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瀬戸内海にある無人島で働く変人にインタビューしてみた

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瀬戸内海に浮かぶ無数の島々のひとつ、通称「くじらじま」。
その島では、一日一組限定の無人島貸切キャンプ場として究極プライベート体験をお客さんに提供している。

・・・

そんな島に僕(筆者)はこの夏限定でスタッフとして働くことにした。
前に同様な一日一組貸切キャンプ場で働いていて得たコネを全力で使って、夏限定で瀬戸内海の無人島で働く」チャンスを手に入れた。

我ながら思う、サイコーじゃないかw

実際に提供しているサービスの詳しい内容は以下のホームページを是非見てみてほしい。

見て分かるとおり、かなりイケている
本当なら個人的にお客さんとして利用できたら良いのだが、普通にお客さんとして利用するにはそれなりのマネーが必要(その分の特別感は格別なのだが…)。それに一緒に過ごす仲間を探さなくてはいけないのだが、残念ながら呼べば僕には気軽に来てくれるような知り合いはたぶん多くない(笑)。なので、僕には正直お客としてココに来るのはかなりハードルが高い。

とはいえ、こんな場所に来るのは案外、客としてよりもスタッフとしての方が貴重な体験なのかもしれないと思っている。

湖面を優雅に回遊する白鳥も一見優雅に見えるが、実は見えない水面下では必死に脚を動かして水を掻いているように、表向きにはラグジュアリーな貸切キャンプ場でも、裏方ではスタッフが汗水垂らして奮闘しているに違いない。
せっかくスタッフとして究極体験を提供する現場の裏側へ潜入するのだから、そんな光の当たりにくい現場をを自らが体験して実態をシェアしたら、より貸切無人島キャンプ場の価値が高まるのではないかと思ったりもする。

そんな想いを張り巡らしながら、僕の2020年の夏が始まろうとしている。

ということで、今回の記事はあ貸切無人島キャンプ場を黒子として支えるスタッフの紹介したいと思う。

第一弾:スタッフ、スギちゃん

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Q: 無人島で働いている人ってどゆひと?
そもそも、お客さんとして島に来た人は島でスタッフと深く関わることは少ないのでスタッフの仕事や生活の実態は正直ほとんど見えない(というか見えないような配慮なのかもしれないが…)。
なので、実際に遊びきたお客さんから「この島に住んでるんですか?」と聞かれることがよくあるらしい。
「いえいえ、無人島ですので…w」と答えつつも、お客さんが島に滞在する間は一緒に島にいるので、ほぼ毎日島にいて、もはや住んでいるようなもの。
実際、無人島で働くなんてかなりの(良い意味で)変人だと思うので、掘り下げたら絶対に面白いと思う。

というわけで、今回はスタッフのひとり、スギちゃんにスポットを当ててみる。
彼は、約3年前のこのキャンプ場の立ち上げから初期メンバーとして関わる頼れる若手ホープだ。
ちなみに言っておくと、一昔前に爆発的な人気を博したデニム姿のあの人ではない。が、ある意味で本物のワイルドなのはこちらのスギちゃんなのかもしれない。

ここからはインタビュー形式。

Q: スギちゃん、プロフィール

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愛称「スギちゃん」(理由は直接本人に聞いてみて)。
神奈川県出身の25歳。自称、インドア派(笑)。
確かに話をしていると、趣味はアニメ鑑賞(ちなみにイチオシのアニメは「よりもい」w)で、「虫、ムリっす…」という辺りからは到底アウトドア派には思えない。
ただ、自分もキャンプ場で働いていた経験があるので一言付け加えておくと、キャンプ場で働くスタッフはいわゆるキャンパーはほぼいない。逆に「キャンプはべつに嫌いじゃないけど、特別好きなわけでもない」という人の方が多い気がする。自分も例外ではなく。
とにかく、無人島のキャンプ場で働いているというと見た目がむちゃくちゃワイルドな人を勝手に想像してしまいがちだが、その点、スギちゃんは普通に街にいそうな若者。
でも、パッと見の見た目には伝わりづらいが、やっぱり働く環境が環境だけに現場での彼の仕事ぶりはなかなかの男前。 陸地と無人島間は当たり前だが船移動なのだが、10m近くある船を飄々と操縦するし、桟橋へはピタリと着けるハンドルさばき。荷物の運搬は日常茶飯事なので、重い荷物を足場の悪い場所もなんなく運んでいく。また、島のことなら大体のことは知っているので、まさに頼れるスタッフ。
良い意味でギャップが凄い。

Q: どうしてココ(無人島)に?

