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【野球の話】2015年ヤクルトスワローズ山田哲人選手のパラドックス

2015年のプロ野球レギュラーシーズンにて、福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手と、東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手が打率3割・30本塁打・30盗塁を達成し、その年の流行語大賞に『トリプルスリー』が選ばれるなど話題になりました。

超一流だけが集う厳しいプロの世界で生きて行く為には、自らの持つ能力を最大限に発揮できるよう、パワー特化型、スピード特化型、アベレージ特化型など、自分はこれだけなら負けないという能力に全振りして勝負する必要がありますが、「トリプルスリー」とは、パワー・スピード・アベレージ、その全てのステータスを同時に発揮し、それぞれに特化したスペシャリストと同等またはそれ以上の結果を残すという、非常に難易度の高い記録なのです。そしてこのトリプルスリーを過去に複数回達成したのは、山田哲人選手ただ一人です。

 

2015年の打撃タイトルで、山田選手は本塁打王と盗塁王の2冠を獲得しました。今回は、同じ年に本塁打王と盗塁王を同時に獲得するというプロ野球史上唯一の偉業について、その素晴らしさを語りたいと思います。

例えば首位打者盗塁王の同時受賞は、かつてイチロー選手が日本のプロ野球でもメジャーリーグでも達成しているように、ヒットを打てば打つほど盗塁を企図するチャンスも増える訳ですから、イメージが付きやすいと思います。

また、本塁打王打点王の同時受賞は、過去に75例もあります。確かにホームランを打てば打つほど打点が増える訳ですから、本塁打王がそのまま打点王になることには何の不思議もありません。

しかし、本塁打王盗塁王の同時受賞という記録は、先ほどまでの論理が当て填まりません。それどころか、ホームランを打てば打つほど盗塁を企図するチャンスは減る訳なので、誰よりもホームランを打ちながら同時に誰よりも多く盗塁を記録するというのは、因果関係においては相反する行為とも言えるのです。

才能を持った一握りの選手しか活躍出来ない世界で、時にあらゆる能力を兼ね備えたスター選手が現れ、本塁打王と盗塁王を、それぞれ別の年度に獲得した名選手も居ます。しかしそれを同じ年に成し遂げたという山田選手の偉業がどれだけ難易度が高いものなのかを多くの方にお伝えしたく、ここに綴らせて頂きました。

ちょうど先日、ヤクルトスワローズへの残留と超大型契約の報道が話題になりましたが、山田哲人選手の今後のご活躍と、スワローズの一層の奮起を祈念しております。最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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