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[小説]アイロボ

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[小説]アイロボ

[小説]アイロボ

あらすじ

僕は、突然ホームレスになった。

そう、突然に。

そこで出会ったホームレスと僕は果てない旅に出る。

僕は生きる事の意味を探す。

生きる事の意味を。

たどり着いた答え、僕の過去。

僕が残してきたもの。

1章 アイロボ

++++++++この小説について+++++++++++

この小説は合計で400円で読める構成になっています。

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[アイロボ]1章1 アイロボ1

[アイロボ]1章1 アイロボ1

目を覚ますと僕は、そこにいたんだ。
ここが何処なのか、僕が誰なのかぼんやりする思考の中で僕は考えた。
でも答えは出てこない。
辺りは暗くここは、公園のような場所だった。
空を見上げると高層ビルが立ち並びその隙間から星が見えた。
それは不思議な光景だった。
「おい、おまえ」
星を見上げていた僕の視界を男の顔が遮る。

「何してんだよ。こんなとこで」
そんな事を聞かれても僕はわからない。
僕は、どうし

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[アイロボ]1章2 アイロボ2


チュン

チュン、チュン

おぃ

そうすけ

ゴン

僕は痛みと共に目を覚ました。
僕が見上げると目の前には、男がいた。
確かよしさんって名前だった筈だ。
「いつまで寝てる。起きるぞ」
そういって僕の手を取り起こした。
眩しい程に辺りは明るく周りには雀がいる。
そうか、ここは外だった。
眩しすぎる。
家の中で過ごしていた僕には眩しすぎる光量だった。
僕は時計を探してみると6時だった。

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[アイロボ]4章1 孤独 優介

確か僕がこの家にきたのはまだ優介が2歳の頃だっただろうか?
その頃のロボットは一般家庭に普及し、僕は子育て機能がつけられてここにきた。
父親は、弁護士。母親は会計士。
なんとも堅物な組み合わせだ。
2人とも仕事が多忙で、優介は保育園に預けられていたもののかなりの時間を2人で過ごしていたんだ。
優介はここにきたばかりの頃は無邪気でやんちゃな男の子だったと思う。
走り回って声を上げて僕は手をやいた。

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[アイロボ]4章2 孤独 優介2

こうして俺の隣にばあさんがいてもうばあさんの声を聞く事も出来ないと思ったらさもう涙を止められなかった。
道行く人も驚いていたさ。
こんな老いぼれじじぃが涙を流しているんだからさ。
それでも涙を止める事が出来なかったんだ。
それから俺は公園にいかなくなった。
だってばあさんを思い出して辛いんだ。
俺にとってはやっぱりばあさんは大きな存在だったんだよ。

辛かったさ。
感情を出せるようになってから悲し

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[アイロボ]4章3 孤独 優介3

私が小さい頃、父が大切にしていたこの時計を壊した事があったんです。
普段めったな事じゃ怒らない父がこの事には凄く怒って、私家飛び出してこの公園にきていたんです。
1人でこの公園にきたのは、その時がはじめてだったんです。
酷く混乱してて心細くて不安だった。
いつも父ときていた時は楽しかった公園にいる事が酷く怖かったんです。

しばらくして父がきました。
何も言わずに私の隣に座って暫くずーっと私の隣に

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[アイロボ]5章1 源さん

どれくらいそうやって思いに更けていたことだろう。
日は登り街は暖かな陽気に溢れていた。
1人でいた子供に母親が駆け寄りきつく抱きしめていた。
子供はそれとともに大きな声をあげて泣いていた。
子供らしい泣き方だった。
しばらくして2人は手を繋ぎその場をあとにした。
それにしても今日は暖かな日だった。
穏やか時間が流れるこの場所で引き寄せられるように人が集まりそれぞれがそれぞれの時間を過ごしていた。

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[アイロボ]5章2 もりさん

公衆電話を見つけ指定された番号にかける。
電話口に出た男の指示通り指定の場所に向かう。
しばらくすると男がやってきた。
50を過ぎたくらいだろうか?
白髪と灰のごましおの短髪で、背は普通で小太りで人懐っこい顔をしていた。
黒のスラックスに黒のTシャツ、そして黒のジャケットに黒のハンドバックという出で立ちだった。
一見するま金融の取り立て屋のような出で立ちだ。
「おう、あんたかい?よしさんの知り合い

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[アイロボ]6章1 占い師あけみ

夕方の賑やかさはなく、暗闇が支配していた。
きっとさっきより更に寒さが増しているのだろう。
河川敷で走っている人の白い息だけが辺りをさ迷っていた。
そして河川敷に沿って煌めく光と橋の車からのライトが闇の中にはっきりと浮かびあがる。そして空を見上げるとそこには、新宿でみたよりも更に綺麗な星空が広がっていた。
僕はホームレスなのにこの中に身をおくと綺麗な景色を独り占めにしたようで誇らしくなった。
僕は

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