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日常の大切さ

今朝、仕事現場へ向かう途中で綺麗な朝日を見た。宮崎市を流れる大淀川に架かっている大淀大橋を車で渡っていた時だった。

いい天気だなぁ。
そんなことを思いながら、道を急いだ。

今日の仕事場は、宮崎市内にある救命救急センター。ドクターヘリに乗って現場へ駆けつけ患者の命を救うフライトドクターに密着するロケだった。
実はこのロケは昨日に引き続き2日目。前日は一度もドクターヘリの要請がなく平和な1日だった。さて今日はどうだろう。救命救急センターに着くと、待機部屋でドクターヘリの出動要請を待った。

そのまま3時間程の時間が過ぎ、お昼ご飯でも買ってこようかとスタッフと話をしていた時だった。持たされているPHSが鳴った。すぐさまヘリの待機所まで駆けつける。カメラマンはフライトドクターとヘリに乗り込み一緒に飛び立って行った。

県北で起こった交通事故の事案。
患者はかなりの重症で、事故現場で一回、ドクターヘリで運ばれている時にもう一回、心停止が起こったとのことだった。懸命の処置で何とか息を吹き返し病院へ搬送された後は、そのまま手術が開始された。
事前に様々な情報を得ているセンターは、受け入れ体制も厚くしていて、通常の倍くらいの医者や看護師が手を尽くした。みんなが助けたいと力を尽くていた。

でも、その方は助からなかった。

フライトドクターに密着しているとはいえ、人の死をこんなにも間近で目の当たりにして、僕は言葉が出なかった。

亡くなった人は、今日起きた時に自分がこの世からいなくなると思っていただろうか。
ふと、今朝見た朝日を思い出した。きっと、僕と同じように「いい天気だなぁ」なんて思ったりしながら、いつもと変わらない当たり前の一日を終えようとしていたはずだ。

人の命は、なんて脆い。
アクシデントひとつで、一瞬でこの世からいなくなってしまうのだ。まるでロウソクの火が吹き消されたように。

当たり前のことなんて無いんだということを改めて気付かされた。今、目の前にある日常を環境を大切にしようと思った。

吹き消された後のロウソクから細く立ち昇る白煙のように、今日の余韻が僕の中にいまだに消えずに残っている。


(note更新370日目)

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