スケルツォ～私の幕が上がったら～

こんにちは、愛音です

前の記事で書いたもう一つのスケルツォからの物語
手直しも無事終わりました

スケルツォ～私の幕が上がったら～
お時間のある時にどうぞ…

スケルツォ～私の幕が上がったら～

荒々しい風に混ざり、小さな声が聞こえる
呼んでいる、僕のことを
始まりの前の世界だ
上がらないベルベットを見つめてお嬢さんは困り、不安になっている
それではとびきりの化粧をして
始まりの前の世界へと旅立とう

誰かがこう言っていた
人はみな役者、与えられた舞台に立つものだと
私が立つべき舞台、本当にあるのかしら？
誰かを元気づけたり　勇気づけたり
涙を笑みに変えるなんて　絶対に無理…出来ない
だから目の前のベルベットの幕は開く様子を見せないのよ
もし、仮に幕が上がったら…何をすればいい？
怖い…考えるだけでここから逃げたい…

やあ、お嬢さん
あなたは…誰？
見ての通りピエロさ！お嬢さんに呼ばれてここまでやってきた
自分のピエロを呼び寄せるなんて実にラッキーだ
これは誰でも出来ることじゃない
まさに人生はスケルツォ！
ユーモアと生きねば心が冷えきってしまう
人生はスケルツォ？ふふふ、面白いピエロさん

面白いは我々への最高の褒め言葉！
ところでお嬢さん、音楽は聴こえるかい？
とても小さいけれど　確かに流れているんだが
…いいえ、少しも聴こえない
では手を出して僕と踊ろう！
僕らが踊れば音楽の方が我慢できずに大きくなるのさ！

始めは聴こえなかった音楽　それが踊るうちに聴こえてきた
初めて聴く愉快な音楽、これはスケルツォね【戯れる】
踊っているだけなのに笑いも止まらないもの
こんな気分はいつ以来かしら！
まるで幼い頃の楽しかったすべての夢を音楽で表現して
それに合わせ踊っているよう

音楽は続いているのにピエロさんの手が離れた
どうかしたの？分かった！
もっと楽しいことを思いついたのね
いいや　時が来たよ　もうすぐこの幕は上がる
お嬢さんの未来へと繋がる大切な舞台
僕の役目はこのベルベットが上がる前までなのさ

そんな、もっと私と一緒にいて！
安心しておくれ　僕は君のピエロだ
新たな世界が始まってもちゃんと存在しているよ
新たな世界なんていらない！そう、幕は上がらなくていいの！
今が楽しい、心から笑い踊り、今世界で一番の幸せ者よ？
この時が永遠に続くことが、心からの願いなの…！
それなら1つ大切なことを教えよう
人生とは「点」で出来ている「今」を存分に味わうこと
簡単に「永遠」を願ってはいけないんだ

いいかいお嬢さん
ピエロとは人の心に住む寂しさ、不安を呑み込む
そして笑顔を作り出す役目がある
お嬢さんがまた笑顔を忘れる前に僕は踊るよ
するとその心には笑顔が届く
笑顔でいればその胸にこれからも音楽が次々生まれていく
心地の良い音楽を見つけたら迷わず、恐れず、抱きしめてごらん
人生をとびきり楽しめる音楽
お嬢さんはそれを舞台で踊る
アンコールは鳴りやまないこと間違いなしだ

それは…本当？
嘘をつくピエロなんてどの世界にも存在しないのさ！
そうね、あなたは嘘をつかない
私の心に強い明かりを灯してくれた
忘れていた笑顔と幸せを取り戻すことが出来た
ピエロさん見て　幕がゆっくり上がっていくわ
大切な舞台に私はちゃんと間に合ったようね
…よかったわ

それでは　またお会いしよう　お嬢さん
また会いましょう　これは約束　私のピエロさん

幕が上がっているのに怯えていない
それどころか、喜びと希望から心が震えている
生きていると喜びと希望で心が震えるのね
次がどんな世界でも、どんな出会いが待っていても
私の胸にはピエロさんがいる
たとえ世界を壊すような嵐が起こっても
たとえカナリアが幸せを伝える歌を忘れても
この舞台で笑い、歌い、踊ることに誓いを立てる

人生で大切なのは
幸せと愛に溢れた音楽を人へ渡すこと
全ての世界に響き渡る音楽
それに愛をのせて踊り続けることが私の役目
心に流れる最後の一音が消える瞬間まで
私は私の舞台で生きていこう

実空さんの演奏からは希望とその先の未来が聴こえたので
人生で迷って、不安になっても、必ず光が差す
諦めないことで次の世界にいけることを表現しました
私は永遠、を望みやすいです
落ち着いてるとき、楽しいとき、怖さが消えたとき、
今がずっと続けばいいと思います
なぜなら見えない次が不安だからです
でもこのピエロが言うように
点で出来ている今を味わうことは大切ですよね
今を愛して、楽しんで、そして次へ繋げる
そんな生き方をこれから出来るといいです
そうすれば新たな幕が上がっても怯えることなく
喜び、希望で震えるような生き方が出来そう

今回は私の願いが詰まった作品を読んでくださったこと
ありがとうございました
そして実空さん、素敵な演奏を本当に、本当にありがとうございました♡

＊愛音＊