アーサナ 1 タダーサナ

観念的な哲学の話ばかりして行動に移さない人は嫌いだ。


というのは勿論、自分が頭でっかちで考え過ぎ、ついつい言い訳ばかりで動きが遅くなるのを承知の上だ。

頭で考えて色々気づくのが大好きで、ともすればそれで1日を終われるほどなのに、それを実生活や日々の練習に生かす事をすっ飛ばす事が多い私なので、ここでは思想ばかりにならず、ちゃんと身体の事も伝えられるようにしたい。


というわけでアーサナ第一弾はタダーサナ。山のポーズ。

立つだけなのである。


立つだけなんだけれど、これほど難しいポーズは屍体のポーズくらいではないか。こちらは寝るだけである。



さあ、まずは構造から。


身体全体をリラックス。

両足を骨盤の幅に開き(間に拳二つ入るくらい)、母趾、小趾、かかと三点で大地(マット、床なんでも好きに呼んでくれ)をしっかり捉える。

よく言うのが足の外側とマットの側面を平行にするという言い方なのだけれど、つまり足の人差し指と中指の間を正面に向けるので、少し内股に感じる人が多いと思われる。

この時、一度足指全てを持ち上げて、小指から一本一本バラバラにマットにつけていくことで、指先の力を抜き、感覚を起こして指先でマットを捉えながらもリラックスという状態を確認してみる。これをすると母趾小趾を使っている事も確認出来る。ここでバランスが崩れる人は特にアライメントを注意してみよう。



直線に並ぶのは、

前から見ると人差し指と中指の間、膝の中心、足の付け根。

真横からだと踝、膝の骨、足の付け根(大転子)、肩関節、耳の後ろ、頭頂部。


自分ではチェックしにくいけれど、写真に撮ってみるとよくわかる。
わからない場合には是非インストラクターに教えてもらうといい。


さて。内股に大内転筋というのがある。

膝を割って座っている人がめちゃくちゃ弱っているであろう筋肉である。
(電車の中ではいいエクササイズだと思って膝を閉じて座ろう。)

これを引き寄せるのだけれど、ものすごく感覚的に説明すると、私の場合はこの筋肉を内向きに後ろへ捻り上げるように使う事で、身体としては下に脚を捻じ込むように使いながら、エネルギーは上に向かうという状態になるのだけれど、伝わるだろうか。この感覚と身体の使い方はあらゆるポーズの基盤になる。

残念ながら伝わらない場合は、最初は内股にブロックを挟み、それを落とさないように筋肉を使ってみて欲しい。これだけですごくいいエクササイズだ。

このブロックを後ろに引っ張られていると過程してみる。これが、先ほどの中へ後ろへ捻るという方向性だ。この感覚が掴めると、ヨガのインストラクターが口にする「下半身は大地に向けてどっしりと、上半身は天に繋がるように上へと引き上げて、、、」みたいな台詞があながちハッタリでもないと体感出来るようになる。上がるエネルギーと降りるエネルギーは同時に存在しているのだ。

こうなると自然とお腹は引き締まるし、胸も上がって開いてくる。このエネルギーを感じているのにお腹はたるんでるし、猫背というのはよっぽどの天邪鬼ではなかろうか。その状態は変な力が入るし、今までの姿勢が身体に変な癖をつけているという事だと思う。そんな人は是非地道な練習を。

もし、その感覚がわからない、というのであれば早速身体からアプローチしていこう。膝は伸びているけれど、太ももの筋肉を使って膝頭を上げたり膝裏が伸び切っている状態ではなく、脚は余裕をもってリラックス。腰を前後左右に少し揺らしてみて、両足へ均等に体重がかかるところで止まる。お尻が後ろに突き出る人は恥骨を前へ引き上げる。胸を開き、一度肩を思い切り引き上げてから吐く息と一緒に脱力。首の後ろは伸ばして、頭頂部を誰かが引っ張っているような感覚で上へ伸びていく。両腕は身体の横へ、手の平を正面に向ける。



さぁ、どんな風に感じるだろうか。


天と繋がるエネルギーと、地と繋がるエネルギー。
どっしりと根を張り、上へぐんぐんと伸びていく大木のように。
天からも地からもエネルギーを受け取る。
お臍の下にある丹田にエネルギーをたっぷり取り込んで、力強いパワーの貯水池を作る。誰かに押されてもよろけないように。


堂々と。

のびのびと。

真っ直ぐに。



そんな風に立てたら、自分はそのままで大丈夫だって自然と思える。

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