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矢沢あい展 へ行ってきた

矢沢あいといえば、青春そのもの。あの絵に、ファッションに、ストーリーに憧れた。きっとみんなもそうだよね?


私が矢沢あいの作品を読み始めたのは、小学校高学年の頃だったかな。NANAだった。

当時はお金がなかったので、お小遣いを貰っては少しの漫画を買っていた。本当に漫画が大好きだった。高校生くらいまでかな。部屋に籠ってずっと漫画を読んでいた。自分の部屋にはテレビがなかったので、漫画と雑誌と音楽とラジオがお友達だった。自分の城だった。

今思うとあのスペースって特別だし、今の自分を作ってくれたなと思う。


今回行った矢沢あい展は、Paradise kiss、ご近所物語、天使なんかじゃない、下弦の月、NANAの5作品の展示だったので、その5作品の漫画を持っていた私にはドンピシャ。でも二十歳を過ぎて忙しくなり、映画を観るようになってからは漫画を読むことがなくなり手放してしまった。もったいないね。今すごく読みたいのに。

ということで、軽く10年は読んでいない状態で行ったんだけど、やっぱり作品を見ると、ストーリーを思い出す。その時に読んでいた自分を思い出す。涙をこらえながら、少し泣きながら、そのページを大切に読む。あぁ私って矢沢あいの作品を読んで育ってきているんだ、と思う。

ハチや実果子のファッションに憧れ、パラキスを読んでファッションの世界を知った。特に思い入れが深いのはやっぱりNANAと、ご近所物語かな。ツトムが乗るカブにも憧れた。あの関係性も。



原画がたくさん展示してあって、書いてある線や塗りつぶしてある黒、修正のホワイト、トーン、印刷して貼り付けてあるセリフを見ていると、本当にこうやって作っているんだと感動する。ほとんど修正のホワイトを使っていなくて、当たり前なんだけど、すごく絵が上手なんだなと思った。すごいなぁ。

全て矢沢あい先生が描いている作品だけど、物語ごとの強烈なキャラクターにときめき、セリフがすごく染みる。これを一人で生み出しているのがすごい。

NANAの単行本が最後に出たのが2009年なんだけど、見に来ている人たちの中には若い人もいて、ちゃんと受け継がれているんだなと思う。

それにしても、NANAのレンが亡くなったことは当時ものすごくショックを受けたし、今でもそのあたりのシーンを見ると泣いてしまう。こんなことってあるの、って。


“ねえナナ あたし達の出会いを覚えてる?”

“過ちだらけのこの人生を もしもリセット出来るなら ナナはどこからやり直す?
あたしはナナと出会えたあの雪の夜から ナナだけは消せない”

“ねえハチ 人はどんなにくり返し傷つけ合っても 誰かを愛する想いは無駄じゃないよね
あの時 あんたがくれたラブレターは 今も大切に持ってるよ”


ハチとナナのこのセリフはどの地点からの言葉なんだろう。物語が進んでいくことに悲しい気持ちになったけど、未来の視点からの言葉があるっていうことは、この物語は進むべき道を辿っているだけというか、それは仕方のないことだったんだなって。思うけどやっぱり悲しいよね。



矢沢あい展へ行ってみて、矢沢あいの作品って絵がすごく素敵だけど、それと同じくらいに言葉にも意味があって、私たちを救ってくれていたんだな、と気がついた。可愛いだけじゃない、おしゃれなだけじゃない、それは読者に対する、人に対する愛情のようなものなのかな。すごく熱い思いを持っているんだなって。

あの空間で作品に包み込まれるような体験をして、感動した。昔の気持ちを思い出させてくれた。

昨日書いたことにも繋がるんだけど、“通ってきた”ものって人生の大事な軸になるんだろうな。行ってよかった。

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