「いや」と「こわい」が言えるようになった。
木曜日の朝。
ヒグラシが鳴いている。
いつものようにバタバタと、
1歳半の娘を抱っこして保育室に入った。
「おはようございます」
保育士さんが検温をしてくれる。
娘の視線の先には、
黒いものがうごめく、虫かごが。
中には、小さな子どもの手には
収まらない大きさの
雄の立派なカブトムシ。
「こわぁい」
虫かごを凝視しながら、
娘がぼそっと呟いた。
いつもなら、
検温を済ませたらすぐに
保育室で遊び始めるのだけれど、
今日は私にしがみついて、
離れようとしない。
なんとか保育士さんに
抱っこをかわってもらおうと
先生が手を差し出してくれるけれど
「いやなの」と言って
首を横に振っている。
「怖い、イヤだ、って言えるようになったんだね」
先生が、嬉しそうに笑う。
「イヤだ」と言えることは、
とてもとても素敵なこと。
娘が「いやだ」と言えたこと、
娘が「いやだ」と伝えてくれたこと、
その気持ちを大切に守っていきたいと
思った木曜日の朝でした。
尊敬する助産師の、やまがたてるえさんと、渡邉安以子さんの書籍が発売されました。子育てをする上で、大切にしていきたいことが沢山詰まっている、宝箱のような本です。
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