団地の給水塔の思い出

10月6日、シカク出版から「団地の給水塔大図鑑」が発売になった。「団地の給水塔」といえば、著者はもちろんUCさん(今回は流通にのることもあって著者名は本名だけど)

UCさんは、日本給水党党首として10年活動されている。

団地のシンボル的存在であるにも関わらず、必ずしも正当に評価されていない“団地の給水塔”。
その地位向上を目指し、あわせてそんな給水塔がある“団地という空間”の魅力も発信したい!
そんな団体が日本給水党です。

UCさんの基本的なプロフィールは日本給水党webサイトや、活動については吉村さんのいまトピ記事をご覧いただくと、よくわかると思う。こうやって拝見するといわゆる「愛好家」っぽいのだけど、UCさんのすごさはその狂気じみたストイックさだと思う。

こういう類の活動をしていると、それぞれに苦労話というのがあると思うのだけど、UCさんにももちろんそれはあって、晴れた日にしか撮影に行けないのだと教えてくれた。ラブホは昼夜・季節・天候問わず撮影できるのでそういった苦労は頭になかった。というか、そもそも、給水塔でも天候って関係あるのか……?別に曇りでもよくないですか?という問いに「団地のシンボルたらしめる美しさ・かっこよさをおさめるため、晴れじゃないと」と。

俄然、UCさんの「旅」に対するスタイルに興味が湧いてきたので、自分たちが四国へ行く予定ができた時に「一緒に行きませんか?四国の給水塔見に行きましょう」とお誘いした。二つ返事で同行が決まったので、行程を組むから行きたい場所のリストをください、と言うと行きたい給水塔の名前・住所とともに「行きたい時間帯」が書き添えられていた。

給水塔の撮影時、逆光になったり大きな影ができないように時間帯も考慮して撮影している。そのため季節や日の出・日の入り時間・方角など含めて「行きたい時間=撮影する時間」を決めていたのだった。

リストには優先順位も書かれていたのだけど、ここまでストイックだと全部まわってみせるぞ!と謎のやる気が湧いてきて、全部回れる行程を組んだ。もちろん、不測の事態に備えて優先順位の高いものだけを回れる行程も組んでおいた。

……と、ここまで準備をしていても最終決定は出発の3日前。天気予報とにらめっこして、大丈夫そうと判断できて、やっと決行だ。そこからホテルをとって、最終調整をした。

そうして、土日の二日間で四国4県を駆けずり回った。一時天候が不安定になったり、解体中の給水塔に出くわしてしまった場面もあったけど、事前に組んだ行程をこなすことはできた。合間に自分たちの探訪もできたし、香川の讃岐うどんとか、高知のおすすめ弁当「くいしんぼ如月」の南蛮弁当をみんなで食べたりしたのも楽しくって、実りある思い出深い旅になった。

余談になるが、移動中にDJ UCが降臨して、選曲がこれまた最高で移動中もすごく楽しかったのだった。

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UCさんと知り合って3年経つ。まだまだ付き合いとしては浅い時間かもしれないけど、本当に尊敬しているし、恐ろしいほどのストイックさをいつか私も身に付けたいと思っている。

そんなUCさんが、10年の集大成をシカク出版で出してくれたこと、展示に関われたことを本当に誇りに思う。

団地の給水塔が好きな人には最高の資料集になる。今まで給水塔に触れたことはないけれど、路上観察が趣味という人には、路上観察において新たな視点を与えてくれる指南書になる。そして何より、好きなものを追いかけて、見守り続けることがどれだけ素晴らしいことかを教えてくれる本。それがこの「団地の給水塔大図鑑」だ。

どうか、たくさんの方に手にとっていただけますように。


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