十分詩 黒

ボタンをおすと
目の前のせんぷうきが
くるくるまわって
上司へ風を送った

上司はまだまだ足りなかったようで
「中」のボタンを押した
目の前のせんぷうきが
くるくるくるまわって
上司へ風を送った

上司はまだまだまだ足りなかったようで
「強」のボタンを押した
目の前のせんぷうきが
くるくるくるくるまわって
上司へ風を送った

しかしせんぷうきも
あんまり回り続けたから
疲れてしまったようで
「強」のボタンが効かなくなった
ボタンの意思が消えてしまった

その後も
どんどんどんどん
ボタンは押せなくなって
最後には「弱」しか押せなくなった
弱の意思だけは残っていた

しかし上司はせんぷうきを捨てた

#詩 #ひとこと #現代詩


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