考える。
野放図な夜を針が刻んでいく。
重いまぶた、ブルーライト、偏頭痛。
昼間なら全く興味ない
ヘミングウェイとか開いてみる。

27:40、鳥鳴き出す。
28:20、窓が白く霞む。
死んでいく生き物を見送っている。
散々美化した戯言が陽を浴びて灰になる。
こんな零落、誰が付き合ってくれるだろうか。
今更ベッドに倒れこむ。
数秒で意識が飛ぶ。
改まって礼なんて可笑しいさ。
なんたって意味など見出せてない。
だけれどきっと助けられている。
このどうしようもない胃袋に。
今日も陽の元を歩けるように。

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