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【全部ネタばれ】年間500人の心を開いてきたプロ・インタビュアーがインタビューされて、インタビューのテクニックをすべて語り尽くした超ロング・インタビュー記事(第三回)

テーマ:じゃあ、実際のところどうしているのさ?理屈じゃなくってそろそろ実践的な話を早くしてよ、じれったいからさ、PART01

年間500人以上対応のプロ・インタビュアーとして、数多くの経営者、文化人、タレント、学者、医療従事者、アスリート、専門家、ビジネスパーソンの話を深掘ってきた伊藤秋廣(株式会社エーアイプロダクション代表)が、初対面の人の心をわずか数分で開き、気持ちよく論理的に話を引き出すテクニックを、すべて大放出いたします。(聞き手:近藤由美)

人間の表面は似通っているけど奥底は違っている

近藤さん(以下敬称略):
前回は物事の理解のし方について、会話の中で理解していくために、比較したり、置き換えたり、時系列で捉えるって話をお聞きしました。

伊藤さん(以下敬称略):
そうですね。要するに、まずは外側から攻めていって、構造とか成り立ちとか、仕組みとかシステムとか構図として捉えたほうが、その中身を理解しやすいって話。組織やテクノロジー、モノやサービスはもちろん、人もそう。人を理解するのも一緒ですよ。その人の構造というか、成り立ちを理解するために質問を重ねていく。まずは、そうやって器を理解して、中身をのぞき込む感じ。そんなところから始める、みたいな。

近藤:
質問を重ねていく…その人のお人柄もあると思うのですが、こちらとしては「もっとあるんじゃないか?」と思っても、しゃべってくれない人もいるじゃないかですか、そういうときはどうするんですか?

伊藤:
いきなり、総論をすっとばして、具体論=ノウハウをぶっこんできましたね(笑)。しゃべらない人…それは掘って掘って掘りまくるしかない。何で何で何で? 何で何で何で? 何で何で何で?って(笑)。

近藤:
それで、相手が何も言うことがなくなるまで聞いてみる?ということですか?

伊藤:
それじゃ、お互いにヘトヘトになっちゃう(笑)。僕のやり方としては、相手の回答が出てこなくなったら例を出す。その行動の裏には何らかの考えとか行動原理とか根拠はあるはずなんですよ。突然変異でゼロから生まれるってことは稀っすよ。だから、そういう行動原理はあるけれども言語化できていないだけ。人間が行動するときに何も考えないなんてありえない。どこかに潜在的に何かがあって行動しているはずなんですよ。

あるけれど、普段意識したことがないとか考えたことがはないとか、言語化したことがないから、その場で言葉が出てこないだけ。そういうときはこっちから、例を出して「それはこんな気持ちがあるんじゃないですか?」
「もしかして、こう考えていて、こうしたいと思っているからじゃないですか?」
「それはいつから始めた習慣ですか?」
「会社入った頃から?」
「最初にやろうと思った原体験があるんじゃないですか?」
時系列的に一番、過去まで遡るか、あるいは何で何で何で?って真相を突き詰めるかって話だと思うんで、そういった質問を投げかける。一気にしゃべらせることはないんですよ、一枚ずつ扉を開いていけばいい。

それを始めたのはなぜですか?就職したときに、就職した瞬間に!? 22歳のときにそんなこと考えていたの? もしかして学生の頃から考えていたんじゃないんですか? 学生時代にどんな思いがあって、どんな社会人になりたくて、例えば、そのときから起業とか考えていた? そういう会社づくりをしたかったの?
さっき、自分で事務所の掃除するって言っていましたよね、社長自らやるんですね。もしかしたら、掃除をすることで若い社員たちに自分の背中を見せたりとか、そういうことをしたかった? と連鎖的に奥の方へと入っていく感じ。絶対に何かある、その人の行動の裏というか、思わずやっちゃうとか、選んじゃうっていうのも、どこかにそういう基準が生まれている。原理がある。みんな、それを言語化できていないから、そこを僕たちが言語化したい。

だから用意されているQ&Aスクリプト的なインタビュー記事ってつまらないんですよ。だって、掘ってないから。どうして、こういう人になったのか、その源流が見えないんですよ。掘ることができる質問って、現場じゃないと考え付かないですよ。その人と話してみないと生まれない質問ってある。事前に用意なんてできないですよ。そういうのって会話から生まれる。みんな一緒ではないんです。人間の表面って一見似通ってみえる。なぜなら社会的な仮面とか常識とか、そんなモノをかぶっているし、そういったフィルターを通して話しているから。どっかから借りてきた言葉でしゃべったり、借りてきた自分で行動している部分があるから。誰かの評価とか目を気にしないといけないから。けれども、奥底はぜんぜん違う。オリジナル。そこを見つけだすのがインタビューなんですよ。

掘っていくってどういうこと?

近藤:
ごく普通のQ&Aじゃダメってことですか?

伊藤:
入り口はそれでいいんですよ。表面的な、いつも聞かれているような質問から入ればいい。求人記事で「この会社にどうして入ったんですか?」みたいに。だって、理解が進んでいない段階ではいきなり本質的な質問はできないし、そもそも警戒されちゃう。徐々に掘っていって本質に近づいていけば良いと思うのです。

近藤さんにお願いしている歯科衛生士さんのインタビューでもそうじゃないですか?
「どうして衛生士になったの?」っていう話からはじまる。いろんな考え方があって「お給料が良いから」「実家が歯科医だから」「お母さんが衛生士だから」「先生に勧められた」とか。でも、僕らそこで終わるわけにはいかないじゃないですか。

勧められたっていっても、世の中には他にもいろいろ仕事ありますよね。「どうして歯科衛生士がよかったの?」「当時、他にあこがれた仕事はなかった?」「自分のどんな性格にフィットすると思った?」とか、掘って掘って掘っていくと、「あ、そういえばこういう経験があって」って思い出す。

たまにぜんぜんエピソードが出てこない子もいるけれど、それがさっきの鳥の目で俯瞰して、他の医院の子や他の業種の子はこういう意思決定をしているみるたいだけど、どう?と他の例を出してみたりして。そうすると、「あ、そうかも。でも、私は違うかな」とか、そういところから気づきがあって、話が広がったり。

そういう意味では、魚の目もそうなんでしょうね。例えば就職する時の考え方って、バブル期の学生は、給料のことしか考えてなかった。でも今は生きがいとか、やりがいとか、考えますよね。そういうところから仕事考えたりするんですよね? 学生のときに社会活動に興味あった?最近は、そういう学生さん多いですよ。もしかしてあなたもそうなんじゃないですか?って話していくと、「何となく地球環境を考えて、素材メーカーの研究職になったら貢献できるかなって思ったんです」って話し始めて。

さらに「それはニュースで見たの?」「サークルで知った」「サークルで興味持ってたんだ」「友人の影響なんです」と話が広がって、「もともと、真面目なんだね、優しいんだね。人の役に立つような仕事をしたいと思っていたんですね?」というツッコミを入れると、「あ、、、」と気付きがあったり。
向こうは「この人、私のことわかってくれるかも」って思って、僕に好感を持ってくれて、すごく話してくれる。

深く、根っこまでちゃんと聞いてから、「すごいですね、そういうふうに考えたんですね。若いうちからそんなこと考えていたなんて、すごいですね」って僕が言うと、向こうは喜んでくれるんですよ。そうすると、「このおじさんに話してみようかな」「いい人だな、このおじさん」ってなる(笑)。

(その4に続く)

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