ロスト・ケア を読んで

自己満の感想文です。
ネタバレが嫌な方はそっと閉じてください。



社会に訴えかける重い話。
事件を暴く検事、大友秀樹は綺麗すぎる正義を持つ人。
理想的すぎて、現実的にはあり得ない。
それを嫌う同級生の佐久間。
キセルできるところでキセルをするのは当たり前。
私はどちらかというと佐久間寄りの人間なのかもしれない。

みんなのためを思って動けないし、奉仕できない。
私の中に温かいものはない。優しさがない。
悲しいことに。
私はみんなから愛情を受けて育ったのに、他人にあげる愛情はない。もはやマイナス。なんでやろ。
まぁそのことは置いといて。

読んでる時、犯人は施設長の団と思い込んでたから
斯波が逮捕された時は混乱して何回も戻った笑
まさか自分の父を殺したのが最初の殺人だなんて。

斯波の父の言葉には涙が出た。
お前がいてくれて幸せだった。俺の子に産まれてきてくれてありがとう。

私は誰かを介護して見送った経験はないけれど
自分の飼い犬は見送った時の記憶が出てきた。
あの子はどこまで私のことを思っていたのかわからないけど、私に対して良い感情を持ってきてくれてるといいな。そう願う。
私も上手くいかなかったときに手をあげてしまったことがあるので。

医療職なので、老人と接する機会が多いが、
確かに年齢のせいで、他人を不必要になじったり、攻撃してしまう人はいる。
そこに自我があるのか、その人の人格なのかはよくわからないけれど
それが年老いていく者の性だとしたら、
これほど残酷なことはないだろう。
本人も相手も苦しむ。

この国に限らず、人間は、予見できる問題を先送りにし、それが問題になって初めて慌てふためく。
起こってからじゃ遅いのに。
私もそういう癖はある。仕事においてもプライベートにおいても。よくないね。

このお話が、少しでも介護で苦しむ方々の救いになれますように。

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