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年末になると思い出す同級生がいる


昔からやんちゃな男の子と仲が良かったためしがないんだけど、1人だけ印象深い同級生がいる。彼とは小中が同じだった。

同窓会に行ったら、彼はいた。卒業以来だ。髭をたくわえていたが、意外とかわいらしい顔立ちの彼には似合わないと思った。
昔から喧嘩っ早かった彼は同窓会の最中乱闘騒ぎを起こした。学生時代から仲悪かった同級生と。店内で喧嘩すな。
ジャイアンみたいなやつだったので全く意外ではない。

そしてそいつは人の名前が思い出せないからって人のことを社名で呼ぶ(トヨタ!ヒタチ!のようなことね)下世話な人間に成長していた。
いや、社名が覚えられるなら名前も分かるだろ。


小学生の頃の記憶を辿っても喧嘩していた姿しか思い出せない。あと、帰りの会でせんせー○○くんに叩かれましたーとよく吊し上げられていたところと。
まあ粗暴な彼が悪いことの方がほとんどだったので同情の余地はないのだが。


私は煩いやつも声がでかいやつも喧嘩っ早いやつも嫌いなのだが、そう思うと逆に寄せ付けてしまうのかよく隣の席になった。

机に向かう授業は不真面目だが副教科は真面目にやっていた。図画工作の時はよくハサミやノリを貸した。車の絵がとても上手い人だった。

次は貸さないから持ってきなよなど小言を言わなかったからなのか、私の嫌がることを彼はしなかった。


そして、何かを貸すと借りたお礼にと金と銀の色鉛筆を貸してくれた。
あの頃の私たちには金と銀の色鉛筆は特別だった。普通の色鉛筆セットには入っていない、「レア」なやつだ。
他の子には貸さないのに、こっそり貸してくれた。彼の特別を。
『使いたかったら、使え。』ってぶっきらぼうに。

私はうるさいやつは嫌いだ。喧嘩っ早いやつも。でも、やつが乱闘騒ぎを起こしていても、私のことを社名で呼んでも、私にとっては「こっそり金と銀の色鉛筆を貸してくれるやつ」だから、未だに嫌いになれない。



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というわけで今年のnote納めでした。
地元が地方だと、同窓会はみんなが帰省する年末くらいしかタイミングがないので冬のイメージがあります。そんな雪がよく降った年の同窓会での話でした。
みなさま、良いお年を👋🏻

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