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2020年バーチャルで佐渡島のファンコミュニティづくりをしてみた話

ワークショップデザイナー仲間にアドベントカレンダーへお誘いいただきこの記事を書いています.
せっかくなのでいろんな方に知ってほしい今年度の取組を紹介しつつ,振り返ってみようと思います.

バーチャルでの交流が盛んになった2020

バーチャルで集い,バーチャルで遠くの景色をたのしむ.
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により気軽に人と会うことが難しくなり,「バーチャル」でいかに人と人がつながることが出来るのか,その可能性をみんなが探った年になったようにも感じます.

現在私の携わるプロジェクトでも「バーチャルを通じて,地域のファンコミュニティをつくることはできるのか」ひそかな実験をおこないました.

私のしごと

現在は生まれ故郷である佐渡島に住み,小さな農業をまもる「里山農業の未来デザインプロジェクト」の助手をしています.地域の農業者のみなさんと対話を重ねながら,里山農業の未来を探っているのですが,対話の中では「農業収入が不安定であること」や「もっとお米の作りがいがほしい!」という声がよく聞かれました.

プロジェクトの内容は以下の動画から

バーチャルツアーとは

さまざまな声を受け,対話をかさねる中で「地域のファンコミュニティをつくって,棚田の農業者を応援するしくみを作ろう」という話にたどり着きました.
それならば,多くの人に地域に来てもらおう!と様々な地域イベントを考え作戦を立てるも,コロナ禍で人に来てもらうのが難しい状況に...

それでうまれたのが「バーチャルツアー」でした.

現在プロジェクトを進めているのは佐渡島の北部にある,歌見田地域という山と海に囲まれた地域.山に行けば山菜やタケノコ,海に行けば魚やサザエ,そして棚田には最高に美味しいお米があり,食資源がとても豊かです.

バーチャルで,この豊かな風景と食資源を共に楽しむ仲間をつくろうと,zoomを利用して島外の人びとに地域の方との交流とタケノコ掘りや稲刈りを「体験」してもらうバーチャルツアーを企画.
その時に採れた収穫物も後日参加者にお届けしました.

バーチャルツアーは今年4回実施.四季折々の旬に合わせて,
5月にはタケノコ堀り,7月には漁師体験,8月は素潜り体験,10月にはおむすびまつりをバーチャルで体験してもらい,のべ43名の方にご参加いただきました.
「画面の向こうのものがリアルに手元に届くことで,佐渡島との心の距離がギュッと縮まったのを感じた」
「食べるたびにzoom中継の風景が思い浮かぶ.生産者の顔が見えるという概念を超える体験だった」などなど,嬉しい感想も頂きました.

地域のファンコミュニティは出来たのか

それで,地域のファンコミュニティは出来たのでしょうか?
参加者の中には
・ほとんどすべての回に参加をして下さる方
・歌見田のお米を食べたいと購入してくださった方
・実際に現地に来てくださった方
などがいて,ファンコミュニティの萌芽はみられたような気がします.

実際に現地に来てくださった方にお話しを聞いてみました.

オンラインを通してでも,地域の皆さんの和気あいあいとした雰囲気を感じ取ることができました.
「自分もあの風景の中に入って,集落の人と話したい」というのが実際に現地に行きたいと思ったきっかけです.
オンラインでも人となりがなんとなく伝わるので,初めましてのハードルがぐっと下がり,初対面でもすでにあったことがあるような感覚でした.

オンラインを通じて「顔なじみ」が増えたことや,それによって「参加のハードル」がぐっと下がり地域に訪問しやすくなるなど,
オンラインでの交流がファンコミュニティの入り口にはなった気がしています.

応援したい、自分も一緒に何かをしたい
と思えるような「関わりしろ」を作っていくことがこれからの課題かもしれません.

もうひとつのファンコミュニティ

そして,もうひとつ大きな変化がありました.
バーチャルツアーなどの取組を始めて地域の方から,
「仕事が楽しくなり,やりがいが出てきた」という声をよく聞くようになりました.

参加者の方との交流をとおして
「こんな美味しいお魚はじめて食べた」
「棚田の風景が素晴らしい」
などの感想が寄せられることで,これまで地域にとっては当たり前だったものが,実は他の地域から見ると特別なものに見えるのだという気付きもありました.

私も含め,地域の住民が地域のすばらしさを再確認したことで生活の場が「お宝に溢れた場所」に変わり,地域の資源を活用して色々なことを楽しもう!という(ファンコミュニティならぬ)funコミュニティになったことも大きな変化だったと感じています。

最後に

まだまだ始まったばかりですが,歌見田地域のチャレンジあれこれはこちらのFacebookページで発信しています.
「ちょっと気になるぞ」という方,是非のぞいていってください.

そして,地域の方がバーチャル漁体験の紹介動画を作成してくださいました.バーチャルツアーの裏側も見ることができます.こちらも是非!

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