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母の適当

母親の適当ほど、適当なものはない。
先に言っておくが、これは褒め言葉である。

私の母は家族のために毎日毎日ご飯を作ってくれた。私の家族は3人姉弟、父、母、祖父母で、一番多いときで7人家族だった。

大学時代ひとり暮らしを始めた私は、毎日の家事の大変さを知り、母親の有り難みを痛感した(その後社会人になり父親の有り難みを知ることになる)

今となっては、適当に家事もこなせるように、なったが(自分の分だけだが)料理はなかなかそうもいかない。

ある日、天ぷらを揚げている母に聞いた
「天ぷらって、どうやったらサクサクになるの?」
母は
「適当だよ〜!」とサックサクの大葉の天ぷらを、いとも簡単に揚げている。…おかしい。美味しい…。

別の日、タラの芽が採れたので、自宅で揚げてみる。「こんな感じだったような。」
それらしいものは揚がったが、サクサクしていない…。それより油が足りなくて、適当にオリーブ油を入れたのが間違いの始まりだ。適当を履き違えている。

たけのこ汁も、コロッケも、餃子も、野菜のお浸しも、母の適当には敵わない。長野の郷土料理のおやきもそうだ。

「トゲ大丈夫だったけど、おいしくなかった… また教えて〜。」とラインすると、「適当だよ〜。」と返ってくるんだろうな。今度本当、教えてね。

でも、適当でも美味しいのは、毎日毎日家族のために作ってくれていたからだ。いつも、ありがとう。

今週末は、母の日。美味しいケーキを買って行くね(まだ用意していない適当な娘より)

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