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高崎にはだるまがある

結婚前、当時婚約者だった未来の旦那さんと高崎駅で待ち合わせをした。駅の改札を出て、コンコースを西口方面へ歩くと、石造りの赤と白の一対のだるまが迎えてくれた。「幸福のだるま」と名付けられていた。

約束の時間に連絡がつかない未来の夫を待ちながら、駅の二階から隣のビルをつなぐ歩道橋に出てみた。駅ビルの壁面を飾る無数のだるまの絵が目に入った。愛嬌のあるだるまの表情に、待たされるイライラを一時だけ忘れた。こちらは「だるまの詩」というのだそうだ。

結婚を機に高崎に住まうようになって、だるまが高崎を象徴するシンボルであることを知った。高崎の観光名所といえば、山の上の白衣観音とともに少林山達磨寺の名がまず挙がる。達磨寺の一番の見どころはやはり無数のだるまが奉納されている本堂と、それに隣接する達磨堂だろうか。余談だが、境内には梅林があり、梅の花咲く季節に訪れるのがおすすめだ(去年初めて訪れたときは散ったあとだったので、今年こそは満開の梅の花を観賞したい)。もちろん一月の七草の時期(1/6-1/7)に開催される七草大祭だるま市で一年をともに始めるだるまを買い求めてもいいだろう。

その少し前、元旦と翌日の二日には高崎駅西口駅前でもう一つのだるま市が開催された。上述の少林山達磨寺はバスや自家用車でなければなかなか行きづらい場所にあるが、こちらのだるま市は駅から徒歩数分の大通りを歩行者天国にして開催される。地元の達磨屋さんお手製の大小さまざまな達磨から好きなお顔のものを選んで買えるし(干支だるまや猫だるまも可愛い)、食べ物ブースもたくさん立つ。屋台で購入したご飯は、イベント会場内の飲食スペースに持ち込んで食べることもできる。今年のキングオブパスタ選手権優勝者のカーロさんを始めとする地域の有名店の味を気軽に味わえる。県外からも多くの人が集まる年に一度の楽しいイベントだ。

ちなみに今年はコロナ禍での開催ということで運営サイドはかなり大変だったろう。透明なビニールシートで四方を覆い、入り口では検温と消毒を徹底した。写真の通り、フォトスポットの大きな達磨さんもマスク姿。ユーモラスで可愛らしい姿だけど、凛々しくもある。前線で頑張っておられる医療従事者の方々への敬意を感じる。

どうか高崎の町をまた一年、疫病災禍から守ってください。そんな住民の想いが込められていた、2021年の高崎だるま市でありました。

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