だからあなたは政治家になれない

小泉進次郎氏と滝川クリステルさんが結婚された。

おめでたい話ではあるが、そのおめでたさをぶちこわす記事を見た。

今年の春、呉座勇一氏と論争してフルボッコにされた挙げ句、完全敗北という名の「痛み分け」でアゴラ編集長である新田哲史氏に尻ぬぐいしてもらった八幡和郎氏である。

氏はこの記事の中でこんなことを書いていた。

「かつて私は小泉進次郎待望論に対して、受験・就活・結婚という人生の三大苦労を経験してない彼には、「一国のリーダーが務まるのであろうか?」と問題提起をした」

「もちろん、人生の苦労を一通り経験しないといい政治家にはなりえないとはいわないが、やはり、普通には苦労は人間を強くするし、普通の苦労をしていない人間は、何かしら書けているものがあると思う」


正直な話、私は増税論を唱える小泉進次郎氏の政治思想はハッキリ言って好きではないのだが、それでもこんな難癖に近いことを書いて批判するようなことはしたくはない。

というか、優秀な政治家、一国のリーダーであれば受験を経験せず、就活もせず、結婚もしていないことなど正直言って別に問題ではない。

それは結局のところ経験と個人の属性に過ぎないし、政治家としての優秀さはまた別の話であるからだ。

小泉進次郎氏の政治思想や手腕は正直私は疑問視しているが、それでも彼は小泉純一郎氏の息子として親の地盤を受け継いだとはいえ、そこから四選して衆議院議員となっている現役の国会議員である。

単に親の地盤を引き継いだだけと言えばそれまでだが、実績として四選していることは否定のしようがない事実である。

また、そもそも受験・就活・結婚という人生の三大苦労を経験しているはずの八幡和郎氏は、国会議員どころか、生まれ故郷である滋賀県大津市の市長選に二回連続落選、それも大差を付けて敗北している。

氏の理屈でいけば、三大苦労を経験している側の方が、遙かに小泉進次郎氏よりも強いはずなのに、国会議員どころか、市長にすらなれない。

それどころか二回連続落選していることは一体どういうことなのかという話になる。

東大法学部卒の経産省のキャリア官僚として真っ当な就職をして、ご家庭を持たれているはずの氏が、たかだか市長選にすら勝てないわけで、仮にも徳島文理大学の教授である氏がこんな稚拙な問題提起をするのは、論外というしかない。

そして、氏が何故二回連続落選して醜態をさらし続けているのが分かる。

八幡氏は基本的に、こういう形で人をカテゴライズしてそこから当てはまる属性を問題提起という名の難癖を付ける。

そして、その属性、言ってしまえば個性をバカにしているわけで、人を尊重せずバカにしているような人間が、どうやって人から信任を得られるのであろうか。

政治家の資質は、結局のところどこまで自分を信任してくれる人達に真摯で誠実であると振る舞えるかが重要である。

人に嫌われるような人間は根本的に政治家に向いていない。だが世の中には世間からは嫌われて政治家になり、首相になった池田勇人、岸信介のような人物もいるが、彼らは少なくとも選挙区でも嫌われているわけもなく、また相応の人脈を有していたからこそ一国のリーダーにまで登りつめた。

また、現在晩婚化が進む現代日本の中で、結婚や出産の話というのはそう簡単な話ではない。その時点で氏は正直な話、現代日本の社会構造やあり方、言ってしまえば世間そのものに関して疎いのである。

そして、こういう個人の属性をカテゴライズしてそれを揶揄するような人間が、そもそも政治家としてふさわしいかふさわしくないかで言えば、正直後者だろう。

これでは応援しようがない。

また氏は「受験・就活・結婚なしの小泉進次郎は“一人前”でない」と言っているが、その経験を全て満たしているはずなのに、国会議員どころか、市長選に二回連続落選している現実をも理解していないのだ。

現状を認識することすら出来ないような無能な人物は、政治家はおろか、自治会の役員にすらなれないと思うのは私だけではないと思う。

そして、だからこそ氏は政治家になれないのだ。





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