EXPOSURE

三月の雨というものは
静謐
すべての歓び
空深くの水平線

三月の雨を浴びて
つらつらつらつら眠る
湿った落陽を浴びて
ゆらゆらゆらゆら揺れる

夜の深淵は
存在し得ぬ
夜の浅瀬というものは
すべて
夜である

霞む月影を背に
三月の雨を浴びて
麻布のような夜の浅瀬を
際限ないその浅瀬を
砂のように這っていく

the hiatus passed by me
and
the sky chuckled to itself

いつか砂のようなわたしの前を
浅瀬と淵のすき間が通りすぎる
その一瞬だけ雲がひき
朱華の順光がひとびとを刺す
全くの朱華が

夜の浅瀬を這うひとは
はたして意識を持つのだろうか
はたまた気づいていないだけか

そのとき
わたしは息苦しくなって
より深くへ潜ってゆく
いつしか、潜らずとも
朝の淵へと吸い込まれ
吸い込まれ

確固たる意志を持つ者は
いつか死ぬ

朝の淵にてゆっくり揺れる
ゆらゆらゆらゆら流れる
何も聞こえない、何も見えないその淵
光なき場所にて

眠りは
覚める

この現世もまた

三月の雨を浴びて
ゆらゆらゆらゆら眠る
湿った落陽が差したから
ゆっくり目を開けた

#詩 #ひとこと #現代詩



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