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アパート 【まとめ】

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大人になるまで住んでいた実家が舞台。当時住んでいたアパートの思い出を、りんちゃんと追体験します。
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#夏のオススメ

アパート【#3】

アパート【#3】

 りんの母は専業主婦なので大体家にいる。りんが学校の間に外出を済ませ、夕食の買い物などはりんが帰ってきてから一緒に行く。

 なので、りんは自宅の鍵は持ち歩いていない。
共働きの夫婦も多いが、りんの周りにはまだ専業主婦の母親のいる家庭は珍しくなかった。
いわゆる鍵っ子という子の中には鍵を持ち歩くことを自慢げに話す子も多い。なんか大人みたいでかっこいい。

 逆に鍵っ子にとって専業主婦の子が羨ましい

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アパート【#2】

アパート【#2】

「新しい家には人の前に何かが居付く」

 りんが学校で借りた怖い話の短編集。その中にそんな話があった。

  新しい家には、何かが先に住む
  それは普段人に見えるものではなく、また良いものも悪いものもいる
  それが新しく住む人を検分して、共有しても良いと思った人間だけがその部屋に長く住める
  引っ越しばかりの住宅、何をやっても閉店するテナント。そんな部屋には、何が住んでいるんだろう…

 

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アパート【#1】

アパート【#1】

 築年数の割に妙に古く感じるアパートに住んでいた。 

 平成が2桁を迎え、そのアパートは築15年。「古い」と呼ぶには少し早い。周りに高い建物がない中で10階建てのアパートはエレベーターもあり、日当たりがよく、風がよく通る。3DKの居室を多く揃えた家族向けのアパートは良物件だった。難を上げるならバストイレが一緒の不便さはあったかもしれない。

核家族の増えた街にあるアパートには子どもも多く、踊り場

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