このキャンプ場のサービス開始前から立ち上げメンバーになり、そのために地元から無人島のある岡山県玉野市に移住をした彼。
でも、やっぱりその移住の決断も含めてどうしてここにジョインすることになったのかは気になった。ただの移住じゃなくて「職場=無人島」って…
経緯を簡潔にまとめると、アウトロー就活という尖った就職活動支援サービスがあって、それでここに行き着いたという。
僕も全く無関係ではないのでサービスの概要を少し説明しておくと、いわゆる普通の就職活動、あるいは働くということに対して漠然とした違和感を感じる若者を対象に、そういう若者とそういう若者を採りたい企業の人事をマッチングの場を提供しているサービス。
上記に当てはまる自分に素直な人はぜひ使ってみてほしい。

彼はこの採用で今の会社とめでたくマッチングした…と書きたいところだが、実際はこの採用に参加した企業で彼のお眼鏡にかなうところがなかったらしい。そこで「もっとパンチのある(ことをしている)企業」を求めた結果、行き着いたのがこの仕事だったという裏話を聞くことができた。

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「(他県への)移住に抵抗はなかったのか?」という問いには、「全くなかった」と。オーストラリアへワーホリで行った経験があって、以来移住へのハードルが一気に下がったらしい。

Q: この仕事はぶっちゃけどう?

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「しんどいっすよw」

というのが、彼からの素直な回答。僕も似たような経験をしたことがあるので、苦労が多少理解できるので「だろうね…」と思ってしまった。
特にキャンプ場を一から立ち上げスタッフとして働き始めた初年度はなにもかもゼロベースから作っていくため、心身的にかなり大変だったそう。
でも、その一言の後に「でも、お客さんが楽しんでくれる様子を見たり、帰り際に感謝を言われたりするとそのしんどさがチャラになる」などとまるで事前に用意していたかのような優等生的コメントをしていたので、バッサリカットしてやろうかと思ったが、実際その発言はあながちも嘘でもないのかもしれない。
例えるなら、かいて気持ちの良い汗とそうでない汗があるようなもので、仕事に対してある一定の達成感や納得感を彼自身が感じているからこそしんどい仕事もやってこれるのだと思う。
だから彼が言った質問に対する回答が全てを物語っているような気がして。仕方なくやらされている仕事に対して思う「しんどさ」を感じていたら、きっとあんなにも素直に自分の心の声をさらけ出したりしないだろう。

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Q: 具体的な仕事内容って?

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無人島キャンプ場のスタッフは日々一体何をするのか? - たしかに、都会のオフィスで働く人にはなかなか想像しづらいので、気になる人もいるのではないだろうか。
基本的な仕事は、島を利用するお客さんの予約業務から当日の現場対応。そう言ってしまうとあまり大変そうに聞こえないかもしれないが、その中にはありとあらゆる業務が含まれている。
お客さんからの問い合わせのメールや電話はリアルに24/7と言っていいくらいひっきりなし。そして、アウトドアなので天候を日々気にしながら、天気の変化への臨機応変な対応と処理も重要な業務や、当日はお客さんへの対応(ある意味、接客)で、船を操縦をしてお客さんを運んだり、マリンスポーツの遊び方を教えるところまでやる。もはや何でもやるスーパーマンと言っても過言ではない。

Q: ココだけの裏話

「なんかココだけの裏話、一つくらい聞かせてくれない?」という僕からの質問に、「え、パッと出てこないっす。考えときます。」と一言。
夏の間、隣で働くので聞き出す時間はたっぷりあるので、これは今後のお楽しみに。
・・・と思っていたら、後日
スギちゃん:(悩んだあげく)「島でのプロポーズの成功率100%っす」
僕「え、これまで何回あったの?」
すぎちゃん「2回」

Q: 「お客さんにはどんな風に楽しんでほしいですか?」

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その質問マジメか!w
でも、少しはインタビュワーっぽい質問をと思い、

「毎日この島に来ているスタッフとして島の楽しみ方のアドバイスをするとしたら?」と聞いたら、

「高い金額払ってるからといって元を取ろうと思っていつも以上に張り切るとかじゃなくて、普段通りに寛いでもらえたら」

と。
なるほど、特別なことをやるとかではなく、気が知れた仲間とともに気楽に楽しむのが一番。「貸切」という価値を最大限に味わってほしいという。

Q: 僕(筆者)から一言

せっかくなので、僕が彼に対して思ったことを少しだけ。
「外見よりも内面がゴリゴリのマッチョ」

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やっぱりこれだけ特異な環境で仕事をこなすのは並大抵のことではないと思う。見た目がワイルドじゃなくたって、毎日、頭も身体をフル回転させながら仕事をしてる彼の内面は想像以上に筋肉質だと思う。
彼が今後、島の住人になるのかw、はたまた全く違う道へ進むのかは分からないが、ここでガチガチに鍛え上げた内面は今後どんなことをするにも役に立つだろう。純粋に彼の将来が楽しみ。

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ちなみに、この取材は、島にあるスタッフ棟と呼ばれる古い家の中の自称「オフィス」で行った。
飾らない彼のリアルな仕事環境をありのままに伝えたいという僕の想いもあったのであえてこの場所で話を聞くことにした。
そして、取材の傍らでは、マネージャーがお昼のラーメンを食べていて、時折なる麺をすする音が聞いて、僕はまさに求めてた取材現場になったと勝手に満足していた。

ー 終 ー


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