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猫が行方不明 Chacun cherche son chat

猫が行方不明 (1996)セドリック・クラピッシュ監督

パリに住むメイクアップアーティストのクロエは、バカンスに行くため
近所の猫おばさんに、黒猫のGriGriを預ける。

バカンスから帰ってくると、GriGriがいない!
猫おばさんの情報網を駆使し、ポスター貼りもするが、どこにも見つからない。

クロエはバスティーユ近くの古いアパルトマンで、ホモセクシュアルの同居人とシェアをしている。
ちょうどこの辺り一体の再開発工事が続いていて、
あちこちが工事中、騒音も激しい。
パートナーがいない彼女は、バーやクラブへ行ってみるが、
変な男に絡まれたり、レズの女に言い寄られたり、いいことがない。

GriGriがいなくなったことで、彼女は一人ぼっちを味わう。
猫おばさんたちの励まし、動物愛護団体の人たちや、よく出会う運命を感じるドラムをたたく若い男。
ポスター張りを手伝ってくれた彼女に思いを寄せる移民の青年。
猫を探しながら、実は彼女の近くにいた人たちと出会い、言葉を交わし、
時には深い関係になりながら、それでも自分のが本当に求めてるものではないことを知る。

GriGriはどこに?

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ただただ猫を探している映画です。
パリ11区、バスティーユ界隈。
今でこそ、おしゃれな店が増えたのですが
その前の開発工事中で、まだ下町の雰囲気が残った一角が舞台。
クールな雑貨店と、雑然とでも賑やかなバスティーユのマルシェ。

パリでは8月のバカンス時期、街に残っている人のために、
屋外での映画祭を開催します。
映画を撮影したその界隈での屋外映画祭が行われ、
この映画も、バスティーユ近くの空き地でむき出しの壁をスクリーンに上映されました。

必死で猫を探すクロエの姿が、痛々しいほど。
でも次第に自分の殻を少しずつ破って、笑顔が増えていく。
猫を探しているのか、恋人を探しているのか、軽やかに、彼女は街をさまよう。

GriGriとはフランス語でお守りやおまじないの人形を表す言葉ですが、
そこから、小さな女の子のお気に入りや、マスコットのこともそう呼びます。
彼女のGriGriは、意外なところから、見つかります。
そして彼女の恋の予感も・・・

Chacun cherche son chat みんな自分の猫を探している
私の猫は今どこに?

この映画祭が終わった後、バスティーユの道端で
GriGriにそっくりの黒猫(ほんとにそっくり)が、私の前を横切ったのですが、
だれもその話を信じてくれませんでした・・・


クラピッシュ監督はこの映画で好きになった。
スパニッシュ・アパートメント(L'auberge espagnole)もパリの確率(peut-etre)も、
人生がまだはっきりと決まっていないことの、つらさとすばらしさを教えてくれる気がします。

カテゴリ>エンターテインメント>映画>映画レビュー

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