母乳育児。抱き方、吸わせ方のコツ

「こんなに痛いなんて、思わなかった」
「赤ちゃんは最初から、上手に吸ってくれると思っていた」

産後のお母さんと赤ちゃんに日々接する中で、母乳育児を躊躇したり、挫折したりする理由の多くは、予想外の「痛い」「ツラい」にあると感じています。
この「予想外」の痛みやツラさは、授乳の時の「抱き方」と「吸わせ方」のコツを知っていると、防げるものばかりです。

この記事では、痛くならない、ツラくならない、抱き方と吸わせ方をお伝えします。

1.抱き方のコツ

産後すぐの授乳の痛みは、お母さんの乳首が無理に引っ張られて、ゆがんで吸われることにより、乳首に傷が出来てしまうことが主な原因です。
赤ちゃんもお母さんも楽な抱っこをすると、赤ちゃんは大きく口をあけてしっかりとおっぱいを吸うことができるので、乳首が無理に引っ張られることがありません。
抱き方のポイントは４つあります。

①赤ちゃんの姿勢がねじれないように支えます。
②赤ちゃんの口と、乳首の高さを合わせます。
③深く、乳輪の部分までくわえさせます。
④違和感や痛みがあるときには、すぐにくわえ直しをします。

①赤ちゃんの姿勢がねじれないように支えます

赤ちゃんのおへそと、お母さんのおへそが向き合うように密着させると、赤ちゃんの姿勢がまっすぐになります。

試しに、お水やお茶を口に含んで、首から顔だけを横に向けて飲み込んでみてください。思いのほか、飲み込みが大変だと感じるでしょう。
赤ちゃんも同じです。体と口の向きが違う、ねじれた姿勢だと、飲み込むことが難しくなります。苦しくなってしまい、乳首をくわえたまま首を振ったり、疲れて飲むのをやめてしまう原因になります。

②赤ちゃんの口と、乳首の高さを合わせます。

赤ちゃんの口の高さと、乳首の高さが合わないと、赤ちゃんは乳首をひっぱるように吸ってしまい、乳首に負担がかかります。

赤ちゃんが小さいうちは、お母さんの膝に折りたたんだバスタオルや授乳クッションなどを挟んで、高さを調整すると良いです。また、椅子やソファに座って授乳をする時には、お母さんの足がしっかり床面につくように、足台や踏み台となるものを使うと、抱っこが楽になることも多いです。

③深く、乳輪の部分までくわえさせます。

哺乳瓶でミルクを飲むときには、哺乳瓶の乳首の先の部分を吸うだけでミルクが出てきます。ですが母乳の場合、乳首の先だけでなく、乳輪全体をくわえる必要があります。乳首の先だけを吸う場合には、お母さんは痛みが強い上に、母乳がうまく出てこないからです。

④違和感や痛みがあるときには、すぐにくわえ直しをします

出産後すぐは、お母さんも赤ちゃんも、「なんとか授乳したい」と必死です。「せっかく赤ちゃんがくわえてくれたから」と、違和感や痛みがあっても我慢して授乳を続けてしまうことがあります。痛みは、「このまま続けるとトラブルになる可能性があるよ」のサインです。
赤ちゃんの口角から、そっとお母さんの指を入れて、赤ちゃんが乳首を引っ張ることがないように口から乳首を外しましょう。

2.吸わせ方のコツ

上記の4つのポイントをおさえて抱っこをすると、自然と赤ちゃんが吸いやすい姿勢になるので、授乳がスムーズにできるはずです。

①うまく吸えているサイン

授乳中の赤ちゃんが、うまく吸えているかのチェック項目は、以下の４点です。

①鼻はおっぱいから離れている。
②頭は少し後ろに傾いている。
③飲んでいるときにチュパチュパ音がしない。
④赤ちゃんの下顎と下唇はおっぱいに密着している。

②吸わせ方を見直すサイン

授乳中に、以下のようなことがあったら、赤ちゃんに「おっぱいをはずすね」と声をかけて、そっと赤ちゃんの口から乳首を外しましょう。

①赤ちゃんの口がおちょぼ口（唇を巻き込んでいる）になっている。
②赤ちゃんの舌が見えない。
③「チュパチュパ」と音がする。
④授乳中に痛みがあり、段々と酷くなる。
⑤授乳後に、乳首の形がゆがんだり潰れたりしている。
⑥授乳してもおっぱいの張りがとれない、すっきりしない。

3.まとめ

産後すぐは、お母さんも赤ちゃんも授乳が初めて。うまく授乳ができないのは当然です。何度も練習して、お互いのペースがつかめてきます。
「痛すぎて、もうやめてしまいたい」とツラい気持ちにならずに、母乳育児を軌道に乗せることができれば、その後の育児がとても楽になります。

実際に授乳をしてみて「何だかうまくいかない」と不安なときや、「これで良いのかな？」と感じるときには、お近くの産院や助産院の「授乳相談」や「産後ケア」をご利用ください。助産師が実際に授乳に付き添いながら練習したり、疑問点や心配事におこたえします。

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助産師hana（心をハグして、あたためる）

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