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About me 色々

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自分のプロフィールページに加えて、作曲家で20年来の友人の渡辺裕紀子さんが2019年に私にインタビューをしてくれた記事(全4記事)をまとめています。
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山根明季子(やまねあきこ)プロフィール 作曲家。 西洋器楽/邦楽器/声/電子音/各種メディアのための音楽を作っています。音の質感____特に「かわいい」や「消費社会」と音の関係に関心を持って制作や表現活動をしています。 作曲 音一音の「質感」を造ることをしています。 かわいいは成熟に価値を置くこれまでの西洋文化とは対極の価値観でもあります。 ↑構成せず内側から単一状態(質感)を不確定に生成する概念上のドローン音楽。 かわいいにはかわいい+強とかわいい+弱(優劣では

山根明季子に〇〇について聞いてみた(1)

水玉からキラキラドローンへ「ちょっときいてみたい音楽の話」は、同世代の音楽家に、その音楽について、また思想について直接本人に聞いてしまおうという対談シリーズです。四人目は作曲家の山根明季子さん。20年来の友人でもあります。(インタビュア:わたなべゆきこ) ――(わたなべ)山根さんと言えば代表作である「水玉コレクション」に始まり、最近では「キラキラドローン」など、パッと脳裏にイメージが浮かぶようなビビッドな言葉選びが印象的です。 丁寧に言葉を絞り出す姿勢がまさに山根さんの音

山根明季子に〇〇について聞いてみた(2)

色・形・素材感 ――作曲する上でよく言われる4つのパラメータ【ピッチ、音価、アタック、強弱】って数値化しやすい、可視化しやすいものだと思うんです。コントロールしやすく、構築していくのに適している要素ですよね。それに比べると、山根さんの言う三つのパラメータ【色、形、素材感】はとても抽象的な概念です。例えば「ここは緑で、感触はふわふわ」って言ったら感覚としては分かるんだけど、それをそう聴こえるようにするには、また別のテクニックが必要な気がするんです。実際楽譜を前にその感触を掴もう

山根明季子に〇〇について聞いてみた(3)

作曲家という職業――大きな賞を取ったら委嘱が来て、それでご飯が食べられるようになる。若い頃って漠然とこう考えていたような気がするんです。それで、まずコンクールに出さなきゃ、賞歴がないとダメなんだって。今でも少なからず、そういった風潮ってあると思うんだけど、実際その先行投資が実を結ぶんだろうかって思うんです。若手が馬車馬のように走らされて消費され、何かの形になる前に腐ってしまうっていうことはないんでしょうか。 消費的に感じることはあるよね。クラシック音楽の作曲家は日本で職業と

山根明季子に〇〇について聞いてみた(4)

この15年とこの先の15年――私にとって一番象徴的だったのは、2006年の第75回日本音楽コンクールで水玉コレクション No. 1を発表された時で、日本の現代音楽シーンが揺れた!感覚があったんですよ。女性作曲家が賞を取った、ということであれば、原田敬子さんが一位、斉木由美さんが二位、三位が菱沼尚子さんだった1993年もそうだったんだけど、山根さんのときは何か「新たな時代が来た!」という感じがして。 同時期に小出稚子さんが出てきて、もう物凄くポップなテーマで、カラフルな音楽を