よく頑張りました

朝7時。
外に出ると青空が広がっていた。曇りだとか一時雨だとか言われていたが、しっかりと太陽も出て陽の光が眩しいくらいだ。

「いってきまーす」

息子がランドセルを背負って、靴を履いた。
一緒に登校班の集合場所へ歩く。

「今日で1学期最後だなー。明日からは休みだぞ」

息子に話かけると「いえーい」と嬉しそうだ。
小学校の1学期は今日まで。明日からは夏休みだ。コロナの影響なのか、今はそんなものなのか分からないが、終業式などは特に行われないらしい。今日も通常通りの授業だ。

集合場所に着いて少し待つ。
登校班で一緒に行く子達と合流できたら、国道沿いの横断歩道のある場所まで一緒に歩く。
これが、ここ3ヶ月間朝のお決まりだった。

息子が4月に小学校に入学して今日まで、感覚としては一瞬だった。「もう1学期終わり？」と驚くくらい時間が経つのが速かった。
ただ、思い返せば色々あったことを思い出した。

そもそも起きる時間が1時間早くなったこと。
小学校に行きたくないと泣きじゃくる日々が続いたこと。
それを解決するためにスタンプカードを作って学校生活をクエスト化してみたこと。
登校班に慣れないからと、横断歩道まで一緒に歩くことにしたこと。

それなりに大変だったな。
記憶を辿ると、苦笑いしてしまう。

でも、息子の歩く後ろ姿を見ながら、この3ヶ月コイツは本当に良く頑張ったよなぁと思う。

朝の生活リズムにも慣れた。
行く前に泣きじゃくることもなくなった。
スタンプカードを使わなくても大丈夫になった。

十分に成長した気がする。
横断歩道に着くと、タイミングよく信号が青になった。息子が振り返って手を振る。

「じゃあな、いってらっしゃい」

こちらも手を振って送り出した。歩いて小さくなっていく息子の姿を見ながら、ふと気付く。

あ、アイツ振り返らなくなったなぁ。

1ヶ月前まで、少し歩いては不安になり振り返り、少し歩いては振り返りを繰り返していた。
今はしっかりと前だけ向いて歩いていく。

「よく頑張りました」

息子の背中にそんな言葉を贈って、1学期最後の日を見送った。

(note更新229日目)