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料理は呪いか、祝福か

「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」
このセリフで有名なハムレットさんを真似するわけではないのですが、最近よく頭の中で「料理は呪いなのか、それとも祝福か、それが問題だ」とぐるぐる自問自答を繰り返しています。

皆さんは、毎日料理をしていますか?
仕事や趣味と両立させながら、料理できていますか?
私の場合、平日は往復3時間の新幹線通勤とフルタイムの帰宅後、毎日1時間ほどかけて3~4品料理を作っています。
正直、義務感や疲れからしんどく感じるときがあります。
でも、好きな食材と調味料の組み合わせを自分で決められる喜びに浸るときもあります。
呪縛でもあり祝福でもある料理。
それをできるかぎり、祝福寄りに持っていきたいというのが今回の記事の狙いです。

さて、ネットのニュースでは料理をワンオペにせずに夫婦で分担するべきという論争があります。
私はこれは非常に難しいと考えます。
1つ目の理由としては、日本のキッチンは一般的に二人が同時に調理することを想定して作られてはいないということです。
流しとコンロが一つずつ横並びになっていて、すぐ後ろに冷蔵庫や棚があるため、可動範囲が狭く、調理中にすれ違うことすら難しい。包丁や火を取り扱うときに体が当たったら危険です。
2つ目の理由として、料理というのは献立つくり、在庫調整、買い出し、調理の総合力が必要なものです。その一連の作業の流れは一人のプロデューサーの頭の中で構成されます。結果、どうしてもノウハウも技術もその一人に偏ってしまい、ほかの人にできることは指示を待って手伝うことだけになります。

うちは料理は、自炊歴の長い私が担当し、洗濯や食器洗いを夫が担当というふうに自然と役割分担しました。分担して助かっている部分は多いけれど、工程が複雑な料理の負荷はやはり大きい。
かといって、料理に慣れていない夫にいきなり作れと言っても、平日仕事をしながらは、やはり肉体的にも精神的にも難しそうです。

私は女性だから料理をするべきだとは全く思いません。
共働きの家庭において、仕事は料理ができないという理由にはならない。
男性だって女性だってできるほうがやればよいと思っています。
でも、夫婦間で押し付けあっていたり、仕事の妨げになるというネットの記事を読むと、料理が厄介者扱いされているように思え、悲しくなってしまう自分がいるのです。

料理は確かに時間を取られるししんどいです。
でも、しんどいのは責任感を持って取り組んでいるから。
しんどいのはそれが大事だと思っているから。
しんどくてもやめないのは、自分で選んだことだから。
必要だから、好きだから、その良さを痛いほどわかっているから。

仕事でヘマをして泣き出しそうになっていた帰り道、夕飯の買い物をしてたら気分転換になった。料理に集中していたら、次の日会社で食べるお弁当が楽しみになってきた。そして実際にお昼に弁当を開いたとき、いつもの味に幸せな気持ちになった。

料理に助けられながら、私はなんとか社会人生活を生き延びてきたのです。
好きなものを呪いにするか祝福にするかは自分のこころ次第です。
自分や家族の健康を支えてくれる料理に感謝し大切にしていこうと思います。
そして、その祝福を押し付けるのではなく、楽しみながら少しずつ夫と分かち合っていきたいと思っています。

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