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俺は死んだことがある

俺は死んだことがある


俺は死んだことがある お前はないだろ
死んだらどこに行くか 知ってるか
天国や地獄など そんな場所ではない
己の生き方で行く場所は決まる
良いことをしたとか 悪いことをしたとか
そんなことはひとつも関係ない
死んだことはあるかい 俺はあるぜ
死んだこともないのに 死にたいとか言うな

生きることは辛いけど 死ぬよりはなんぼかマシさ
死んだら何にもできないぜ ほんとだぜ
猫を撫でることも アイスを食うことも
何にも 何にも できないぜ
ただ ただ 突っ立ってるだけさ
考えることも 見ることも
何にも 何にも できないぜ
お前は今 悩んでる
何かに怯えて 何かを恐れて
それは生きてるから できるんだぜ
死んだら 悩むことも恐れることもない
ただ ただ 突っ立ってるだけさ
もっともっと悩んで もっともっと恐れろ
死ぬのは怖いかい 俺は怖いよ
もう2度と死にたくないね
死んだことがない お前らが
本当に 本当に 羨ましいよ

電車に撥ねられて 死んだ奴がいた
人の形はしてなくて グチャグチャだった
汚くて 臭くて 可哀想だった

恋人に刺されて 死んだ奴がいた
苦しそうに 泣きながら どこかを睨んでた
綺麗で 逞しい だけど人ではなかった

屋上から飛び降りて 死んだ奴がいた
怯えて 怯えて ただ怯えていた
グチャグチャで ドロドロで 黒かった

死んだ奴はみんな 生きたがっていた
わかるだろ 俺らは人間さ
死んだ後も ずっと 生きていたいのさ
お前は 生きてんだぜ
死んだ奴らが見たい景色を 見れてんだぜ

俺は死んだことがある お前はないだろ
俺は死んだことがある お前はないだろ
死ぬことの怖さを 知ってくれ

まだ まだ 死なないで
お前は、死を、ナメている
だからすぐ 死にたいとか 言うんだろ
どうか どうか 死なないで
死んでも 何にも 終わらないぜ
死んだら 死を 生きるだけ
猫を撫でてみろよ アイスを食ってみろよ
それだけできっと 生きたくなる
太陽を見ろよ 月を見ろよ
そうやってぼんやり生きてゆこう

生きなくてもいいから 飯を食え
生きなくてもいいから 早く寝ろ
生きなくてもいいから 夢を見ろ
生きなくても良いから 死なないで


あとがき

俺が鬱で死にたい時に書いた詞です。
俺が芸人じゃなく、音楽の道を選んでいたら節をつけて弾き語りたかったね。
俺がもし音楽をやるなら絶対にバンドは組まない。。もちろん好きなバンドはたくさんいて、聴くのは好きだけど、自分がやるなら絶対しない。俺は他人と同じ仕事をするのは得意じゃない。絶対にどこかで我を貫いて、他人の意見に耳を貸さず、そのチームを崩壊させてしまうから。俺に圧倒的な才能があって、行く人を次から次へと虜にするカリスマだったら話は別だが、俺には何の才能もなく、目の前の人間をクスッと笑わせることが限界だ。
それしかできないからお笑い芸人になろうと思った。人を感動させることも、人を惹きつけて虜にすることもできない。できるだけ他人の脳みそから俺の情報の割合を減らしたい。そうやって心身を縮こめて生きてきた結果が現状だ。


この詞の主人公は「死んだことがある」、そして、目の前で死のうとしている人間を見つけ、今まで目の前で死んで行った人間のことを悔やみながら自分の心の内を語っている。

俺はこの主人公になりたかった。この主人公になってあいつを止めたかった。特段仲が良いわけではなかった。でも生きていたらまた会いたかった。会って一緒に草むらに小便を撒き散らしたかった。小便じゃなく、お前が灰になって撒き散らされてんじゃねえか。笑ってやりたかった。でも誰も笑ってなかったから笑わなかった。その場ではみんなに合わせて暗い顔しといた。家に帰って部屋で1人で大笑いした。お前なら絶対そうしてほしいだろうから。

生きなくてもいいから、死なないで

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