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ゴルフ場跡地で走れ!ー高崎の石原緑地

想像してほしい。はるか先まで芝生でおおわれた広場を、がむしゃらに駆け抜けるときの気持ち。草を揺らす心地よい風を背に受け、転がるように走るとき、たとえ今、あなたが40代後半であっても、小学生のときの心にもどるだろう。

石原緑地を初めて訪れたとき、その広さに驚いた。さえぎるもののない広大な芝生の緑地を縫うように、ジョギングコースが敷かれている。見わたす限りの緑色だ。

かつてゴルフ場だった土地が、市民に開放され、憩いの場になっている。芝生は非常によく手入れされており、ごみはほとんど落ちていない。一部の場所(城南大橋側にドッグランがある)を除いてペットは立ち入り禁止だ。天気の良い日には、ファミリー広場でバーベキュー中の家族連れやレジャーシートの上で日向ぼっこを楽しむカップルが多くみられる。

高崎に越してきて、私が最初にしたことは、普段使いできるジョギングコースを探すことだった。ご存知の通り、群馬県は車社会で、車しか通れないほど道幅が狭い歩行者にとって危険な道も多い。その一方で、歩行者が車を気にせずに風景を楽しめる安全な道だってたくさんある。その中でも最近の私の一押しが、この石原緑地だ。

高崎市街地から聖石橋を渡り左折して烏川沿いにサイクリングロードを少し走ると、緑地の入り口だ。少ないが駐車場もあるので、車で訪れることだってできる。

ここから奥に向かって芝生の中の道を走るのだが、ところどころに木々が植わっており、秋には紅葉し、春と夏には花を楽しめる。疲れたら木陰で一休み。初夏に大きな実をつける梅の木が多い印象だが、ホームページによるとブルーベリーやクリの木もあるらしい。

先日、私は、11月3日〜11月16日開催の「ぐんまウェブマラソン」に参加した。本来なら一日で前橋・高崎間を42.195キロ走る大会なのが、今年はコロナの影響で、約2週間かけて同じ距離を走るイベントとなった。平日会社員の自分が走れたのは、11/3の祝日と2回の週末の合計4日間。自宅から毎回10キロの距離を消化するのに選んだのが、いつもこの石原緑地への往復コースだった。

想像してほしい。高い秋の空の下で、澄み切った空気を吸い込んで、目に鮮やかな緑の中を駆けるときの感覚を。時には芝生に踏み入り、なだらかな丘を登り下り、また元の道を駆け戻る。思うまま走ったあとの、のどの渇きを癒すペットボトルの水はまさしく甘露だ。

昔、走ることは、純粋に楽しい身体との対話ではなかったか。この緑地を駆ける私の心は、今より20センチ背の低い、一歩一歩がバネみたいに跳ねていた小学生のころに戻っていた。

ぐんまウェブマラソンの初日、10キロの部門にエントリーしていた主人と、初めて一緒に石原緑地を走った。ふたりして子どものように走った。前から好きだった場所だけど、本当に特別な場所になった。

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