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バスケ部に潜伏していた謎の影武者たちの正体

1990年代初め、漫画『SLAM DUNK』の人気とともに、爆発的なバスケブームが巻き起こりました。本場アメリカNBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンの全盛期とも重なり、同時にファッションアイテムとして広まったバスケットシューズは軒並みプレミアが付き、ナイキの「エアマックス」シリーズはバスケ部の生徒も高くて手が出せないほどの高値がついた時代でした。
 

私の周りでも、小学生の時にやっていた野球やサッカーを辞めて、中学校入学のタイミングで新たにバスケットを始めた友達も多く、休み時間はバスケの話題が中心でした。しかしその当初、会話の途中で時々「んんっ?」と思ってしまう、不思議なポイントがあったのです。

バスケの話の中で、なぜか「第1こーた」「第2こーた」という、私の影武者らしき名前が頻繁に登場するのです。「第1こーたは調子悪かった、第2こーたは少し盛り返した」みたいに。しかもごく自然な感じで私の影武者たちの話をしているので、思わず不安な気持ちになりました。今ここに居る自分は一体、何番目の【こーた】なのだろうと。

ふと、藤子不二雄漫画の『パーマン』に出てくる「コピーロボット」を思い出しました。小さな人形の赤い鼻のスイッチを押すと、自分そっくりの姿形にコピーされたロボットが、パーマンに変身している自分の身代わりとして動いてくれるのです。もしやと思い、念のため教室の鏡を確認したところ、鼻の頭は赤くなかったので、お陰さまで私自身はコピーロボットではなかったようです。
 

さて、本当に意味が解らずに聞いたところ、バスケットボールでは1試合の40分間が10分ごとに4分割され、その区分の名称が「クォーター(quarter)」とのことでした。「4分の1」という意味の通り、試合の前半が第1クォーターと第2クォーター、後半が第3クォーターと第4クォーター。何はともあれ、本人も知らない謎の影武者たちの話ではなかったと知り、少し安心しました。

ただひとつ言い訳になりますが、これは私の耳が単純に「第1クォーター」を「第1こーた」と聞き間違えたという話ではなく、友達の発音自体は、間違いなく【こーた】であったとお伝えしたいのです。
 

このご時世、人前では必ずマスクを着けるのがマナーとなっており、なかなか判別が難しいとは思いますが、もし鼻の頭が赤くなった私と出会いましたら、そいつは私の姿をした偽物ですので、くれぐれもお気をつけ下さい(=_= ;)

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