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【小説『AI時代』#2】二日酔いの朝に

これは平凡で普通の人々の物語。
でも私たちの世界と少しだけ違う。
それはAIが深く浸透した後の世界。

ハッと目が覚める。
一瞬自分がどこにいるのか分からず、手がかりを探すように辺りを見渡す。

既に部屋の電気はついていた。
ベッドに搭載されたセンサーが健介の睡眠の状態をモニタリングし最適なタイミングで電気つけてくれる。
それどころか起きる時間はスマートホームシステム全体に何時間も前に伝わっており、健介が設定したモーニングルーティンに合わせて様々なタスクが既に実行済みだ。

…おはようございます。昨日は呑みすぎたみたいですね。

パーソナルアシスタントのeveが声をかけてきた。
「あまり喋りかけないでくれ。まだ頭が痛い。」

…はい、わかりました。でも呑みすぎはいけないですよ。

eveは健介の性格や状況などに最適化した性格のアシスタントが自然な会話をしてくれるように設定される。健介が怒らない程度に健康にも配慮したコミュニケーションを取ってくれる。

…今日、あなたが聞くべきニュースは5件あります。その他、セレンディピティをもたらすような情報を3件用意しました。聞きますか?

「うん。」


ニュースを聞きながら健介はリビングに移動し、既に用意されているコーヒーと目玉焼きをリビングへと運ぶ。昨日の酒が残っているのか食欲はなかった。

…そういえば今日のデート、予約はまだですが大丈夫ですか?

「あ、やっべ。」
彼女のみゆきとのデートの予定があったのを思い出す。何度もeveに予約の必要を聞かれたが仕事にかまけて先延ばしにしてしまっていた。


※本小説の表紙および挿絵はChatGPTを通してDALL-E 3によって作成しています。

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