見出し画像

東洋経済BrandLabLive 「人を動かすデザイン設計」のレポート

6月12日 ( 金 ) 開催の東洋経済BrandLabLive データビジュアライズに見る「人を動かすデザイン設計」に参加したときのメモです。イベントタイトルのURLから公式サイトの詳細にリンクします。

登壇者

<GUEST SPEAKER>
明治大学 准教授 
渡邊 恵太 さん
<SPEAKER>
東洋経済新報社 週刊東洋経済編集部 兼 東洋経済オンライン編集部
荻原 和樹 さん
<COORDINATOR>
東洋経済新報社 メディア営業部
尾登 雄平 さん


ユーザー体験をデザインする
渡邊 恵太 さん

いかにしてユーザーに行動を促すための仕掛けを作っていくか。
具体的な事例を踏まえながら、ユーザー体験をデザインするとはどういうことかを議論します。


渡邊さんの普段の活動
大学では情報技術デザインの分野で学生と共に、多種多様な企業に携わっています。例えばクックパッドとは、料理のレシピと料理機器をどのように連動させるか?という課題から、クックパッドのフードプリンターの開発を行いました。

画像1

料理の製造工程はフードプリンターに任せて、ユーザーは新しいレシピに集中します。料理と人の新しい関係を生み出しました。

画像2

現代では使い始めやすく使い続けやすいことが重要と認識されてきました。ユーザーが使い続け増えていくため、自社の定義が大事です。

「融けるデザイン」では、使いやすい=自己帰属感という内容を書きました。これまで、アニメーションや画面が綺麗だから「いいデザイン」と言われていました。iPhoneの登場によりユーザー体験は、自分の身体の延長感覚に変わりました。

渡邊さんが何かを新しくつくるとき
何かをつくるときに基本は観察から始めるようにしています。何かPJをはじまると、まずはコンピューターの利用場面を観察します。

「コンピューターは便利だよね」という考えがこれまでとしたときに、改めて抽象的レイヤーで「なんで便利なのか?」を考えるようにしています。

フードプリンターの出現により、文字の綺麗さは集中しなくてよくなり、もっと人はアイデアを生み出すことに集中できます。コンピューターってなんだっけ?のIoTをつくるときは、設計と実装・実施部分を分けて考えています。

共同研究の方へよくする回答
共同研究を依頼されるとき、今までの大量生産のビジネスで成り立っていていることが多く抜け出せない状態からはじまることがあります。なので最初にソフトウェアで実現できませんか?を提案します。
多くの場合は、ものが中心でインターネットがオプションになります。例えば「車を作ることを目的としているため、車を中心として考える」ということです。

経験からデジタル=ドット絵で冷たいイメージをしている場合がありますが、実際には近年のデジタルは操作や見た目も魅力的になってきています。
より人間らしい温かみのあるデジタルに変わっていることをまず最初に伝えます。


データビジュアライゼーションの今と未来
荻原 和樹 さん

東洋経済オンラインのデータビジュアライゼーションを例にとり、
新型コロナウィルス以降、データビジュアライゼーションはどうなっていくか、その可能性について議論していきます。

荻原和樹さんの活動
コロナの状況サイト
萩原さんの関連記事

3Dマップ
バブル時期・10年前はどうなっているのか?を見える状態にしているサイトで、文章では伝えられないことをビジュアル化しています。

高校球児
今の事実を伝えるビジュアライズを担当しました。

気温のインフォグラフィック

コロナ状況サイト
コロナ状況サイトは冷静に把握できるページをつくることが目的でした。ユーザーは落ち着いてデータをみてコロナの状況を把握できることが重要です。そのため、通常なら陽性者の数字を赤くするが、目的に立ち返り赤くせずフラットな配色にしました。不安を煽らない配色を意識しています。

地図に関しても、一般的には陽性者が多い=赤にすることがあります。しかし、それによって陽性者に対しての差別や風評被害になってしまうケースがあります。そういった配慮も考え、あえてフラットな配色にしました。コロナ状況サイトは、利用者にとって議論の土台にできることが大事です。

画像3

今後データビジュアライゼーションが増えていくことで、それはどこを元にした情報か?が重要になります。つまりユーザー側にリテラシーが求められるということです。

データビジュアライゼーションの準備や進め方
下書きでは伝わらないです。
例えば作っていいですか?と問いかけ承認を得てからラフを出すと「このデータだけでいい?」「もっと見れない?」という意見が出てしまい、結果的にストップされることが多いです。
プロトタイプを作ってしまうのが良いです。


視聴者の皆様からの質問

視聴者の皆様からの質問にお答えします。

Q:デザインストックはどうしていますか?
(ジャーナリズム+ビジュアライゼーションに関して)

A:荻原さん
1:どのように表すか?
3Dやマップなどはどういうメッセージなのか?の引き出しを持つようにしています。

2:どこにどんなデータがあるか?
文部科学省、厚生労働省は何をのせているかを知っておく必要があります。

3:ニーズがあるか?
どのようなものがデータ化されると、ユーザーのニーズにこたえられるか?をおさえるようにしています。例えば、平均気温の推移だとわかりにくいので、議論の種になるようなデータになっているかを見極める必要があります。

A:渡邊さん
ストックしないようにしています。メモ帳にあたためておくのは意味がないです。ずっとアイデアだと思っていたことが、実際にやってみると面白くなかったことはよくあります。

アイデアの種類などによるもののの、現代では試そうと思えば試せるはずなので試してみるのがいいと思います。それでダメだったら次のアイデアが出てくると思うので、ストックしないことを意識しています。

ストックしないために、試しやすい場を持つことが大事です。ノートに溜めても「いつかやろう!」になってしまうので、ビデオプロトタイプなどでもいいからつくってみます。自分ではちょっといいと思ってたけど、違ったなをいつでもできるようにします。行動に起こしやすい環境を置いておくといいです。

Q:リアルとバーチャルのそれぞれの役割とは?

A:渡邊さん

画像4

人間の欲求は、リアル=生物的な欲求バーチャル=精神的欲求・視覚的体験の2つに分けられます。

人間の気分は変わるものなので人間のニーズは変わりやすいです。デジタルメディアも、変わりやすく変えることができます。変えやすいものは、デジタル・バーチャルでやっていくことになると思います。

コロナや地球温暖化などを考えると、地球自体のフィジカルリスクが高まっています。今の世界でいうと人口77億人の欲求があることになりますが、77億人の欲求にリアルは耐えられません。しかし77億人の精神的・バーチャルな欲求を満たせる方向はあるかもしれません。


感想

渡邊さんの最初のクックパッドの例を聞いたときに「未来のデジタルと人間の関係を構築する」観点でデザインをしていると思いました。これからのデジタルの可能性を感じました。

荻原さんのデータビジュアライゼーションについては、自分のみているデータに対しての意識を変えてくれました。またデータをデザインする時は、どのように使われるか?をとても意識していると知りました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?