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日記6 塾講師トリップのススメ

人生において、それがあるだけで幸福度が低減して、1日が台無しになるようなことっていくつもあると思うんですけど、労働をせねばならない日というのは、誰もがそれと認定することだと思うんですが、私は今日がその日でした。


まぁ、社会人の方であれば、毎日が労働!、で、本当に大変だと思うんですが、私はまだ学生の身で、今日は週に二日あるバイトの日でした。以前も話した塾講師のバイトです。ちなみに、まだリリスから放尿LCLはダダ漏れていません。最近、やつをつけるたびに、今日は漏れないのかなぁ、なんて心配してます。それから、心配していたよりは、クーラーで暑さが軽減できています。案外、窓やドアが開いていても、部屋は冷えるもんなんですね。


まぁ、そんなこんなで、この幸福が低減する日を迎えた私なんですが、そんな一日でも、唯一幸福な時間があります。それは、塾の生徒がくるまでの十分間です。より正確にいえば、塾の最初の授業が始まるまでで、一人も生徒が来ていない十分間です。


なぜ、この時間帯が、こんな苦しい労働の時間の中の幸福な時間と言うのかというと、私の塾は最初の授業が、17:20から始まるんですが、講師は授業開始時間の二十分前には来ていないといけないので、大体、17時には、塾にいるんです。そこで、この二十分の間で、例えば、今日来る生徒のファイルを見て、今日はどんな授業をするかとか、何か連絡事項はないかとか、そういうことを考えるんですが、こういうことも大体、5〜10分程度で終わります。つまり、17:05〜17:10から私の幸福時間が始まるんです。


これがなぜ幸福かと言うと、生徒が来るのは早くて、大体、17:15分くらいで、まぁ、大体17〜18分くらいに来ることが多いんですが、その時間になっても全然、来ないこともあるんですよね。ちなみに、生徒が一人も来ないと、その時間(一回の授業時間は80分です)はとても暇になります。何もすることがなければ、他の授業に支障が出ない範囲で何をしても大丈夫なのです。


つまり、私は、この17:10から18分くらいまでの、生徒が来ない間、『もしかしたら、今日、生徒が一人も来なくて、労働で苦しい時間になると思っていた80分間が、自分の時間として使える、幸福の80分間になるのでは無いか!?』という夢想を行うことができるのです。こんなに素晴らしい幸福と愉悦を感じられる時間はありません。


皆さんも経験があると思いますが、(これは日記なので、誰に話しかけてるのかよくわかりませんが)例えば、学校で嫌な授業があったり、クラスメイトの前で発表しなきゃいけないような授業がある時に、その授業が自習になった時や、やらなくてはいけない、嫌な仕事があったのにも関わらず、偶然にもやらなくて良くなった、なんて経験ありませんか?あの時ってめちゃめちゃ幸福だし、解放感に溢れていて、希望が満ち溢れてきましたよね?


そして、何よりも、そのこと、つまり、やるべき苦痛をやらなくて済むことがわかる瞬間、あるいは、なくなることが知らされそうな瞬間、その時間が何よりも幸せではありませんでしたか?


その感覚を、私はその約20分の間に毎週毎週、得ているのです。もう最高です。よく人が興奮すると甲高い声でフーッ!!!なんて叫ぶと思うんですが、私はそういう興奮の仕方を全くしないんですけど、この時ばかりは、さすがに叫んでもいいだろうと思ってます。そんななかで、私は、生徒が来るまでは、クーラーの効いた涼しい教室の中で、スマホをタプタプしながら、Twitterやら何やらを見てるんですが、内心、一刻一刻と時が20分に近づくのを度々、確認し、20分になればなるほど、私の中のリビドーは高まってきます。


もう少しで、この苦しみから解放されるかもしれない、もう少しで、後輩の講師さんが横で授業している最中、こちらは生徒がいないから、バレないようにスマホをタプタプできるッッッ…!!!


ドガドガと自分の中で、湧き上がってくる何かを抑えながら、刻一刻とその時を待ちます。今日は、かなりこの瞬間が期待できる日だったことも、その勢いに拍車をかけていました。


そもそも、最近、コロナの関係で4、5月は、全く生徒が来ていませんでした。うちの塾は敷地面積が狭く、保護者からの要望も厚かったらしく、この期間も継続してやっていたんですが、ほとんど生徒は来てませんでした。何なら、三コマ授業があるうちの、二コマ目以外は誰も来ない日なんてのもざらにありました。そんな感じだったので、4、5月は最強でした。何分経っても生徒が来ない(遅刻してくることもあるので、授業が始まって10分以内は油断禁物です)ので、ワクワクがもうとまらない!状態でした。顔も腑抜けていたと思います。少なくとも、心の中でのニヤケが止まらないんです。うちの塾は塾長が常時いる塾では無いんですが、最終コマで、誰も生徒が来ないことがわかっていて、かつ、塾長がたまたま来ていた日なんかは、三コマ目の始まる時間で、家に帰してくれました。脱法かよ、と思いました。塾長は、『シフトを埋めてあげられなくて、申し訳ない』と言ってくださったんですが、こちとら、給料よりも好いトリップ剤を与えてくれたことに感謝しかありませんでした。




そんな、コンディションで迎えた今日。


18分になっても生徒はやってきませんでした。うちの塾は今、換気のため出入り口を開けっ放しでいるので、廊下の方から、歩いてくる音が聞こえてきたり、靴をスリッパに履き替える音が聞こえたら、ゲームオーバーなのですが、今日はそれも無い…!!!


と、その時、奥の方で階段を上がってこちらへやってくる音がありました。着実にこちらへ、歩を進める音です。一歩、また、一歩とどんどんこちらへ近づいてきます。


隣にあるダンス教室を超えて足音が迫ってきました。もう、こちらに入ってくることは確実…!


無念、希望は絶たれたか……、こうなると、今までのトリップから急転直下、現実を見させられることになります。最初の一人が来ると、大抵、流れるように、次々と生徒がやってくるからです。その後は、三コマ授業が終わるまで、ノンストップのパルプンテ・エデュケーションです。血も涙も無い、狂った教育協奏曲の始まりです。教育評論家の尾木さんだって逃げ出します。これが労働なのです。ちなみに、私はただのバイトです。




と、思った矢先、安堵の色が私に浮かびました。どうやって、私に浮かんだ安堵の色を見たのかはさておき、やってきた、悪夢の告げ子(ナイトメア・メッセンジャー)こと、第一の生徒は、何と、後輩の講師の方の生徒さんでした…!!!


Fuu!!!!!!


ナイトメア・メッセンジャーは、福音の申し子(サンクチュアリ・キッス)に生まれ変わったのです。


そこから、次に来た生徒(セカンドチルドレン)も、後輩の講師の生徒さん!!!


Fuu!!!!!!!!!!!!!



今日は勝ちの日だ!、勝鬨を挙げる時が数週間ぶりに来たのだ!、しかも、本日ハ、雨、曇天ナリ!



Fuu!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




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と、まぁ、その後に、すぐ私担当の生徒さんが来て、トリップタイムは終わりました。一人の生徒も休むことなく、遅刻もなく、大変、素晴らしい日でした。








私の美しいトリップタイムが失われたことを除けば。


おわり



追記

こんなことを書いていますが、普通にちゃんと授業もしてますし、叫んだこともありません。まして、バイト中にエクスタシーを感じたこともありません。

念のため。

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