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偶然の再会

こんにちは!!つい最近の出来事にはなるのですが、先日スーパーで昔勤めていたデイケアのご利用者様と偶然再会致しました。
普段は街中でご利用者様をお見かけしても声を掛けることはいたしませんが、その方だけはどうしても声を掛けずにはいられなかったのです。

そのご利用者様...Aさんはご利用者様の中では比較的お若い女性の方で左半身に麻痺があり車椅子生活を送られています。当時デイケアに勤めていた時は『AIRIさんに会えて嬉しい!!』とよく笑顔でお話していました。
中でもAさんが話してくれた事で一番嬉しかったのは、

『AIRIさんとかけまして〜ロウソクと解きます』

『その心は??』

『どちらも身を削ってでも周りをあたたかくしてくれます!!』

いつもありがとう...こんなに良い看護師は初めて!!と言って下さった事です。
新人時代、先輩看護師に『私らの仕事は褒められる為にやってるんじゃないから』と言われた事があるのですが、やっぱりこういう言葉を頂けるのは素直に嬉しいです。
看護師やってて良かったと思える瞬間でした。
自分のやってきた看護が誰かにとって良かったと評価して貰える...それは自分の自信にも繋がります。
今では思います...先輩看護師って相当ひねくれてたんだなって(笑)

そんなAさん...ある事がキッカケでデイケアの利用をやめてしまったのです。
それは入浴に関しての事ーーー
皆様の所でも色々あると思いますが、女性のご利用者様の入浴介助に男性介護士が入る事で揉めました。
女性介護士から『入浴介助の負担が大きい、男性介護士ももっと入って欲しい』と要望があったのです。
Aさんのように麻痺があったり、他にも少し大柄の女性で介助に大きな労力が必要な方がいらしたのですが、利用者様が『女性に介助して欲しい』という方に限り女性介護士対応とさせて頂いてました。そして、女性介護士対応の方がお風呂にいる時は男性介護士はお風呂場には入らないーーーというのがルールでした。
なので必然的に男性介護士よりも女性介護士の方がお風呂介助に入る回数が多くなるわけです。当時男性介護士は2人だけでした。お風呂介助が少なくなる分、率先して他の仕事をしてくれていたイメージです。
けれどもその声があがった事で現場は『女性介護士対応というのを廃止しよう』という動きになりました。
Aさんにもその説明はされました。説明の後、『AIRIさん、AIRIさん』と呼ばれAさんの元へ向かいました。

『私な、世話して貰わなあかん立場やから...ワガママなんも分かってる。皆が言ってる事も分かる...やけどやっぱり男性にお風呂介助して貰うのは嫌や...』

か細い声でした。いつも明るく、デイケアに来るのが楽しいと言っていたAさん。
説明では『毎回男性が対応するわけではない、どうしてもの時だけ』と言われたそうですが、Aさんにはショックが大きい様子でした。

そして、その日は来たのです。Aさんに女性介護士から『今日は脱衣場に男性介護士いるけどパーテーションもしてるから大丈夫』と話がありました。介助するのは女性で、脱衣場に男性介護士がいるだけーーーそれだけの事かもしれませんが、Aさんにとっては大きな問題だったのです。
お風呂の順番待ちをしていたAさんが『AIRIさんAIRIさん、私やっぱり嫌や』と私に胸の内を明かしてくれたその横から『はい、じゃあお風呂行きますねー』と声を掛けられAさんはお風呂場へと連れて行かれました。
急いで私も追い掛けました。お風呂場ではパーテーションをした中で服を脱ぐAさん、そして別の方の介助を下を向きながら申し訳なさそうにしている男性介護士ーーー何とも言えない異様な空気が漂っていました。

どうしてもの時だけーーーそう言っていたのに『慣れるためだから』とお風呂に連れて行かれたAさん。
今でも後悔しています、私が男性介護士と交代して私が介助に入れば良かったと。

結局、この事がキッカケでAさんはデイケアの利用をやめてしまいました。
他部署の方からは『どうしてそうなったのか』『女性だけで対応出来なかったのか』と尋ねられましたが、デイケアの主任は『対応出来なかった』の一点張りでした。主任は一度もその現場に顔を出さずデスクに座ったままでしたけどね(苦笑)
Aさんはデイケア最後の利用日に『AIRIさん、本当にお世話になりました。本当に良い看護師さん』と仰ってくれましたが、私は悔しくて悔しくてたまりませんでした。

そんなAさんをスーパーでお見かけした時、私は声を掛けずにはいられなかったのです。
『あの...デイケアにいた看護師のAIRIですが、覚えてますか??』
すると、Aさんは『え!?勿論覚えてるよ...え??え??』と最初驚いた様子でした。

デイケアの利用をやめてから別の所でリハビリを受けているとーーーあの頃はほとんど歩く事は出来なかったけど、今は歩く練習をして2mぐらい歩けるようになったとーーー今でも出会った看護師の中で一番はAIRIさんだよとーーー沢山話してくれました。

『私ね、来年の夏は浴衣着て立って写真撮るのが目標なの』

そう言いながらキラキラと笑うAさん。デイケアでは後悔の残る最後でしたが、今を生きるAさんの姿に私の方が元気をいただきました。

私もこの事がキッカケで看護とは何か、どう説明すれば相手が納得出来るのか、相手と向き合う大切さ、信頼関係の作り方ーーーなど多くの事を考え直しました。
皆様はいかがですか??日々何を考え、思って過ごしていますか??
是非今一度自分の事を振り返ってみてください。

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