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ほんとうにおいしいコーヒー

若者たちが自ら手を動かすことで
居場所と糧ができる仕組みを作った友達がいます。

背後にあるのは、
先まわりでなく、施しでもなく、なんとも温かで美味しい方法で
わが子だけでなく皆の未来をひらく母の力。

まさに Problem is solution 。(泣けるよ、あやちゃん♡)

「地域の祭りの準備であったり、
 冬を迎える手仕事であったり、
 料理や調味料をこしらえる作業であったり。
 昔々から、自分でも気づいていなかった心情の吐露は、
 手作業をしながら語られてきたもの」

だから、豆の選別をはじめた。
だから、自家焙煎でやる。
だから、ほんとうにおいしいコーヒー!

って、シビれる。

横に座って、共に手を動かす。
ただそれだけのことが持つ力、それができる場の力は、
はかりしれないなー

ってことを、思春期の子どもと向き合う
すべての大人たちと共有したい。

ゴールは、必ずしも学校に通うことではない。

自分で考え、手足を動かして、できれば心許せる仲間や師を得て、
自分らしく場に参加しながら、幸せに生きること。
それが叶うなら、場はなんだっていい。

その最高の事例を、現在進行形で見せてもらっている気持ちです。
ほんとうにおいしいコーヒー、また注文しよう。

https://oishiicoffee.jp

Photo by ほんとうにおいしいコーヒー

以下、「ほんとうにおいしいコーヒー」店主
松園亜矢ちゃんの文章です。

ご来店いただいたお客様には事あるごとにお話させていただくことが多いのですが、私にはこどもが5人います。

ええええ、お子さんが5人??
そんなに!!!

と驚かれる事がほとんどですが、話のきっかけ作りや、キャッチーな自己紹介がしたくてお伝えしているわけではなく、今、私がコーヒーの焙煎をしている事、焙煎所という場を持つことになったことの大きなきっかけが5人のこどもの母親であることに由来するのでまずはそこからお伝えしています。

ご来店いただいたお客様とコーヒーについてあれこれお話ししている中で、

「コーヒー好きが高じて焙煎を始めたの?」

とよく聞かれるのですが、コーヒーは特別に情熱を注ぎたい大好きな飲み物だったわけでもなく、かれこれ16年間妊娠と授乳を繰り返していた身としてはあまり飲まないで過ごしたほうが無難な飲み物でもありました。

そんな私がコーヒーの焙煎を始めるきっかけとなったのは、現在17歳になる長男が小学校の卒業式の直前からきっぱりさっぱり学校へはもう行かない!宣言をしてからにさかのぼります。

元々この時代では少数派と思われるような形での子育てをしてきて、その分野で拙著も一冊だけですが出版していたりするものですから、

義務教育
公教育
オルタナティブスクール
自由教育
フリースクール
ホームスクーリング

あたりのことは長男が小学校入学前からあれこれ調べて考えてはいたため、学校へ行きたくない宣言を受けて、行きたくないならそれもよし!とは思いました。

思いましたが、親心とは複雑なもので、

行かないとしたら勉学はどうする?

何か一つでもこれは!と言う特技や強みがあるなら良いけど…

このまま引きこもっていたら将来はどうなるのだろう…

学校へ行きたくないならそれもよし!と思えたはずが、やっぱりどうしたって心配が先走る時期もありました。

そんな時に、コーヒーの焙煎や焙煎したものを販売することは特に資格や免許も必要なく何歳からでも出来ることを知ります。

その時にはじめて出会ったコーヒーの焙煎の方法が、生豆を選別する作業を伴うものであったので、学校へ行かず時間の余裕があればこそコーヒーの焙煎にまつわるあれやこれやの作業に向いているのでは?と思って、それならばまずは私がやってみよう、となったのでした。

コーヒーの焙煎を体験してからはより一層、コーヒーの焙煎にまつわる作業が学校へ行きたくないこどもたちにとって様々な面で助けになると確信して、いつか必ず焙煎機を購入して、そんな子たちが集まれる場を持ちたい、集まれないとしても情報をシェアできるコミュニティを作りたいと思うようになりました。

(なので法人名はCommunity&Co.。コミュニティであり会社でもあり、という意味です)

ふう。
長いですね。
もうちょっと語ったら締めに入りますね。

昔々から、日々の生活の中でのうっぷんや心配事、悩みや報告したいことはもちろん、問わず語り的な、なんだかついうっかりこんな事話しちゃったけど私ってこんなこと考えていたんだなぁという自分でも気付いていなかった心情の吐露は、手作業をしながら、手元に集中しながら語られる事が多かったように感じています。

それが地域の祭りの準備であったり、冬を迎える手仕事であったり、料理や調味料をこしらえる作業であったり。

面と向かって、目と目を合わせて語れる話はすでに自分の中で消化し昇華しているもの。

学校に行かないと決意しただけで、カウンセラーと名乗る知らない大人と面と向かって話さなきゃいけない確率がグッと上がるこどもたちには、自分にも良く分かっていない不安の正体や、これからどうしていこうかまだよく分からないけど今はひとまずこんなことを思っていると言うことを誰かにポツリと話せる手作業の場を作れたら、きっと気が楽になる時間が持てるのではないかと思うのです。

(だって大人であっても本当にしんどい時の悩みは赤の他人に開示するのがむずかしいですよ??)

私のこどもたちや、その友達が生豆の選別を手伝ってくれたりする時にとても実感していること。

ただそこで一緒に手仕事をしているだけで、

「そう言えば…」
「実はこの前…」

と聞き出そうとしなくてもポツリポツリと語りだしてくれること。

特にこどもたちのお友達の場合、私のような親でも友達でもない斜めの関係の人間が、何の利害関係もない立場から返答したり相槌を打つだけで表情が明るくなる事も多いです。

そんなわけで、ほんとうにおいしいコーヒーの焙煎所ではこどもたちが出入りしていて、思い思いに作業をしている事があります。

この場は誰が来てくれても歓迎です。

豆仕事をしたら成果の分だけちゃんとバイト代も出ます。

豆仕事のやり方を覚えたらおうちで、好きなところで、自分のペースでしてもらったってかまいません。

本格的に焙煎をしてみたくなったら、それはもうぜひチャレンジしてみてください。

母たちは(父たちも)、学校へ行きたくないと決意したあなたたちの気持ちをまるっきり無視したいわけではないのです。

ただ、まわりのこどもたちや自分が歩んで来た道とは違う道を早くから見つけて進もうとする姿を見せられ、ちょっぴり心配になる事が多いだけなのです。

コーヒーを焙煎して売ることをなりわいにするには、学歴なんていらないどころか、早くから始めて経験値があるほうが有利になる事も多いだろうと想像します。

こどもが学校へ行かないことで心配が絶えないお母さんへ。

大好きなお母さんに心配をかけたくはないけれど、どうしたって学校へは行きたくないみんなへ。

母の日によせて。
こんな場所があるよ、という事が届きますように。

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